質問主意書

第179回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四号

福島県相双地域における医療福祉等機関に対する支援に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年十月二十六日

三原 じゅん子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   福島県相双地域における医療福祉等機関に対する支援に関する質問主意書

 東京電力福島原子力発電所事故を受けた福島県相双地域における医療福祉等機関に対する支援のあり方に関して、以下質問する。

一 九月二十九日付で東京電力より厚生労働省及び福島県原子力損害医療福祉関係団体連絡会・医療福祉関係団体に宛てた「避難等区域内の医療福祉等機関に対する原子力損害賠償金の支払いについて」という文書には、「医療福祉等機関の皆さまへの賠償金のお支払いにつきましては、九月中に請求書用紙の発送および受付を開始し、十月の早い段階でのお支払い開始を目指します。」とあるが、いまだ一回目の支払いがなされていない。このままでは資金のショートにより、相双地域の医療機関の経営破綻が起こりえる。本件に関する政府の対応策を具体的に示されたい。

二 「東京電力株式会社の福島県南相馬市内の病院に対する補償金の請求手続に関する質問主意書」(第百七十八回国会質問第三八号)に対する答弁書(内閣参質一七八第三八号)において、平成二十三年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律による仮払金の支払について、政府による避難等の指示等があった区域内の病院等は、東京電力による本賠償の支払が十月の支払開始を目指している旨の答弁があるが、いまだ当該支払が行われていない。こうした状況の下、政府による避難等の指示等があった区域内の病院等について緊急に仮払金の支払の対象に加えるべきだと考える。政府の見解を明らかにされたい。

三 旧緊急時避難準備区域における医療機関等が最も必要とするものは、不十分な本賠償ではなく、緊急かつ継続的な「運転資金」の仮払である。よって早急に仮払をすべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 政府は福島県に対して、地域医療再生基金を活用し、旧緊急時避難準備区域等の医療機関に対する運転資金や医療従事者確保についての支援を行うことについての要請を行っていると聞いているが、どのような要請を行っているのか具体的に示されたい。

五 旧緊急時避難準備区域には二つの精神科病院があり、現在外来診療は行っているが、医師、看護師等の不足により入院診療を再開できていない。緊急時避難準備区域が解除され、帰宅される方々が増える中で、心のケアの重要性が増しており、地元の精神科医療機関の復旧・復興、入院診療の再開が必要であり、入院診療の再開のためには、医療スタッフの確保が緊急の課題であると考える。今後の政府の具体的な支援策を明らかにされたい。

六 相双地域における医療スタッフを確保するにあたり、短期的には遠方から応援に来られた方の住居と食事の提供、交通費等の課題があるが、事故後の経営状態ではこれらの費用負担は極めて困難であり、何らかの財政支援が必要であると考える。また、長期的には医療スタッフが地域に定着できるよう、安全・安心な生活環境の提供、教育の充実等、様々な支援を実施していかなければならないと考える。それぞれ政府の見解を示されたい。
 なお、現在、常磐線は広野駅・亘理駅間が不通であるため、南相馬市まで鉄道で直接入ることができず、最寄り駅からの送迎等が必要となっている。常磐線を含めた被災地における公共交通のインフラ整備について、政府はどのような対策を取るのか、明らかにされたい。

  右質問する。