質問主意書

第178回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一二号

諫早湾干拓事業に係る防災対策上の問題点に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年九月十五日

秋野 公造   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   諫早湾干拓事業に係る防災対策上の問題点に関する質問主意書

 諫早湾干拓事業について、菅前内閣総理大臣の独断により決定された上訴放棄による開門調査は絶対にあってはならないことではあるが、政府答弁書(内閣参質一七七第二八六号。平成二十三年九月六日)には、「御指摘のような土砂の排除、施設の管理等については、排水門の開門を行う国が責任をもって対応する必要があると考えており、今後、関係者と協議していきたい」とあり、国は開門調査にあたっては、旧堤防の改修など全面的に国の責任として行うと約束しているところである。よって、以下質問する。

一 小江干拓地の防災対策について

 現在、小江干拓地には国道とのアクセス道路が存在しない。まず、当初の干拓の計画においては存在した道路計画が無くなった理由について、政府の見解を明らかにされたい。
 また、これまでは調整池の潮位がマイナス一メートルに維持されてきたものの、開門を行えば調整池の潮位は上昇し、大雨時等には小江干拓地の営農者の命は危険にさらされることとなる。よって、小江干拓地の営農者及び諫早市・長崎県より要望があれば、小江干拓地に命を守るための国道とのアクセス道路を整備すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 本明川(調整池)に注ぐ河川の治水対策について

 調整池に注ぐ小江川等の支流には暖竹や栴檀の木が生い茂る状況になっており、例えば八月二十三日の集中豪雨の際には障害物となって氾濫の危険を増大させた。
 今後、調整池の潮位をマイナス一メートルに常時管理できない状況では、調整池からの逆流も起こりえる状況となり地域住民の生活が危険にさらされる。よって、大雨時の対応として県の管理地域ではあるものの、県より要望があれば大木の伐採及び調整池の浚渫について、国が技術的かつ経済的支援を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
 また、全国的にも社会資本整備事業のメニューに川の浚渫及び大木の伐採を追加し、氾濫の危険があり、それらを実施する必要があるところには支援を行う必要性について、政府の見解を示されたい。

三 深海川の防災対策について

 深海川の河口に位置する調整池内には川の上流からの土砂が堆積して河口が狭められているにもかかわらず放置されている。この箇所は、国が管理する一級河川である本明川の調整池内にあたり、現時点においても速やかに、国の責任で現地の実態を把握の上、土砂の浚渫を行う必要がある。深海川周辺住民の生命・財産・生活を水害から守るため河道の流量確保が図られ、治水の安全性を確保するために、土砂の浚渫を早期に実施すべきである。今後の調整池内の浚渫予定について、政府の見解を示されたい。

四 猫山川の防災対策について

 八月二十三日の集中豪雨の際には、旧堤防内の猫山川が氾濫したが、これは猫山川が旧堤防にて直角に向きを変えていることと樋門の構造上の問題に起因する。今後、調整池の潮位をマイナス一メートルに管理できなくなることを踏まえた旧堤防の改修については、政府が計画するところであると考えるが、地元住民、諫早市及び長崎県の要望があれば、旧堤防・樋門の整備を含めた猫山川の流れを緩やかにするための工事を行うことについて、政府の見解を示されたい。

五 境川の防災対策について

 取水の問題については国が積極的に対応するとの答弁があったところである。しかしながら、例えば境川河口部から取水していた宇良地域に対して取水を強化するための新規ポンプが諫早市により設置されたばかりであったが、それでも取水量は十分でなく、河口の堰を作り、川の水を確保することが肝要と思われた地域もある。今後、宇良地域の現状でさえ、取水が困難な地域の取水については地元から要望があれば、国が技術的・財政的支援を行うのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。