質問主意書

第178回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四五号

内閣参質一七八第四五号
  平成二十三年十月十一日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出「歪められた日本版ストレステスト」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出「歪められた日本版ストレステスト」に関する質問に対する答弁書

一及び六から八までについて

 平成二十三年七月十一日に内閣官房長官、経済産業大臣及び内閣府特命担当大臣において取りまとめた「我が国原子力発電所の安全性の確認について(ストレステストを参考にした安全評価の導入等)」は、欧州諸国で導入されたストレステストを参考にした安全評価の導入等に関する政府の統一見解を示すことを目的としており、また、同月二十一日に経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)において定めた「東京電力株式会社福島第一原子力発電所における事故を踏まえた既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価に関する評価手法及び実施計画」は、電気事業者に求める既設の発電用原子炉施設の安全性に関する総合的評価(以下「総合的安全評価」という。)に係る技術的内容の整理を目的としたものであり、御指摘の「透明性」や「ピアレビュー」についての記述はないが、政府としては、総合的安全評価において透明性を確保することや国際機関からのレビューなどにより国際的知見を反映させることは重要であると認識しており、今後、電気事業者が行う総合的安全評価について保安院が評価を行うに際しては、公開の場で専門家の意見を聴取することなどにより、透明性の確保を図るとともに、各国が行う原子力発電所の安全評価に対するレビューを検討している国際原子力機関(IAEA)からの日本の取組に対するレビューや欧州の専門家からの技術的な助言を求めることなどにより、国際的な知見を反映させることとしており、原子力安全委員会の行う確認との関係やスケジュール等の詳細については現在調整中である。

二について

 欧州におけるストレステストに関して、許可事業者及び各国規制当局による中間報告書の提出状況、公表状況及びページ数について、現時点において把握しているものは次のとおりである。許可事業者については、オランダの一事業者が六十二ページの、フランスの三事業者がそれぞれ七千五百十ページ、千六十四ページ及び四百七十九ページの、ベルギーの一事業者が二十八ページの、スロバキアの一事業者が百九ページの、ハンガリーの一事業者が三十一ページの中間報告書をそれぞれ当該国の規制当局に提出し公表を行っていると承知している。各国規制当局については、英国が四十二ページの、オランダが十九ページの、スウェーデンが十五ページの、スペインが百二ページの、フィンランドが三十一ページの、フランスが十三ページの、ベルギーが四十ページの、リトアニアが十五ページの、スイスが十三ページの、スロバキアが四十一ページの、スロベニアが百七十七ページの、チェコが七ページの、ドイツが七十一ページの、ハンガリーが十七ページの、ブルガリアが五十七ページの、ルーマニアが四十九ページの中間報告書を欧州委員会に提出し公表していると承知している。

三について

 欧州のピアレビューを行うチームについては、第三国の専門家を加える可能性もあるとされているが、詳細は検討中であると聞いている。

四について

 電気事業者からの総合的安全評価に係る報告書の提出期限に関して、二次評価については、年内を目途としており、また、一次評価については、具体的な期限を設定してはいないが、定期検査中であって、起動準備の整った原子炉に対して評価を実施し、保安院に報告書を提出することを求めている。また、保安院において、専門家の意見も聞きながら評価を行い、さらに、原子力安全委員会において、その妥当性の確認を行うこととしているが、これらは原子力発電所の更なる安全性の向上と、安全性についての国民・住民の安心と信頼の確保のために行うものであるから期限を定めて行うべき性質のものではないと認識している。

五について

 電気事業者からの総合的安全評価に係る報告書、保安院による評価結果及び原子力安全委員会による確認結果については、一次評価及び二次評価のそれぞれについて公開することを予定しており、保安院による評価については公開の場で専門家の意見を聴取しながら実施するとともに、原子力安全委員会による確認についても公開の場で実施する予定である。また、評価結果等については、地元も含め国民・住民に対し、適切に説明してまいりたい。