質問主意書

第178回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二三号

「人権教育・啓発に関する基本計画」に新たに加えられた「北朝鮮当局による拉致問題等」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年九月二十八日

三原 じゅん子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   「人権教育・啓発に関する基本計画」に新たに加えられた「北朝鮮当局による拉致問題等」に関する質問主意書

 平成二十三年四月一日に閣議決定された「人権教育・啓発に関する基本計画の一部変更について」により、同基本計画に新たに加えられた「北朝鮮当局による拉致問題等」に関し、以下質問する。

一 本基本計画中、「拉致問題等」とは、「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題」のことであると認識しているが、「その他北朝鮮当局による人権侵害」とは具体的にどのようなことなのか明らかにされたい。

二 本基本計画中、「拉致された可能性を排除できない事案」とあるのは「特定失踪者」のことであるのか。そして、「特定失踪者」は「拉致問題等」に含まれているのか明らかにされたい。また、「拉致された可能性を排除できない事案」を現時点で何件(何名)と把握しているのか明らかにされたい。加えて、政府は、今後の人権教育・啓発の場において、特定失踪者を含めたすべての日本人を取り戻さない限り拉致問題の解決はないとの認識の下で取組を推進していくのか、政府の方針を示されたい。

三 本基本計画には、「啓発資料の作成・配布、各種の広報活動を実施する」とあるが、既に全国各地で、救う会、ブルーリボンの会等の諸団体により実施されている様々な活動についての情報収集を行い、今後の広報活動に活用していく予定はあるのか、政府の方針を示されたい。また、平成二十三年度予算における拉致問題対策推進経費・約十二億円のうち、啓発費・約八千万円の使途を明らかにされたい。

四 本基本計画には、「拉致問題等に対する国民各層の理解を深めるため、地方公共団体及び民間団体と協力しつつ、啓発行事を実施する」とあるが、各地方公共団体が所管する「人権教育・啓発に関する基本計画」について、国と同等以上の拉致問題等の記述を求めていく予定はあるのか、政府の方針を示されたい。さらに、「地方公共団体及び民間団体と協力しつつ」とあるが、具体的にどのような民間団体とどのような協力をするのか。また、これら民間団体に対する財政上の配慮についてはどのように考えているのか、政府の方針を示されたい。

五 本基本計画には、「学校教育においては、児童生徒の発達段階等に応じて、拉致問題等に対する理解を深めるための取組を推進する」とあるが、具体的にどのようなプランを考えているのか。また、政府は学校教育における指導の的確性をどのように検証していくのか、具体的に示されたい。

六 本基本計画では、学校教育、社会教育を始め企業・職域などのあらゆる場で人権教育・啓発を推進する旨を掲げている。当然、その中には学校教育法第百三十四条で学校教育に類する教育を行う「各種学校」に位置付けられる朝鮮学校も含まれると理解して良いか、政府の見解を示されたい。もし、朝鮮学校が含まれない場合には、その理由を明らかにされたい。

七 政府は、本年五月二十六日付けで各都道府県知事と教育長に対し、「拉致問題に関する理解促進及び人権教育・啓発の推進について」と題する通知を出し、今回の本基本計画の改正の趣旨を踏まえた人権教育・啓発の推進及び拉致問題に関する理解促進への取組について特に協力の依頼を行っているが、本基本計画に新しく盛り込まれた「北朝鮮当局による拉致問題等」の記述内容を基にして、朝鮮学校を含めたあらゆる場で理解促進に努めるものと受け止めて良いか、政府の見解を示されたい。もし、朝鮮学校が含まれない場合には、政府の人権教育・啓発行政はダブルスタンダードと理解するが、政府の見解を示されたい。

八 北朝鮮は、我が国が拉致問題の解決を求めると、いわゆる朝鮮人八百四十万人の強制連行などの虚言をもって反論してくる。日本人拉致問題は戦後の問題であり、このような戦前の歴史問題とは何ら関係がないことを、あるゆる人権教育・啓発の場で国民に明確に理解させていく必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

九 政府は、本基本計画に基づき、人権が共存する人権共存社会の早期実現を目指すとしているが、本基本計画に盛り込まれた「北朝鮮当局による拉致問題等」と異なる内容を教えている朝鮮学校は我々日本国民の基本的人権を阻害している団体であり、このような団体に授業料無償化と称して国民の税金を投入することは本基本計画の理念に反すると同時に、すべての国民に基本的人権を保障する日本国憲法にも反すると考えるが、政府の見解を示されたい。

十 諸外国に対する取組について、政府は世界各国及び国際機関等に対し、拉致問題等への関心と認識を深めてもらうよう、どのように取り組んでいるのか、その内容について具体的事例を示しつつ明らかにされたい。さらに、その中に「特定失踪者」に関する事項はあるのか、具体的事例を示しつつ明らかにされたい。もし、「特定失踪者」に関する事項がない場合、その理由を明らかにされたい。

  右質問する。