質問主意書

第178回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一六号

緊急時対策支援システム(ERSS)と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の運用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年九月十五日

上野 通子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   緊急時対策支援システム(ERSS)と緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の運用に関する質問主意書

 原子力安全・保安院は平成二十三年九月二日、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故進展解析結果について(解説)」を公表した。本資料は事故後に原子力災害対策本部事務局として経済産業省別館に設置された緊急時対応センター(ERC)内において事故の進展を予測してきた記録である。これに関して、以下のとおり質問する。

一 ERCプラント班は事故発生当時、独立行政法人原子力安全基盤機構(JNES)に依頼し、ERSSによる解析を行った。JNESは三月十二日一時五十七分ごろ、同原発一号機の解析結果をERCプラント班に報告しているが、首相官邸危機管理センターには報告していない。この判断は誰が、どのような理由で行ったのか、具体的に説明されたい。

二 高木義明前文部科学大臣は五月十七日の参議院文教科学委員会で私の質問に対し、SPEEDIが事故発生直後に運用ができなかった理由について、「いわゆる緊急時対策支援システム、ERSSが機能していなかったということであろうと思っています」、「今回の事故でいわゆる放出源データが取れなかった、そういう意味で緊急時対策支援システムであるERSSが機能していないと、原子炉からの放射性物質の放出量が把握できなかった、そのために(SPEEDIによる)予測ができなかったという状況にありました」との旨、答弁した。ところが、本資料には、「JNESがERCプラント班に(ERSSによる)解析結果を送信しており、当該結果については、SPEEDIの入力データとして用いられ、三月十二日六時七分頃に計算結果が出力されています」との旨、記録されている。大臣答弁と本記録との間には齟齬があると考えるが、政府の見解を示されたい。また、齟齬が生じた理由について、詳しく説明されたい。

三 本資料は事故当時から記録されてきたものであるが、同内容について高木義明前文部科学大臣を含めた政府関係部局で情報共有されていたのか、事実関係を明らかにされたい。また、事故発生から半年間近くも公表されず、九月二日に公表するに至った理由について明らかにされたい。

  右質問する。