質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二八号

内閣参質一七七第一二八号
  平成二十三年五月二日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員山谷えり子君提出国家公務員制度改革に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山谷えり子君提出国家公務員制度改革に関する質問に対する答弁書

一について

 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二十条第一項の規定に基づく統計報告である常勤職員在職状況統計報告及び検察官在職状況統計報告によれば、一般職非現業の常勤職員の人数は、平成二十三年一月一日現在で、二十七万二千九百十一人であり、その職種別の人数は、行政職俸給表(一)が適用される職員が十四万九千七百六十四人、行政職俸給表(二)が適用される職員が三千九百三十六人、専門行政職俸給表が適用される職員が八千四百五人、税務職俸給表が適用される職員が五万四千三百三十六人、公安職俸給表(一)が適用される職員が二万三千六十五人、公安職俸給表(二)が適用される職員が二万三千八百七十一人、海事職俸給表(一)が適用される職員が二百五人、海事職俸給表(二)が適用される職員が三百五十四人、教育職俸給表(一)が適用される職員が九十人、教育職俸給表(二)が適用される職員が百三人、研究職俸給表が適用される職員が千三百八十人、医療職俸給表(一)が適用される職員が七百七十七人、医療職俸給表(二)が適用される職員が四百六十九人、医療職俸給表(三)が適用される職員が千八百三十一人、福祉職俸給表が適用される職員が二百五十八人、専門スタッフ職俸給表が適用される職員が百五十八人、指定職俸給表が適用される職員が八百六十七人、特定任期付職員俸給表が適用される職員が三百二十九人、第一号任期付研究員俸給表が適用される職員が二十人、第二号任期付研究員俸給表が適用される職員が五十人、検察官が二千六百四十三人である。
 このうち、警察職員(入国警備官を含む。)及び海上保安庁又は刑事施設に勤務する職員並びに事務次官、外局の長官及び局長等以外の職員に協約締結権を付与する方向で検討を進めており、常勤の警察職員(入国警備官を含む。)及び海上保安庁又は刑事施設に勤務する常勤職員の人数は、平成二十三年一月一日現在で四万千十人である。また、事務次官、外局の長官及び局長等の範囲は中央労働委員会が認定して告示する方向で検討を進めているため、現時点で該当する正確な職員数をお示しすることは困難であるが、指定職俸給表が適用される職員の一部であると想定される。
 以上を前提として、協約締結権を付与する方向で検討を進めている一般職非現業の常勤職員が国家公務員(国会及び裁判所の国家公務員を除く。)全体に占める割合について、平成二十三年一月一日現在の一般職非現業及び特定独立行政法人の常勤職員の人数並びに平成二十三年度末の国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員及び特別職の国家公務員(国会及び裁判所の国家公務員を除く。)の予算定員の総数の合計を基にお示しすれば、約四割となる。

二について

 平成二十年六月十三日に施行された国家公務員制度改革基本法(平成二十年法律第六十八号)において、政府は国民に開かれた自律的労使関係制度を措置するものとされており、また、必要な法制上の措置については同法の施行後三年以内を目途として講ずるものとされていることを踏まえて、勤務条件の決定に関する現行の仕組みを見直し、団体交渉を通じて労使で自律的に勤務条件を決定することができるよう、非現業国家公務員の労働基本権を拡大すること等を内容とする法律案を今通常国会に提出することとしているものである。

三について

 お尋ねの「自律的労使関係制度の措置に向けての意見募集」に寄せられた意見のうち、争議権の付与に否定的な意見の数は百六十三件であり、これは全ての寄せられた意見の七十五・一パーセントに当たり、また、争議権の付与の賛否に言及した意見の八十六・七パーセントに当たる。政府としては、寄せられた意見について、争議権の付与に対する賛否のみならず、個々の意見の内容について精査した上で、国家公務員の争議権については、新たに措置する自律的労使関係制度の下での団体交渉の実情や制度の運用に関する国民の理解の状況を勘案して検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするとの結論に至ったところである。

四について

 国家公務員制度改革基本法に基づく改革の具体化に向けての検討の中で、非現業国家公務員に争議権が付与された場合に関係者が被る被害等への対応については、立法政策として国家公務員に争議権を付与することが国民との関係でどのような意味を持つのか、また争議行為が行われた時点で第三者との関係では使用者責任を離れた問題になるのか等の原点に立ち戻って精査する必要があるという議論がなされたところである。
 国家公務員の争議権については、新たに措置する自律的労使関係制度の下での団体交渉の実情や制度の運用に関する国民の理解の状況を勘案して検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしているところであり、その際、訴訟問題となった場合の責任者の在り方も含めて、政府として必要な検討を行ってまいりたい。