質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二六八号

内閣参質一七七第二六八号
  平成二十三年九月二日
内閣総理大臣 野田 佳彦   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出核拡散防止条約(NPT)再検討会議の日本招致と日本の役割の発揮に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出核拡散防止条約(NPT)再検討会議の日本招致と日本の役割の発揮に関する質問に対する答弁書

一、五の1、3及び4並びに六について

 核兵器の不拡散に関する条約(昭和五十一年条約第六号。以下「NPT」という。)の運用検討会議(以下単に「運用検討会議」という。)を我が国で開催することは、唯一の戦争被爆国である我が国が、核兵器使用の惨禍の実相を広く国際社会に伝える上で有意義と考える。
 ただし、運用検討会議の開催地が、千九百七十五年(昭和五十年)の第一回会合以来、国際連合の事務局の所在地であるニューヨーク又はジュネーブのみであり、また、百九十か国の締約国による全会一致によって決定されていることに留意し、開催誘致の適否を含め検討する必要があると考えている。

二について

 我が国は、NPTを基礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制の維持及び強化に向け、運用検討会議において様々な提案を行い、また、運用検討会議の下に設置された委員会の議長を務めるなど、運用検討会議における合意形成に貢献してきている。

三について

 運用検討会議における決定は締約国の全会一致によってなされており、また、運用検討会議で扱われる主題が多岐にわたることから、運用検討会議を主導している特定の国を明らかにすることは困難である。
 昨年五月に開催された運用検討会議において、全会一致によりいわゆる「行動計画」が採択されたところであり、今後は当該行動計画(以下単に「行動計画」という。)を着実に実現していくことが重要であると考えている。

四について

 御指摘の報道内容の事実関係については、昨年十一月二十九日に外務省が公表した「「“核”を求めた日本」報道において取り上げられた文書等に関する外務省調査報告書」において明らかにしたところである。また、御指摘の政府声明の内容は事実である。
 NPTからの脱退は、NPT第十条の規定により各締約国に認められた正当な権利であるが、NPTを基礎とする国際的な核軍縮・不拡散体制を維持及び強化していくためには、脱退する締約国に対し、国際社会として適切な対応策を講じていくことが必要であると考える。

五の2について

 お尋ねの「関係会議」及び「支援会議」の意味するところが必ずしも明らかではなく、過去の開催実績を列挙することは困難であるが、一般に、運用検討会議における議論を促進させるような国際会議を我が国で開催することは、有意義であると考える。

七について

 行動計画においては、いわゆる「核兵器禁止条約」の交渉の検討を含む提案に留意する旨言及されている。二千九年(平成二十一年)四月五日に、オバマ米国大統領がプラハにおいて行った演説は、核軍縮に向けた機運を高め、行動計画の採択に一定の役割を果たしたものと評価している。
 御指摘のような市民社会における取組は、核兵器廃絶に向けた機運を維持し、強化していく上で重要であると認識しており、今後とも市民社会における取組とも協力しつつ、核兵器廃絶に向けた取組を進めていく考えである。

八について

 我が国は、使用済燃料の再処理技術が核兵器の開発又は製造に転用されないことを国際的に確認する仕組みを、国際原子力機関等と協力して、構築してきている。このような取組により、国際社会における核軍縮・不拡散の促進に向け、我が国が貢献してきていると考えている。

九について

 先の答弁書(平成二十三年八月三十日内閣参質一七七第二百六十五号)二及び三の4についてでお答えしたとおりである。