第178回国会(臨時会)
質問第九号 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第四十条の二第一項の解釈等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十三年九月十五日 丸川 珠代
参議院議長 西岡 武夫 殿 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律第四十条の二第一項の解釈等に関する質問主意書 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(以下「労働者派遣法」という。)第四十条の二第一項の解釈等に関して事業者及び労働者に深刻な混乱が生じている。そこで、次の事項について質問する。 一 労働者派遣法第四十条の二第一項柱書は「派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けてはならない」旨規定しているが、同項柱書には「次に掲げる業務を除く」と規定されている。したがって、同項第一号から第四号までに掲げる業務については、「派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けることができる」ことになると考えるが、如何。 二 労働者派遣法第四十条の二第一項第一号は「次のイ又はロに該当する業務」と規定している。したがって、同号の規定に該当する業務の条件としては、イかロの一方に該当すればよく、イとロの双方に該当しなければならないものではないと考えるが、如何。 三 労働者派遣法第四十条の二第一項第一号は「当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるもの」と規定しているが、その意味を明らかにされたい。 四 労働者派遣法第四十条の二第一項第一号ロは「その業務に従事する労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」と規定しており、同号ロには「専門的」等の表現が一切ない。したがって、専門的な業務でなくても、同号ロに該当すると考えるが、如何。 五 労働者派遣法第四十条の二第一項第一号イは「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」と規定していて、「その業務を遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」と規定している訳ではない。したがって、「その業務を遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」ではなくても、同号イに該当すると考えるが、如何。 六 平成二十二年四月二十日の参議院の厚生労働委員会において、当時の長妻昭厚生労働大臣は私の質問に対して、「専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しないというのは、従来から一貫して取っているこれは解釈であります」及び「専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しないというのが大前提にありまして」と答弁しているが、当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁にある「専門業務」とは、「労働者派遣法第四十条の二第一項第一号イに該当する業務」及び「同号ロに該当する業務」の双方を言っているのか、それとも「労働者派遣法第四十条の二第一項第一号イに該当する業務」のみを言っているのか、明らかにされたい。 七 前記六の当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁には「専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しないというのは、従来から一貫して取っている解釈であります」とあるが、このような解釈は旧労働省及び現厚生労働省を通じて一貫して取っているのか、明らかにされたい。 八 前記六の当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁にある「専門業務」が「労働者派遣法第四十条の二第一項第一号イに該当する業務」及び「同号ロに該当する業務」の双方を言っているのであれば、同号ロには「専門的」等の表現が一切なく、専門的な業務ではなくても同号ロに該当するので、当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁は同号の規定の解釈を誤っていると考えるが、如何。 九 前記六の当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁にある「専門業務」が「労働者派遣法第四十条の二第一項第一号イに該当する業務」のみを言っているのであれば、同号イは「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」と規定していて、「その業務を遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務」と規定している訳ではないから、少なくとも「専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しない」という当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁は同号イの規定の解釈を誤っていると考えるが、如何。 十 前記七に関して、「専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しない」という解釈が旧労働省及び現厚生労働省を通じて一貫して取っているのであれば、その解釈は、労働者派遣法第四十条の二第一項第一号の規定の解釈を誤っていると考えるが、如何。 十一 前記七に関して、「専門的な知識、専門的な技術、専門的な経験を必要としないものはそもそも専門業務には該当しない」という解釈が旧労働省及び現厚生労働省を通じて一貫して取っているものでなければ、当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁は、事実関係を誤ったことに基づくものであると考えるが、如何。 十二 前記六の当時の長妻昭厚生労働大臣の答弁は、法律の規定の解釈を誤り、事実関係を誤ったことに基づいたものであるから、政府として速やかに訂正すべきと考えるが、如何。 十三 法律の規定の解釈を誤り、事実関係を誤ったことに基づいて国権の最高機関である国会で答弁することは重大な非違行為であり、政府として、厳正に対処すべきと考えるが、如何。 十四 労働者派遣法第四十条の二第一項第一号柱書は「政令で定める業務」と規定している。したがって、同号に該当する業務については、政令で定めなければならないと考えるが、如何。 十五 前記十四の政令で定める業務は、労働者派遣法第四十条の二第一項第一号イ又はロのいずれかに該当し、かつ、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものでなければならないと考えるが、如何。 十六 労働者派遣法第四十条の二第一項第一号の規定により労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行令(以下「労働者派遣法施行令」という。)第四条で定められた業務は、同号イ又はロのいずれかに該当し、かつ、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なわないと認められるものに限られていて、同号イ及びロのいずれにも該当せず、又は、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なうと認められるものは、同条で定められた業務には含まれていないと考えるが、如何。 十七 労働者派遣法施行令第四条で定められた業務に、労働者派遣法第四十条の二第一項第一号イ及びロのいずれにも該当せず、又は、当該業務に係る労働者派遣が労働者の職業生活の全期間にわたるその能力の有効な発揮及びその雇用の安定に資すると認められる雇用慣行を損なうと認められるものは含まれていないとすれば、労働者派遣法施行令第四条で定められた業務は、全て労働者派遣法第四十条の二第一項第一号に掲げる業務として、「派遣先は、当該派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、派遣元事業主から派遣可能期間を超える期間継続して労働者派遣の役務の提供を受けることができる」ことになると考えるが、如何。 右質問する。 |