質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第八六号

内閣参質一七七第八六号
  平成二十三年三月四日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員山谷えり子君提出エジプトからの邦人救出に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山谷えり子君提出エジプトからの邦人救出に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「自国民を退避させるまでに要した日数」については把握していないが、中国、米国及びドイツは本年一月三十一日(現地時間。以下同じ。)に、英国は同年二月三日に、それぞれ最初のチャーター機にてエジプトから自国民を退避させ、また、フランスは、チャーター機の手配を行わなかったと承知している。なお、我が国は、同年一月三十一日から二月一日にかけて、チャーター機にて邦人旅行者を退避させたところである。

二について

 政府としては、エジプトにおけるデモが大規模化し情勢が急変したことを受け、御指摘の「日本からの飛行機」等、様々な出国手段を検討した上で、カイロ国際空港に足止めされている邦人旅行者を最も迅速かつ効率的に出国させるための手段として、エジプト近隣のチャーター機会社の利用が適切であると判断するとともに、その輸送先として、迅速に輸送することができ、また輸送後の乗り継ぎ等乗客側の利便性が高いローマを選定したところである。
 諸外国においては、中国、米国、英国及びドイツがチャーター機を派遣し、このうち、中国が自国の航空会社のチャーター機を派遣したと承知している。

三について

 チャーター機を派遣する場合、同機が唯一の移動手段でない限り、受益者負担の観点及び商用便を利用する他の邦人旅行者等との間の公平性確保の観点から、利用者に応分の費用の負担を求めることとしている。今回は、チャーター機の借り上げに要した費用を利用予定者数で割った額から、支払の簡便性及び余剰金の発生防止の観点から千円未満の額を除いた額である三万四千円を、一人当たりの負担額としたところである。また、当初チャーター機の利用を予定していたもののその後商用便の利用に変更した者からは、当時の現地の状況に鑑み、費用を徴収しないこととしたところである。そのため、実際の利用者全員から負担額を徴収しても不足額が生じることとなったが、これについては、政府の重要な任務の一つである海外邦人保護業務の実施により生じた経費として、国庫にて負担することもやむを得ないと考えている。

四について

 海外における邦人退避支援に係るマニュアルは存在しない。

五について

 エジプトにおけるデモが大規模化し情勢が急変して以降、外務省は、カイロ国際空港内に多数の邦人旅行者が足止めされていることを把握したため、直ちに可能な出国手段を検討し、政府チャーター機を派遣することを決定し、本年一月三十一日から二月一日にかけて、チャーター機が三便運航されたものである。政府としては、カイロ国際空港の状況を把握してから実際にチャーター機が運航されるまで、可能な限り迅速に手続を進めたと考えている。