質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一八一号

内閣参質一七七第一八一号
  平成二十三年六月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員森まさこ君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」の情報開示に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員森まさこ君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」の情報開示に関する質問に対する答弁書

一、二並びに五の1から5まで及び10について

 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(以下「SPEEDI」という。)については、防災基本計画(昭和三十八年六月十四日中央防災会議決定)等において、関係省庁の迅速な応急対策の実施に資するため、得られた予測結果を関係省庁に伝達すること等を定めているが、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震の発生後、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所について、地震による通信系統の途絶等により、原子炉の状態等に関する情報が入手できなかったため、実際の放射性物質の予測放出量等の情報を得ることができず、これに基づく放射能影響予測を行うことができなかったものであり、現在においても同様の状況にある。
 他方、政府においては、周辺環境における放射性物質の大気中濃度の測定結果等から推定される福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出量等に基づき、周辺環境における積算線量の試算等を同月十六日から行い、その結果を同月二十三日以降、公開しているほか、福島第一原子力発電所から一ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定した場合の周辺環境における放射性物質の大気中濃度及び空気吸収線量率の試算等を同月十一日から行い、その結果を同年四月二十六日以降、公開するなどしている。
 政府においては、福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所(以下「福島原子力発電所」と総称する。)の事故に関する情報について、適切な公開に努めてきたところと認識しているが、今後とも、福島原子力発電所の周辺住民等に役立つ正確できめ細かな情報の提供を行ってまいりたい。

三について

 東京電力においては、福島第一原子力発電所の第一号機から第三号機までの原子炉の状況について解析を進め、平成二十三年五月十五日に、第一号機についての暫定的な解析結果を発表したと承知している。その後、経済産業省原子力安全・保安院(以下「保安院」という。)は、同月二十三日に、東京電力から、更に解析を進めた結果として、第一号機から第三号機までの原子炉の炉心の一部が溶融して原子炉圧力容器下部に落下していたと考えられる旨の報告を受け、同月二十四日に当該報告を受けたことについて公表した。その後、保安院においては、東京電力の解析結果の妥当性を確認するために独自の解析を行ったところ、東京電力の解析結果との間で、原子炉圧力容器の損傷時期等について相違があったものの炉心の溶融に至る過程についてはおおむね同様であったことを確認するとともに、同年六月六日に当該確認の結果を公表した。このように、政府としては、福島第一原子力発電所で発生した事故に関する情報が得られ次第、当該情報の内容を厳格に確認しつつ、随時公表するよう努めている。

四について

 一、二並びに五の1から5まで及び10についてで述べたとおり、政府においては、現時点で、必要な情報は公開しているものと認識しているが、今後とも、福島原子力発電所の周辺住民等に役立つ正確できめ細かな情報の提供を行ってまいりたい。

五の6について

 お尋ねについては、平成二十三年三月十一日午後十一時四十九分に、財団法人原子力安全技術センターから福島県原子力センターに対し初回の情報提供を行っている。

五の7について

 福島県におけるSPEEDIに係る情報の取扱いについては、同県において判断しているものであり、その詳細は把握しておらず、お尋ねについてお答えすることは困難である。

五の8について

 調査した限りでは、政府において、福島県に対しSPEEDIに係る情報を提供するに際し、これを公表しないよう指示した事実はない。

五の9について

 SPEEDIについては、防災基本計画においても、その活用等について定めており、福島原子力発電所の事故発生前から、関係者に広く認知されていたものである。
 SPEEDIについては、一、二並びに五の1から5まで及び10についてで述べたとおり、現在においても、実際の放射性物質の予測放出量等の情報を得ることができず、これに基づく放射能影響予測を行うことができない状況にあるが、平成二十三年三月十一日午後四時四十分に、文部科学省から財団法人原子力安全技術センターに対し、福島第一原子力発電所から一ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定した場合の周辺環境における放射性物質の大気中濃度及び空気吸収線量率の試算等を行うように指示し、その結果について、同日午後七時三十二分に、同センターから原子力災害対策本部事務局に対し初回の情報提供が行われた。