質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一〇号

内閣参質一七七第二一〇号
  平成二十三年七月一日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員水野賢一君提出再生可能エネルギーの買取り制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水野賢一君提出再生可能エネルギーの買取り制度に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(平成二十一年法律第七十二号)では、エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用等を促進するため、経済産業大臣が、基本方針を定めるとともに、電気事業者等の特定のエネルギー供給事業者に対し、同法第五条第一項の判断の基準となるべき事項(以下「判断基準」という。)という形で非化石エネルギー源の利用の目標、推進すべき非化石エネルギー源の利用の実施方法等を提示し、当該エネルギー供給事業者が当該判断基準に沿った取組を実施するように誘導するための措置を講じている。
 こうした体系の下、電気事業者に対する判断基準においては、非化石エネルギー源の利用の促進の方策の一つとして、一定の要件を満たす比較的小規模な太陽光発電による電気について経済産業大臣が定める一定の価格及び期間に基づく調達を規定しているところであるが、当該調達の対象をこのような太陽光発電による電気のみならず他の再生可能エネルギー源を用いて発電された電気にまで拡大することは、非化石エネルギー源の利用の促進という趣旨には合致するものである。
 他方、他の再生可能エネルギー源に調達対象を拡大した場合、大規模に発電を行う事業者を含む多様な者が新たに再生可能エネルギー源を用いて発電された電気(以下「再生可能エネルギー電気」という。)の供給に参画することが想定され、電気事業者はこれらの者との関係を安定的に処理することを求められるため、調達に関する契約の締結や再生可能エネルギー源を電気に変換する設備と電気事業者の保有する電力系統との接続など、再生可能エネルギー電気を供給しようとする者とこれに応ずべき電気事業者との間の権利及び義務の関係について、あらかじめ明確に定めておくことが適切であると考えられる。しかし、判断基準は電気事業者が当該判断基準に沿った取組を実施するよう誘導するため定めるものであるため、電気事業者とその他の者との間の権利義務関係について、その判断基準において十分に規定することは困難であると考えている。
 また、調達対象を拡大した場合、再生可能エネルギーの導入量等に応じて再生可能エネルギー電気の調達に伴う費用の負担の地域間での格差が大きくなることが想定されるが、政府としては、こうした地域間での負担格差を調整するための措置を講ずることが適切であると考えている。この負担格差の調整を実施するためには、電気事業者間での資金のやり取り等が円滑かつ適正になされるための所要の措置を講ずる必要があるが、非化石エネルギー源の利用の目標や利用の実施方法等が規定できるにとどまる判断基準において、事業者間の資金のやり取りにつき定めることは困難であると考えている。
 さらに、電気事業者に対しては、現在、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(平成十四年法律第六十二号)に基づき一定の量の再生可能エネルギー電気の利用を義務付けている。仮に、調達対象を同法の義務付けの対象となっている再生可能エネルギー源にまで拡大する場合には、同法の廃止も含めた法的整理が必要になると考えている。
 このような点を踏まえて、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」を今通常国会に提出したところである。