質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三二号

内閣参質一七七第一三二号
  平成二十三年五月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員上野通子君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員上野通子君提出緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI」に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(以下「SPEEDI」という。)については、財団法人原子力安全技術センター(以下「センター」という。)において、文部科学省の委託を受けて実施しているSPEEDI高度化のための調査の一環として、中央情報処理計算機の維持・管理を行っているほか、緊急時には、文部科学省の指示を受け、放射能影響予測等を行い、その結果を関係機関に伝達することとしており、平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震(以下「地震」という。)の発生後、文部科学省の指示を受け、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所から一ベクレルの放射性物質が放出されたと仮定した場合の周辺環境における放射性物質の大気中濃度及び空気吸収線量率の試算等を行い、その結果を原子力安全委員会(以下「委員会」という。)を含む関係機関に伝達しているところである。センターにおいては、同月十六日以降、文部科学省の指示を受け、委員会の依頼により、周辺環境における放射性物質の大気中濃度の測定結果等から推定される福島第一原子力発電所からの放射性物質の放出量等に基づき、周辺環境における積算線量の試算等を行い、その結果を委員会に伝達しているが、御指摘のように「運用を原子力安全委員会に一元化した」という事実はない。
 なお、原子力災害対策本部は、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第十八条の規定に基づき、緊急事態応急対策として実施するSPEEDIによる放射能影響予測を含む原子力災害に関する情報の収集等の総合調整を行っている。

二について

 東京電力株式会社の福島第一原子力発電所及び福島第二原子力発電所については、地震による通信系統の途絶等により、原子炉の状態等に関する情報が入手できなかったため、実際の放射性物質の予測放出量等の情報を得ることができなかった。こうしたことから、平成二十三年三月十一日から同月十二日までの間に原子力災害対策特別措置法に基づき行った避難のための立ち退きに係る指示の際に、SPEEDIを活用することはできなかった。

三について

 地震発生後、東京電力株式会社の福島第一原子力発電所については、実際の放射性物質の予測放出量等の情報が得られないことから、これに基づく放射性物質の拡散予測を行うことができない状況にあるが、SPEEDIが御指摘のように「停電や計器故障により計算不能状態にあった」という事実及び委員会がその旨を「公表した」という事実はない。また、平成二十三年三月二十三日に委員会が公表したSPEEDIを用いた積算線量の試算の結果については、同月二十四日に外務省が開催した在京外交団を対象とした説明会において、委員会から説明している。