第178回国会(臨時会)
答弁書第七号 内閣参質一七八第七号 平成二十三年九月二十七日 内閣総理大臣 野田 佳彦
参議院議長 西岡 武夫 殿 参議院議員糸数慶子君提出八重山教科書採択問題及び教科用図書の採択に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員糸数慶子君提出八重山教科書採択問題及び教科用図書の採択に関する質問に対する答弁書 一及び二について 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十三条第六号は、教育委員会が管理し執行する事務として、「教科書その他の教材の取扱いに関すること」と規定しており、公立小学校及び中学校等において使用する教科用図書の採択については、当該学校を設置する地方公共団体の教育委員会が行うこととされているが、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律(昭和三十八年法律第百八十二号。以下「無償措置法」という。)第十二条第一項の規定に基づいて設定された採択地区が二以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、無償措置法第十三条第四項の規定により、当該採択地区内の市町村の教育委員会が協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならないとされている。御指摘の八重山採択地区協議会は、無償措置法第十三条第四項の規定による協議を行うための組織として沖縄県八重山採択地区内の各市町教育委員会の合意により設置されているものと承知している。また、この協議の方法については、同協議会の規約を含む同採択地区内の各市町教育委員会の合意により決定されるものである。 三について 無償措置法第十三条第四項の規定による協議は、採択地区内の市町村教育委員会が種目ごとに同一の教科用図書を採択するために行う協議であるが、その協議の方法については採択地区内の各市町村教育委員会の合意により決定されるものであり、御指摘の「八重山地区教育委員協会の臨時総会における全員協議」については、石垣市教育委員会教育長及び与那国町教育委員会教育長から文部科学大臣宛てに提出された各文書において、石垣市教育委員会及び与那国町教育委員会は、当該全員協議において教科用図書の採択に関する協議を行うことについて合意していないとの認識が示されているところであり、その後、竹富町教育委員会委員長から文部科学大臣及び文部科学省教科書課長宛てに提出された文書並びにそれに添付された石垣市教育委員会委員長、竹富町教育委員会委員長及び与那国町教育委員会委員長の連名の文部科学大臣及び文部科学省教科書課長宛ての文書において、当該全員協議における協議により教科用図書の採択をしたい旨の要請がなされているが、当該全員協議において無償措置法第十三条第四項の規定による協議を行うことについて、各教育委員会が合意していたとは認められないことから、当該全員協議において行われた採択に関する協議は、同項の規定による協議に当たるとは認められないと考えている。 四について 文部科学省としては、平成二十三年八月上旬に、報道等により沖縄県八重山採択地区における教科用図書の採択に関し様々な意見が出されていることについて認識し、その後、義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行令(昭和三十九年政令第十四号)第十三条第一項の規定により平成二十四年度に使用する教科用図書の採択を行う期限とされている平成二十三年八月三十一日までの間は、沖縄県教育委員会に対して、同採択地区内の各市町教育委員会において同期限までに種目ごとに同一の教科用図書を採択するよう指導を行うことを指導・助言していた。 しかし、同日を過ぎても、同採択地区内の各市町教育委員会が、中学校社会科の公民的分野について、同一の教科用図書を採択していなかったことから、沖縄県教育委員会に対し、同採択地区内の各市町教育委員会において、無償措置法第十三条第四項の規定により早急に同一の教科用図書を採択するよう指導を行うことを指導・助言していた。 五について 文部科学省から、平成二十三年九月十五日に沖縄県教育委員会に対して通知文書を発出し、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて、沖縄県八重山採択地区内の各市町教育委員会が同一の教科用図書を採択するよう指導を行うことを指導・助言するとともに、沖縄県内の教科用図書の需要数を同月十六日までに文部科学省に報告するよう指導・助言したところである。今後ともこれらの内容について、沖縄県教育委員会に対して必要な指導・助言を行ってまいりたい。 六について お尋ねの「八重山地区教育委員協会の教科用図書の採択に関する役割及び権限」については、沖縄県八重山採択地区内の各市町教育委員会により決定されるものであり、政府としてお答えする立場にない。 七について 無償措置法第十二条第一項の規定に基づいて設定された採択地区が二以上の市町村の区域をあわせた地域であるときは、当該採択地区内の市町村立の小学校及び中学校において使用する教科用図書については、無償措置法第十三条第四項の規定により、当該採択地区内の市町村の教育委員会が協議して種目ごとに同一の教科用図書を採択しなければならないとされているところであり、文部科学省としては、沖縄県教育委員会に対して、引き続き、沖縄県八重山採択地区内の各市町教育委員会において、早急に同一の教科用図書を採択するよう指導を行うことを指導・助言してまいりたい。 |