質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一〇三号

内閣参質一七七第一〇三号
  平成二十三年三月十一日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員荒井広幸君提出青年海外協力隊員等の帰国後の就職支援策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員荒井広幸君提出青年海外協力隊員等の帰国後の就職支援策に関する質問に対する答弁書

一について

 独立行政法人国際協力機構(以下「JICA」という。)が実施した就職状況のアンケート調査によれば、青年海外協力隊員は、帰国後一年以内にそのほとんどが就職又は大学等への入学若しくは復学をしていると承知している。したがって、帰国した青年海外協力隊員が就職すること自体が困難であるとは考えていないが、これら隊員がその経験をいかして社会で活躍できるよう支援していくことは重要であると考えている。
 非政府組織(以下「NGO」という。)については、政府としてその活動に携わった方々の帰国後の就職状況を網羅的に把握する立場にないが、一般に、海外でのNGOの活動に携わった方々については、帰国後も当該NGOにおいて継続して活動する場合が少なくないものと承知している。

二について

 青年海外協力隊員を採用しようとする企業が当該隊員の海外における活動を把握できるようその活動を認定・評価する仕組みを設けることは、企業の青年海外協力隊員に対する採用意欲を高め、青年海外協力隊員がその経験をいかして社会で活躍できるよう支援する上でも有益と考える。これまでも、外務省は、途上国での貢献活動をたたえ、また、感謝するため、帰国した青年海外協力隊員に対して、外務大臣感謝状を授与している。また、JICAは、帰国した青年海外協力隊員に対して派遣証明書を交付している。これらに加え、どのような対応が可能かについて、御指摘も踏まえ、更に検討してまいりたい。
 NGOについては、市民による国際貢献として各団体の理念や価値判断に基づき自発的に活動していることから、政府としてその活動を網羅的に把握する立場になく、その海外における活動を認定・評価することは、政府の行うべき施策であるとは必ずしも考えていない。

三について

 帰国した青年海外協力隊員を採用することについて企業にインセンティブを与えることは重要と考えており、どのような対応が可能かについて、検討してまいりたい。なお、公共調達の参加資格の設定等において企業の青年海外協力隊員の採用実績を考慮することについては、個々の契約内容に応じて、慎重に検討する必要があると考える。また、政策税制措置を新設する場合には、その費用対効果の見通しや緊要性を踏まえて慎重に検討する必要があると考える。
 NGOについては、市民による国際貢献として各団体の理念や価値判断に基づき自発的に活動していることから、御指摘の方法等によりNGOの活動に携わった方々を採用することについて企業にインセンティブを与えることは、政府の行うべき施策であるとは必ずしも考えていない。

四について

 企業が青年海外協力隊員を採用することが社会的に評価される環境を整えることは重要と考える。外務省は、帰国した青年海外協力隊員を採用した企業等に限らず、青年海外協力隊事業について顕著な貢献をした企業等に対し、外務大臣表彰を行っている。また、JICAは、社員を青年海外協力隊員として現職参加させている企業や帰国した青年海外協力隊員を採用している企業について、「サポーター宣言」企業として、その企業名をJICAのホームページで公表している。
 NGOについては、市民による国際貢献として各団体の理念や価値判断に基づき自発的に活動していることから、NGOの活動に携わった方々を採用した企業を顕彰することは、政府の行うべき施策であるとは必ずしも考えていない。