質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第八四号

内閣参質一七七第八四号
  平成二十三年三月一日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員糸数慶子君提出原爆症の認定に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出原爆症の認定に関する質問に対する答弁書

一について

 先の答弁書(平成二十二年十月二十二日内閣参質一七六第二四号。以下「前回答弁書」という。)二についてでお答えしたとおり、お尋ねの「原爆報告書」の原本の所在については承知していない。

二について

 前回答弁書二についてで述べた「当該報告書の原本」とは、お尋ねの「「原子爆弾災害調査報告集」の原本」ではなく、一についてで述べた「原爆報告書」の原本のことであり、その所在については承知していない。なお、日本学術会議が昭和二十八年に編集した「原子爆弾災害調査報告集」については、厚生労働省において保管しており、被爆者援護施策を実施する上で参考となるものであると考えている。

三及び四について

 御指摘の日記は門田可宗氏の「原子爆彈症病床日誌」を指すものと考えるが、そうであるとすれば、お尋ねについては、当該日誌が御指摘の「原子爆弾災害調査報告集」に収載されている「原子爆彈症の臨牀」の文献一覧に挙げられていること以外は承知していない。

五の1、2及び4について

 前回答弁書一の2についてでは、医療分科会の事務局職員(以下「職員」という。)が同分科会の委員(以下「委員」という。)に対し、事前の確認の依頼を行った具体的な日時及び件数並びに委員が確認に要した時間についての記録はとっていない旨をお答えしたものであり、委員からの追加資料の要求など、同分科会における審査のために事務局で対応すべき事項については、記録をとっているところである。仮に担当の職員の業務遂行が不可能となった場合であっても、当該記録に基づき、他の職員が適切に対応することが可能である。

五の3について

 職員が広島や長崎に出張した際の記録は存在しており、当該記録に基づき、事前に職員が委員に対し、確認の依頼を行った日については把握できるが、当該出張の記録には、当該依頼の詳細は記載されていない。

六から九までについて

 お尋ねの点については、現在係争中の訴訟において争点となっている事項に関わるものであることから、お答えすることは差し控えたい。
 なお、先の答弁書(平成二十二年五月二十一日内閣参質一七四第六八号)一の2についてでお答えしたとおり、平成十二年七月十八日最高裁判所第三小法廷判決は、DS八六については、当該原告の事案についてその適用を躊躇せざるを得ない旨を判示したものであり、DS八六そのものを否定したものではないと認識している。

十について

 お尋ねの原爆症認定集団訴訟における原告については、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第三十三条第二項の規定に基づき、判決の趣旨に従い、厚生労働大臣において原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(平成六年法律第百十七号)第十一条第一項の認定を行ったものであり、当該原告がどのような放射線によって被曝したかについて、政府としての判断はしていない。

十一及び十二について

 政府としては、お尋ねの「遠距離被爆者」という語を用いたことはなく、お尋ねについてお答えすることは困難である。