質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三五号

内閣参質一七七第一三五号
  平成二十三年五月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員長谷川岳君提出平成二十三年度税制改正案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員長谷川岳君提出平成二十三年度税制改正案に関する質問に対する答弁書

一及び九について

 平成二十三年度税制改正においては、「平成二十二年度税制改正大綱」(平成二十一年十二月二十二日閣議決定)で示した改革の方向性等との整合性を確保しつつ、所得・消費・資産等にわたる抜本改革の実現に向けて、経済活性化と財政健全化を一体として推進するという枠組みの下で、特に、現下の厳しい経済状況や雇用情勢に対応して、経済活性化や税の再分配機能の回復、地球温暖化対策などの課題に優先的に取り組むとともに、納税者・生活者の視点などに立った改革に取り組み、全体として、税制抜本改革の一環をなす、緊要性の高い改革を実施することとしている。このうち、法人実効税率の引下げは、デフレから脱却し、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくため、国内企業の国際競争力強化と外資系企業の立地を促進し、雇用と国内投資を拡大する観点から実施することとしている。

二について

 平成二十三年度税制改正においては、中小法人に対しても適用される法人実効税率の引下げを行うことに加え、中小法人の八百万円以下の所得に対する十八パーセントの軽減税率を十五パーセントに引き下げることとしている。これに加え、新たに導入する雇用促進税制の適用要件を緩和する、欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、現行の控除限度額を存置するといった措置も講じ、中小企業に対しては十分な配慮を行っている。

三について

 平成二十三年度税制改正において創設することとしている雇用促進税制については、雇用の受け皿となる成長企業を支援するものであり、一定の雇用の増加を後押しする効果が期待できるものと考えている。

四について

 税制については、経済・社会状況の変化に対応し、毎年度所要の改正を行う必要があると考えている。なお、税制改正の実施に当たっては、その内容について、ホームページの活用、パンフレットの作成及び配布等を通じて十分な周知を行うよう努めているところである。

五について

 社会保険料負担の軽減策を講ずることについては、保険料収入が減少することとなり、これに対応するため、年金の給付水準の引下げや医療保険の給付削減といった措置が必要となる可能性があることから、慎重な検討が必要であると考えている。

六について

 固定資産税は、資産の保有と市町村の行政サービスとの間の受益関係に着目し、個人・法人の別や所得の多寡に関わりなく、客観的な資産価値に応じて課税されるものである。中小企業に対する固定資産税を含め、地域の活性化のために必要な税制の在り方については、今後も税制調査会等において検討を行ってまいりたい。

七について

 法人実効税率については、「平成二十三年度税制改正大綱」(平成二十二年十二月十六日閣議決定)において、「デフレ脱却と雇用拡大を最優先して、「ペイアズユーゴー原則」との関係では今回の税制改正による財源の確保は十分でありませんが、思い切った引下げ措置を講ずる」こととしたものである。なお、平成二十三年度予算においては、歳出・歳入両面において最大限の努力を行い、新規国債発行額について「財政運営戦略」(平成二十二年六月二十二日閣議決定)に定める水準を上回らないものとする等財政規律を堅持したところである。

八について

 十六歳未満の扶養親族を控除対象とする、いわゆる年少扶養控除については、平成二十二年度税制改正において、子ども手当の創設とあいまって廃止し、所得税については平成二十三年分からその廃止が適用されているところである。年少扶養控除の廃止を含む平成二十二年度税制改正については、その内容について、ホームページの活用、パンフレットの作成及び配布、各国税局等による源泉徴収義務者への説明等を行ってきたところであり、引き続き、適切な広報に努めてまいりたい。
 二十三歳から六十九歳までの扶養親族を控除対象とする、いわゆる成年扶養控除については、本来、成年者は基本的に独立して生計を立てるべき存在であること等を踏まえ、平成二十三年度税制改正において、その対象を見直すこととしており、当該改正内容を含む「所得税法等の一部を改正する法律案」(第百七十七回国会閣法第二号)を平成二十三年一月二十五日に国会に提出したところである。現在、同法案は国会において審議されているところである。

十について

 行政刷新会議ワーキンググループによる事業仕分けは、「「事業仕分け」の基本原則の確認」(平成二十二年三月十一日行政刷新会議了承。以下「基本原則」という。)に示されているとおり、「予算執行の現場への徹底したヒアリングや調査等に基づき」実施しているものである。
 また、各府省自らが自律的に実施する行政事業レビューは、「平成二十三年における「国丸ごと仕分け」(行政事業レビュー)について」(平成二十三年三月二日行政刷新会議決定)に示されているとおり、事業仕分けの内生化・定常化を図るものであることから、基本原則を踏まえ実施しなければならないものとしている。
 なお、創業支援の重要性の観点から、経済産業省としては、「中小企業支援ネットワーク強化事業」等により創業希望者からの個別の相談にきめ細かく対応することとしている。