質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三六号

内閣参質一七七第一三六号
  平成二十三年五月十三日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員平山誠君提出六ヶ所村再処理工場及び原子力政策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員平山誠君提出六ヶ所村再処理工場及び原子力政策に関する質問に対する答弁書

一の1について

 日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)からは、日本原燃の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理工場」という。)の竣工時期を延期したのは、高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉(以下「ガラス溶融炉」という。)に係る技術的課題等へ対応するために工程に遅れが生じたためと聞いている。
 また、延期期間については、高レベル放射性液体廃棄物(以下「高レベル廃液」という。)のガラス固化を確実に行うために必要なガラス溶融炉への温度計の追加設置等の設備改善や、低模擬廃液等を用いた事前確認試験の実施、実廃液を用いた最終確認試験の実施等、竣工に必要な作業に要する期間を考慮して、二年間に決定したものと聞いている。

一の2について

 日本原燃からは、平成元年の当初計画の発表後、耐震性、飛来物に対する防護性及び核拡散抵抗性の強化に必要な設備の追加等により、建設費が増え、建設期間が延びたと聞いている。

二の1について

 一般の需要に応ずる電気の供給に係る料金に算入されている、使用済燃料の再処理等を適正に実施するための費用の額は、平成二十三年四月末時点で、キロワットアワー当たり、北海道電力株式会社が十四銭、東北電力株式会社が十四銭、東京電力株式会社(以下「東京電力」という。)が二十三銭、中部電力株式会社が十六銭、北陸電力株式会社が十二銭、関西電力株式会社が三十一銭、中国電力株式会社が十三銭、四国電力株式会社が三十三銭、九州電力株式会社が二十五銭となっている。
 使用済燃料の再処理等に要する費用の総額が増加した場合、これにどう対応するかは、一義的には各一般電気事業者の判断に委ねられる。各一般電気事業者が、一般の需要に応ずる電気の供給に係る料金の値上げを行う場合には、経済産業大臣の認可が必要であり、認可申請がなされた場合には、経済産業省において、料金が能率的な経営の下における適正な原価を踏まえたものになっているか等の観点から審査を行っていくこととなる。

二の2について

 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律(平成十七年法律第四十八号。以下「再処理等積立金法」という。)第三条第一項に規定する積立金(以下「再処理等積立金」という。)については、これを積み立てる義務を負う特定実用発電用原子炉設置者(再処理等積立金法第二条第六項に規定する特定実用発電用原子炉設置者をいう。以下同じ。)が、使用済燃料の発生等に応じて平成十七年度から平成九十六年度までの間に積み立てる一方、積み立てた金額から、使用済燃料の再処理等に要する費用を、平成九十六年度まで日本原燃に支払うこととなっている。
 また、再処理等積立金の管理については、再処理等積立金法第十条の規定により経済産業大臣の指定を受けた公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センターが行い、同大臣が必要な監督を行うこととされている。

二の3について

 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律等の一部を改正する法律(平成十九年法律第八十四号)により、原子力発電環境整備機構(以下「NUMO」という。)が行う最終処分の対象となる特定放射性廃棄物に第二種特定放射性廃棄物が追加されたことに伴い、日本原燃が、使用済燃料の再処理等に伴い生じた第二種特定放射性廃棄物の最終処分に必要な費用を、NUMOに納付することとなったためである。なお、日本原燃は、再処理等積立金法第四条の規定に基づく届出において、平成九十六年度まで使用済燃料の再処理等を実施する計画としている。また、最終処分に必要な費用を算定するに当たっては、最終処分施設の閉鎖後三百年間、モニタリング等の措置を実施することを前提としている。

二の4について

 独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所再処理施設(以下「東海再処理施設」という。)の分離精製工場等における、御指摘の年度ごとの「使用済核燃料再処理に係る研究開発費等」については、「東海再処理施設総事業費」として、原子力機構のホームページに掲載されている。また、六ヶ所再処理工場は使用済燃料の再処理のための商業用施設であり、六ヶ所再処理工場において研究開発は実施されていない。

二の5について

 平成二十一年度に創設された使用済燃料再処理事業高度化補助金の創設以来の予算額及び決算額は、同年度が十六・〇億円及び十五・二億円、平成二十二年度が十八・〇億円及び十五・五億円である。また、同補助金は、全て日本原燃に交付している。その他のお尋ねについては、詳細な調査等が必要となるため、お答えすることは困難である。

二の6について

 お尋ねについては、例えば、我が国独自のマイクロ波脱硝技術により得られたウラン・プルトニウム混合酸化物(以下「MOX」という。)粉末が、海外より導入した粉末混合プロセスを用いたMOX燃料の製造に適用できることが明らかになったことが挙げられる。これらの成果については、既に日本原燃が建設を進めているMOX燃料加工施設の設計に反映されている。

二の7について

 原子力発電に係るコストについては、平成十六年一月に総合資源エネルギー調査会電気事業分科会コスト等検討小委員会が、発電に直接要する経費の見積りを行っており、運転年数四十年、設備利用率八十パーセント、将来価値から現在価値への割引率三パーセントの場合には、一キロワットアワー当たり五・三円と試算しているが、東京電力株式会社福島第一原子力発電所(以下「福島第一原子力発電所」という。)における事故の検証、今後のエネルギー政策の在り方の議論等を踏まえ、今後、その算定方法を検討していく必要がある。

三の1について

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。以下「原子炉等規制法」という。)第六十二条の三の規定により、使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号)第十九条の十六各号に定める事故故障等が発生したとして再処理事業者からなされた報告(以下「法令報告」という。)のうち、昭和五十三年十月以前のものの発生日、事業所名及び事象内容は次のとおりである。
 昭和五十二年十月十四日 東海再処理施設 再処理建設所分析所において、グローブボックスのグローブが破損し、作業員二名の作業衣が汚染された。
 昭和五十三年八月二十四日 東海再処理施設 分離精製工場に設置されているガンマ線モニタが発報し、酸回収蒸発缶の加熱配管溶接部に腐食孔が発生していることが確認された。
 昭和五十三年十一月から平成二十一年十月までの間の法令報告の内容については、原子力安全年報又は原子力安全白書に記載されており、これらは、原子力安全委員会のホームページに掲載されている。平成二十二年以降の法令報告は、平成二十三年四月末時点で一件であり、その内容については、平成二十二年第五十回原子力安全委員会臨時会議配布資料に記載されており、これは、同委員会のホームページに掲載されている。
 法令報告以外の事象については、再処理事業者のホームページに掲載されている。

三の2について

 政府としては、再処理事業者は、事故故障等の発生の都度、責任を持って原因の調査、対策の実施、類似事象の再発防止等を行い、再処理施設のより安全な運転に努めなければならないものと考えている。

四の1について

 再処理施設におけるガラス固化体の製造過程において発生した事故等に関する法令報告の内容については、原子力安全白書に記載されており、これは、原子力安全委員会のホームページに掲載されている。
 また、技術的な問題点としては、例えばガラス溶融炉におけるガラスの流下性の低下について、ガラス溶融炉内の温度状態を把握するために設置された炉内の温度計の位置が適切ではなかったため、炉内の温度状態に変化が生じた際にその変化に適した電力調整が適切に行われなかったこと等が挙げられる。

四の2について

 原子力機構からは、動力炉・核燃料開発事業団(当時。以下「旧動燃」という。)は、我が国の電気事業者のほか、ドイツのカールスルーエ工学研究所及び石川島播磨重工業株式会社(当時)から技術協力を得たと聞いている。

四の3について

 東海再処理施設のガラス固化技術開発施設における、御指摘の年度ごとの「ガラス固化体製造施設における研究開発費等」については、「ガラス固化技術開発に係る費用」として、原子力機構のホームページに掲載されている。また、六ヶ所再処理工場は使用済燃料の再処理のための商業用施設であり、六ヶ所再処理工場の高レベル廃液ガラス固化建屋において研究開発は実施されていない。

四の4及び5について

 御指摘の意見書については、保存期間が経過し保存されていないため、事実関係の確認は困難であるが、日本原燃からは、旧動燃が開発を進めてきた液体供給式直接通電型セラミックメルタ法について、システムが単純で保守が容易であり、かつ、寿命が長いなどの特徴を有すること、この技術を実規模プラントに適用しても安全性・信頼性が十分に確保できる見通しが得られたこと、旧動燃からの技術支援・協力が期待できることなどから、これを採用したと聞いている。なお、フランスのアレバ社の再処理施設で用いられている高周波加熱法を採用した場合とのコスト比較は行っていないと聞いている。

五の1について

 お尋ねの「六ヶ所再処理工場の二〇一〇、二〇一一、二〇一二年度の使用済核燃料の受け入れ、貯蔵計画」については、日本原燃が、六ヶ所再処理工場の竣工延期に伴い公表した「再処理施設の使用計画」の中に記載されており、これは日本原燃のホームページに掲載されている。また、「各原子力発電所貯蔵プール等の貯蔵量」については、電気事業連合会が編集した「原子力・エネルギー図面集二〇一一」の中に記載されており、これは電気事業連合会のホームページに掲載されている。

五の2について

 使用済燃料の貯蔵については、平成十一年に原子炉等規制法を改正し、原子力発電所外での貯蔵が可能となるよう法整備を行うなど、政府として必要な取組を行ってきている。
 また、電気事業者としても、現在、青森県むつ市において、東京電力及び日本原子力発電株式会社の出資により設立されたリサイクル燃料貯蔵株式会社が貯蔵施設を建設中であるほか、各原子力発電所内における貯蔵施設の共用化、使用済燃料貯蔵プールの貯蔵能力の拡大等の取組を進めていると承知している。

五の3について

 核燃料サイクルについては、「原子力政策大綱」(平成十七年十月十一日原子力委員会決定)の策定過程において、佐藤栄佐久福島県知事(当時)の意見等も踏まえ、原子力委員会において議論を行い、安全性、技術的成立性、経済性、エネルギー安定供給、環境適合性、核不拡散性、海外の動向、政策変更に伴う課題、社会的受容性、選択肢の確保の十項目の視点から評価した結果、「使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本的方針とする。」との結論を得ている。

五の4について

 使用済燃料の再処理に伴い発生する低レベル放射性廃棄物は一様ではなく、それぞれについて処分方法が異なることから、その体積を地層処分される高レベル放射性廃棄物の体積と単純に比較することは適切ではないが、いずれにせよ、国内外における処理技術の開発状況を踏まえ、再処理に伴って発生する低レベル放射性廃棄物の一層の低減を図ってまいりたい。
 また、六ヶ所再処理工場からの放射性物質の放出量と原子力発電所からの放射性物質の放出量については、考慮する核種の違いなどから、単純に比較することは適切ではないと考えている。なお、六ヶ所再処理工場から放出すること等による一般公衆における実効線量については、六ヶ所再処理工場の事業の指定に係る安全審査(以下単に「安全審査」という。)において、法令の定める限度を超えないことはもとより、合理的に達成できる限り低いものであることを確認し、安全上問題ないと判断している。

五の5について

 使用済燃料の再処理によるウラン資源の利用効率については、原子力政策大綱において、「再処理する場合には、ウランやプルトニウムを回収して軽水炉で利用することにより、一~二割のウラン資源節約効果が得られ、さらに、高速増殖炉サイクルが実用化すれば、ウラン資源の利用効率が格段に高まり、現在把握されている利用可能なウラン資源だけでも数百年間にわたって原子力エネルギーを利用し続けることが可能となる。」とされている。

五の6について

 電気事業連合会からは、六ヶ所再処理工場が稼働した際には、年間四トン強のプルトニウムの回収が見込まれ、他方、電気事業者は平成二十七年度までに十六基から十八基の原子炉でプルサーマルの実施を目指しており、これにより年間五・五トンから六・五トンのプルトニウムの利用が見込まれると聞いている。したがって、再処理を行っても余剰は発生しないものと考えられる。

六の1及び2について

 六ヶ所再処理工場の耐震安全性については、安全審査において、平成十八年の改訂前の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(昭和五十六年七月二十日原子力安全委員会決定。以下「旧耐震指針」という。)等を踏まえ、基準地震動として最大三百七十五ガルの地震動に耐えられる設計となっていることを確認している。
 また、日本原燃の再処理事業所廃棄物管理施設(以下「高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センター」という。)の耐震安全性については、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの事業の許可の過程において、旧耐震指針等を踏まえ、基準地震動として二百三十ガルの地震動に耐えられる設計となっていることを確認している。
 なお、六ヶ所再処理工場については、平成十八年の改訂後の「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」(平成十八年九月十九日原子力安全委員会決定。以下「新耐震指針」という。)等を踏まえた、既設の原子力施設の耐震安全性の確認(以下「耐震バックチェック」という。)を行った結果、基準地震動として水平方向で四百五十ガル及び鉛直方向で三百ガルの地震動に耐えられる設計となっていることを確認している。

六の3について

 お尋ねの「同工場で製造されたガラス固化体」及び「海外から返還された高レベル放射性廃棄物ガラス固化体」の貯蔵量については、日本原燃が関係自治体に報告している「安全協定に基づく定期報告書」の中に記載されており、これは日本原燃のホームページに掲載されている。

六の4について

 日本原燃からは、六ヶ所再処理工場における高レベル廃液等の貯蔵量は、平成二十三年四月末時点で約二百四十立方メートルと聞いている。
 また、六ヶ所再処理工場に設置されている高レベル廃液等に係る貯槽は、容量約百二十立方メートルの高レベル濃縮廃液貯槽が二基、容量約二十五立方メートルの高レベル濃縮廃液一時貯槽が二基、容量約七十立方メートルの不溶解残渣廃液貯槽が二基、容量約五立方メートルの不溶解残渣廃液一時貯槽が二基、容量約百二十立方メートルのアルカリ濃縮廃液貯槽が一基、容量約百二十立方メートルの高レベル廃液共用貯槽が一基であると承知している。
 なお、日本原燃によれば、それぞれの貯槽に貯蔵されている廃液の量については、日本原燃のノウハウ等に係る事項であるため、回答を差し控えたいとのことであり、政府としても、その量は承知していない。
 高レベル廃液貯蔵設備を含め、六ヶ所再処理工場の耐震安全性については、安全審査の過程において、旧耐震指針等を踏まえて確認したほか、耐震バックチェックにおいて改めて確認している。

六の5について

 六ヶ所再処理工場の高レベル廃液貯蔵設備に設置された高レベル廃液貯槽は、高レベル廃液の崩壊熱を除去するための冷却設備を二系列有しており、このうち一つの系列が作動していれば、高レベル廃液貯蔵設備の冷却機能が維持できる設計となっている。
 また、高レベル廃液貯蔵設備等、六ヶ所再処理工場の安全上重要な施設であって、動力源として電力を必要とするものについては、二回線ある外部電源系統及び分離独立した二つの非常用所内電源系統に接続されており、外部電源が二回線とも喪失した時であっても、非常用所内電源系統の一つが作動すれば電力供給が維持できる設計となっている。
 さらに、経済産業省は、平成二十三年五月一日、日本原燃等に対して、津波その他の事象により交流電源を供給する全ての機能、再処理施設の放射性物質の崩壊熱を除去する機能及び水素の発生のおそれがある設備においてその滞留を防止する機能を喪失した場合に、それらを回復することを可能とするための緊急安全対策を講じるよう求めたところである。

六の6について

 六ヶ所再処理工場については、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震を引き起こした断層そのものについて評価を行っているものではないが、旧耐震指針等を踏まえ、文献調査や地震工学的見地等からの検討を行い、青森県東方沖のプレート境界上の地震としてマグニチュード八・二五、震央距離五十キロメートル及び深さ六十キロメートルを想定し、並びに直下地震としてマグニチュード六・五及び震源距離十キロメートルを想定し、評価を行ったものである。
 なお、東北地方太平洋沖地震における六ヶ所村の震度は四であり、六ヶ所再処理工場の分離建屋においては最大加速度震幅が約三十七ガルの地震記録が得られており、一部の設備・機器に不具合が生じたものの、安全への影響はなかったものと認識している。

六の7について

 旧耐震指針等を踏まえた安全審査においては、六ヶ所再処理工場及び高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの主要な建物及び構築物を配置する敷地は、標高約五十五メートルに整地造成され、また、海岸からは約五キロメートル離れていることから、津波及び異常潮位により六ヶ所再処理工場及び高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターの安全性が損なわれることはないと判断している。

六の8について

 科学技術庁(当時)は、安全審査において、外部電源を二回線から受電しており、一回線が停電時においても、六ヶ所再処理工場の運転に必要な電力量が確保できる設計となっていることを確認するとともに、六ヶ所再処理工場の本体及び使用済燃料受入れ・貯蔵施設において、それぞれ二つの非常用所内電源系統のうち一つにより安全を確保できるといった幾重にも対策がとられていることを確認しており、さらに、仮にこれらの電源が短時間全て喪失したとしても安全であることを確認している。
 また、六の5についてでお答えしたとおり、経済産業省は、平成二十三年五月一日、日本原燃等に対して、津波その他の事象により交流電源を供給する全ての機能、再処理施設の放射性物質の崩壊熱を除去する機能及び水素の発生のおそれがある設備においてその滞留を防止する機能を喪失した場合に、それらを回復することを可能とするための緊急安全対策を講じるよう求めたところである。

七の1について

 平成二十一年十月に政府が実施した「原子力に関する特別世論調査」においては、「原子力発電に伴い「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれる廃棄物が発生する」ことについて、五十三・七パーセントが認知していると回答し、「高レベル放射性廃棄物の処分地を、私たちの世代が責任をもって、速やかに選定するべき」かについて、八十二・二パーセントが「そう思う」(「そう思う」及び「どちらかといえばそう思う」の合計)と回答しており、国民の一定の理解を得ていると考えている。

七の2について

 放射性廃棄物の処理・処分は、原子力発電を利用する上で必須の課題であり、原子炉等規制法等の関連法令に基づき、放射性廃棄物の種類や放射能レベル等に応じて適切に行われることとなっている。このうち、高レベル放射性廃棄物の最終処分については、我が国では昭和五十年代から地層処分の研究を行ってきており、平成十二年には特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)が成立し、地層処分の制度的枠組みが整備され、処分実施主体としてNUMOが設立された。平成十四年には、処分地選定のための最初の調査段階である文献調査について、NUMOが全国の市町村を対象に公募を開始している。政府としては、今後とも処分地選定に向けた取組を進めてまいりたい。

七の3について

 政府としても、正確な情報を迅速に国民に伝えることが必要であると考えている。

八の1について

 六ヶ所再処理工場は、平成二十四年十月の竣工を目指して着実に取組が進められているところであり、政府としては、この取組に対して必要な支援を実施していく考えである。最終処分については、七の2についてでお答えしたとおり、処分地選定のための最初の調査段階である文献調査について、NUMOが全国の市町村を対象に公募を開始しており、政府としても必要な取組を行ってまいりたい。

八の2について

 経済産業省は、福島第一原子力発電所の事故を踏まえ、同様の事故が発生しないようにすることが重要であると認識している。そのため、当面の対応として、電気事業者等に対して、平成二十三年三月三十日に、津波による電源機能等の喪失時においても炉心損傷等を防止し、放射性物質の放出を抑制しつつ原子炉施設の冷却機能を回復することを可能とするための緊急安全対策の実施を指示し、また同年四月九日に、定期検査中等の原子炉についても非常用交流高圧電源母線に接続する非常用発電機を二台動作可能とすることを指示し、さらに同月十五日に、外部電源の信頼性の確保に向け、複数の電源線からの全ての送電回線と各号機との接続、発電所内の電源線の送電鉄塔の強化、電気設備の浸水防止等の対策実施を指示したところである。
 今後さらに、東北地方太平洋沖地震によって福島第一原子力発電所で発生した事象について、全体像の把握、分析及び評価を行い、安全基準について見直しを行うなど所要の対策を講じていく必要があると認識している。

九の1及び2について

 クリプトン八十五を含む放射性物質を六ヶ所再処理工場から放出すること等による一般公衆における実効線量については、フィルター等により除去可能な放射性物質をできるだけ除去することにより、法令の定める限度を超えないことはもとより、合理的に達成できる限り低いものとなることを、安全審査において確認し、安全上問題ないと判断している。
 なお、クリプトン八十五の回収・固定化技術については、原子力機構からは、現時点において具体的な実用化の見通しはないと聞いている。

十について

 再処理等積立金は、使用済燃料の再処理等の費用に充てるため、再処理等積立金法の規定に基づき、特定実用発電用原子炉設置者が積み立てているものであり、他の用途に充当することは適切ではないと考えている。