質問主意書

第178回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五号

内閣参質一七八第五号
  平成二十三年九月二十七日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員浜田昌良君提出事業仕分けによる刑事施設における物品販売事業からの地元事業者の締め出しに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田昌良君提出事業仕分けによる刑事施設における物品販売事業からの地元事業者の締め出しに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の行政刷新会議の事業仕分けにおいて、物品販売事業(刑事施設に収容されている被収容者に交付しようとする物品又は被収容者が購入しようとする自弁物品等であって、刑事施設の長が定める種類のものを販売する事業をいう。以下同じ。)については、「現職の刑務官が中心となって会費を出し合っている公益法人に当該事業を担わせる仕組みを改める」べきであるとの指摘を受け、財団法人矯正協会が指定事業者(刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則(平成十八年法務省令第五十七号)第二十一条第二号による刑事施設の長の指定を受けて物品販売事業を行う者をいう。以下同じ。)とされている刑事施設について、その指定事業者を、平成二十三年度中に、順次、変更することとしており、平成二十三年六月一日から市原刑務所、府中刑務所、静岡刑務所及び東京拘置所の四施設において、同年八月一日から富山刑務所、金沢刑務所、福井刑務所、岐阜刑務所、笠松刑務所、岡崎医療刑務所、名古屋刑務所、豊橋刑務支所、岡崎拘置支所、三重刑務所、名古屋拘置所、一宮拘置支所及び半田拘置支所の十三施設において、それぞれ同協会からエームサービス株式会社に指定事業者を変更している。
 また、「地元物品販売・卸事業者等からの調達が打ち切られ、結果として地元事業者が排除された」の意味するところが必ずしも明らかでないが、指定事業者が物品販売事業を行う際の物品の調達先については、指定事業者がその判断により決するものであり、政府として網羅的に把握していない。
 なお、従前から同協会以外の業者が指定事業者とされていた場合は、これを変更することはしていない。

二について

 お尋ねの「行政刷新会議の指摘」については、評価結果ではなく評価者のコメントの一つであり、物品販売事業の事業仕分けにおいては、「地元事業者を排除すべき」といった議論は行われておらず、物品販売事業の実施主体である財団法人矯正協会の会員である刑務所長等が、同協会が設定する物品提供の価格が適正であるかどうかを判断するのは不適切ではないかといった議論が行われ、一についてで述べたとおりの評価結果が出されたところである。

三について

 「物品販売事業等において地元事業者を活用するなどの長年の工夫」の意味するところが必ずしも明らかでないが、指定事業者として、又は指定事業者が物品販売事業を行う際の物品の調達先として、「地元事業者」を活用することが「不正の温床」となるとは考えていない。

四について

 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平成十七年法律第五十号)第五十一条は、「刑事施設の長は、この節に定めるもののほか、法務省令で定めるところにより、差入人による被収容者に対する金品の交付及び被収容者による自弁物品等の購入について、刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。」と規定し、当該規定を受けて、刑事施設及び被収容者の処遇に関する規則第二十一条は、刑事施設の長の行う制限につき、「被収容者に対する金品の交付の申出及び被収容者による自弁物品等の購入の申請の日及び時間帯」及び「一人の者が一定の期間内に一人の被収容者に交付する物品の種類ごとの数量及び被収容者が一定の期間内に購入する自弁物品等の種類ごとの数量」の制限並びに「被収容者に交付しようとする物品又は被収容者が購入しようとする自弁物品等であって、刑事施設の長が定める種類のものについて、刑事施設の長が指定する事業者から購入するものに制限すること」を規定するが、この「刑事施設の管理運営上必要な制限」には、御指摘の「刑事施設が地元住民との良好な関係を形成するため、物品販売事業等において地元事業者を活用する」ことは、含まれないと考えている。

五について

 財団法人矯正協会が指定事業者とされていた刑事施設における物品販売事業については、公募の結果、平成二十三年三月四日にエームサービス株式会社を指定事業者として選定し、同年四月二十一日付けで、法務省矯正局長と同社代表取締役社長との間で、同社が行う物品販売事業に係る総括協定書を取り交わしているが、同社の物品の調達先については、同社において決するものであり、「地元事業者の活用」についての条項は存在しない。
 また、「刑事施設が地元住民との良好な関係を形成するため、物品販売事業等において地元事業者を活用するなどの長年の工夫を行ってきたこと」の意味するところが必ずしも明らかでないが、同協会が指定事業者として物品販売事業を行った際の物品の調達先についても、同協会がその判断により決しており、その具体的な調達先について、法務省として把握して評価したことはない。

六について

 お尋ねの「地元事業者を当面引き続き活用する」の意味するところが必ずしも明らかでないが、現時点において、物品販売事業について、エームサービス株式会社と再協議を行うことは予定していない。