質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第六二号

内閣参質一七七第六二号
  平成二十三年二月二十五日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員加藤修一君提出地上デジタル放送の難視聴地域における「地デジ難民」の回避に向けた対策の強化・拡充に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員加藤修一君提出地上デジタル放送の難視聴地域における「地デジ難民」の回避に向けた対策の強化・拡充に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「対応計画における対象世帯数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、既にデジタル化対応の計画が作成されている「ビル陰」等の受信障害対策共聴施設を利用して地上アナログ放送を視聴してきた世帯の推計数は、平成二十二年十二月末現在、北海道約一万八千三百、青森県約四千四百、岩手県約千二百、宮城県約二万三千、秋田県約八百、山形県約六百、福島県約二万九千三百、茨城県約一万千六百、栃木県約二千六百、群馬県約六千百、埼玉県約八万千三百、千葉県約七万六千五百、東京都約二十万七百、神奈川県約一万八千、新潟県約千七百、富山県約三百、石川県約九百、福井県約二百、山梨県約五百、長野県約千三百、岐阜県約三千九百、静岡県約七千、愛知県約二万九千五百、三重県約二千、滋賀県約二千九百、京都府約五万七千五百、大阪府約十万四千四百、兵庫県約六千四百、奈良県約六千六百、和歌山県約二千二百、鳥取県約百、島根県約百、岡山県約八百、広島県約千九百、山口県約六百、徳島県約二千五百、香川県約三百、愛媛県約千二百、高知県約百、福岡県約一万千百、佐賀県約五百、長崎県約千七百、熊本県約七百、大分県約四百、宮崎県約百、鹿児島県約千四百、沖縄県約八百であり、既にデジタル化対応の計画が作成されている「山間地」等の辺地共聴施設(住民が組合を作って自主的に設置・運営し、又は地方公共団体が設置・運営している共聴施設をいう。以下同じ。)を利用して地上アナログ放送を視聴してきた世帯の数は、平成二十二年十二月末現在、北海道約六千二百、青森県約八百、岩手県約三千七百、宮城県約六百、秋田県約千二百、山形県約八百、福島県約七百、茨城県約三千六百、栃木県約百、群馬県約千八百、埼玉県約七百、千葉県約三千三百、東京都約二百、神奈川県約二千四百、新潟県約二千六百、富山県約二百、石川県約千六百、福井県約七百、山梨県約六千八百、長野県約九百、岐阜県約二百、静岡県約千七百、愛知県約千、三重県約九百、滋賀県約五千九百、京都府約五千七百、大阪府約二千七百、兵庫県約千八百、奈良県約七百、和歌山県約二百、鳥取県約千百、島根県約二千、岡山県約三千七百、広島県約二千八百、山口県約千七百、徳島県約一万八千四百、香川県約九百、愛媛県約七千五百、高知県約三千、福岡県約四百、佐賀県約六百、長崎県約二千、熊本県約千八百、大分県約六千、宮崎県約千九百、鹿児島県約二千八百、沖縄県約三百である。
 集合住宅共聴施設については、全国で約十二万八千施設と把握しているが、デジタル化対応の計画が作成されているか否かを把握しておらず、平成二十二年十二月末現在でデジタル化対応が行われていない集合住宅共聴施設については全て「検討中」として公表しているものである。このような施設の所有者に対して、既にデジタル化対応を行ったか、デジタル化対応が行われていない場合には本年七月二十四日までにその計画があるかを確認する等の取組を進めており、施設改修等に対する補助金等により支援を強化してまいりたい。
 また、辺地共聴施設は、平成二十二年十二月末現在でデジタル化対応が既に行われている施設以外の施設についても全て既にデジタル化対応の計画が作成されており、その方法を都道府県別に表すと、北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、福島県、群馬県、埼玉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、和歌山県、岡山県、広島県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県及び鹿児島県が施設改修、ケーブルテレビへの移行、個別受信又は地デジ難視対策衛星放送により、宮城県、茨城県、栃木県、千葉県及び沖縄県が施設改修、個別受信又は地デジ難視対策衛星放送により、富山県がケーブルテレビへの移行により、石川県、福井県、三重県及び佐賀県が施設改修又はケーブルテレビへの移行により、愛知県及び奈良県がケーブルテレビへの移行又は個別受信により、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、島根県、山口県、徳島県及び香川県が施設改修、ケーブルテレビへの移行又は個別受信により、鳥取県が施設改修、ケーブルテレビへの移行又は地デジ難視対策衛星放送により、それぞれデジタル化対応を行う計画となっていると承知している。

二について

 本年二月十日現在、既に「地デジボランティア」として活動している団体及び「地デジボランティア」としての活動が見込まれている団体の組織数・団体に所属し実際に活動する者の人数は、全国で千百九十六団体・二十万人規模である。全国的に活動している二団体を除き、その都道府県別の内訳をお示しすると、北海道に八十団体・約五千二百人、青森県に四十団体・約三千四百人、岩手県に六団体・約四千三百人、宮城県に八団体・約二千九百人、秋田県に四団体・約三千人、山形県に十四団体・約二千九百人、福島県に二十九団体・約二千六百人、茨城県に十四団体・約千四百人、栃木県に二団体・約三百人、群馬県に三団体・約三千百人、埼玉県に七十二団体・約千四百人、千葉県に十九団体・約九百人、東京都に五十二団体・約六千五百人、神奈川県に二団体・約九百人、新潟県に十団体・約千人、富山県に十五団体・約百人、石川県に二百十九団体・約千六百人、福井県に三十団体・約三千六百人、山梨県に十二団体・約千五百人、長野県に九団体・約一万三千三百人、岐阜県に六団体・約三百人、静岡県に二十一団体・約千四百人、愛知県に四十団体・約千百人、三重県に二十団体・約六百人、滋賀県に七団体・約五百人、京都府に八団体・約三千人、大阪府に十一団体・約四千人、兵庫県に十九団体・約四千人、奈良県に三団体・約三百人、和歌山県に六団体・約二百人、鳥取県に九団体・約千五百人、島根県に三十一団体・約四千百人、岡山県に十三団体・約一万千三百人、広島県に二十四団体・約千九百人、山口県に七団体・約九百人、徳島県に二団体・約百人、香川県に十六団体・約百人、愛媛県に四団体・約千九百人、高知県に四団体・約二千六百人、福岡県に八十六団体・約一万二千百人、佐賀県に三十七団体・約二千六百人、長崎県に四団体・約四千八百人、熊本県に三十五団体・約二千六百人、大分県に二十九団体・約千七百人、宮崎県に四十四団体・約二百人、鹿児島県に九団体・約二千二百人、沖縄県に五十九団体・約五百人である。

三について

 御指摘の「地デジ難民」の意味するところが必ずしも明らかではないが、受信障害対策共聴施設を利用して地上アナログ放送を視聴してきた約八百三十万世帯のうち約八百十万世帯に係る受信障害対策共聴施設についてデジタル化対応又はその計画作成が既に行われており、集合住宅共聴施設を利用して地上アナログ放送を視聴してきた約二千七十万世帯のうち約千九百九十万世帯に係る集合住宅共聴施設についてデジタル化対応が既に行われており、辺地共聴施設を利用して地上アナログ放送を視聴してきた約八十一万世帯の全てに係る辺地共聴施設についてデジタル化対応又はその計画作成が既に行われている。また、山間部等でこれまで地上アナログ放送を受信していたが地上デジタル放送が受信できない「新たな難視」が発生する地区に所在する世帯約二十八万九千世帯のうち約二十八万六千世帯についてデジタル化対応又はその計画作成が既に行われている。
 以上のように、本年七月二十四日の完全移行期日に向けた状況はおおむね順調に進捗しているものと認識しているが、総務省としては、今後とも、低所得世帯に対するチューナー等の無償給付制度や共聴施設の改修等に対する補助金制度の周知を含め丁寧な広報を実施し、個別のケースの進捗状況の把握を行いながら、暫定対策としての地デジ難視対策衛星放送による方法も含めた様々な取組によりデジタル化対応を進めていくこととしている。これらの取組により、当該期日までにテレビの視聴の継続が可能となる環境を整えることができると考えており、「見切り発車」と言われるような事態にはならないものと考えている。
 本年一月二十四日の「完全デジタル化最終行動計画」の記者発表時に、平岡秀夫総務副大臣は「これからが正念場だと思っております。しかし、我々としては、残りの数をしっかりと管理して対策を徹底することによって、七月二十四日には全ての国民の皆さんがデジタル放送を楽しめる状況を達成していきたいと思っておりますし、みんなで努力していけば、必ず達成できると思っております。」と発言した。
 日本放送協会(以下「NHK」という。)の福地茂雄会長(当時)は「今日の報告では、各地域のデジサポの活動が実を結びまして、心配しておりました集合住宅や、ビル陰共聴でも相当な進捗を見せているということでございます。NHKでも、一月五日からビル陰共聴への独自の経費助成をスタートさせました。NHKの組織を挙げて半年後のゴールに向けてまい進してまいります。」と、社団法人日本民間放送連盟の広瀬道貞会長は「ビル陰、集合住宅、山間へき地の辺地共聴、いずれの問題もほぼクリアされて、九十数パーセントのところが対応できたという数字が発表されました。これによりまして、七月二十四日に間違いなく切替えができるということが保証されたことになります。」と、それぞれ発言したと承知しており、それぞれの立場で地上デジタル放送への完全移行に向けて役割を果たしていかれるものと考えている。
 既に述べたとおり、総務省としては、様々な取組によりデジタル化対応を進めているところであり、本年七月二十四日の完全移行期日までにテレビの視聴の継続が可能となる環境を整えることができると考えており、当該期日を延期することなく予定どおり地上デジタル放送への完全移行を行うことができると考えている。

四について

 本年七月二十四日の完全移行期日を延期することは想定していない。したがって、「延期策」については検討していない。
 なお、「アナログ放送と、地デジが同時に存在する」場合の「経費」について、NHKの福地茂雄会長(当時)は、平成二十二年三月二十五日の衆議院総務委員会において、「年間で、地上アナログで四十億円、衛星アナログで大体二十億円、合わせて六十億円ぐらいが余分にかかってくるというふうに試算いたしております。」と答弁している。

五について

 お尋ねの「地デジ難民」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十二年九月時点で地上デジタル放送対応受信機の世帯普及率が九十パーセントを超え、また、同年十二月末時点において、受信機の出荷台数が累計で一億台を超えた。さらに、受信環境の整備状況の面においても、三についてで述べたとおり、本年七月二十四日の完全移行期日に向けた状況はおおむね順調に進捗しているものと認識している。御指摘の点を含め地上デジタル放送への完全移行については様々な指摘があることは承知しているが、総務省としては、今後とも、低所得世帯に対するチューナー等の無償給付制度や共聴施設の改修等に対する補助金制度の周知を含め丁寧な広報を実施し、個別のケースの進捗状況の把握を行いながら、暫定対策としての地デジ難視対策衛星放送による方法も含めた様々な取組によりデジタル化対応を進めていくこととしている。これらの取組により、当該期日を延期することなく予定どおり地上デジタル放送への完全移行を行うことができると考えている。

六について

 お尋ねの「難視聴世帯」の意味するところが必ずしも明らかではないが、地上デジタル放送に対応していない世帯(以下「地デジ未対応世帯」という。)に対しては、丁寧な広報・周知や補助金等による支援に加え、これまで、地域の電器店やケーブルテレビ事業者の協力も得て、既に百六十万を超える世帯を戸別に訪問し、デジタル化対応の支援を実施してきているが、今後も、現状二百人規模の電話相談体制の千人規模への拡充や千か所程度の臨時相談コーナーの設置を始めとする高齢者等に対する支援体制の充実を行うなど、最終段階で混乱が生じないようしっかり取り組んでまいりたい。
 「日常生活に欠かせない「世帯アクセス者」」との連携については、民生委員について地域の実情に応じ本来業務である独居高齢者世帯等への訪問の際に、また、郵便事業株式会社について高齢者等への対面配達の際に、地上デジタル放送への対応を促す声かけ等の点で協力を得てきたところであるが、引き続き、地域の諸団体と連携しつつ、きめ細かな対応に努めてまいりたい。

七について

 地デジ未対応世帯に本年七月二十四日の完全移行期日までにデジタル化対応を行っていただくための声かけを中心とした働きかけについては、六についてで述べたとおり、郵便事業株式会社等との連携を行ってきたところであり、また、二についてで述べたとおり、既に一定程度の団体が「地デジボランティア」として活動し、又は「地デジボランティア」としての活動が見込まれているところであり、「当該報告者に対して」「一定の謝礼を与えること」は考えていない。
 なお、総務省としては、「地デジボランティア」として活動している団体及び「地デジボランティア」としての活動が見込まれている団体に対し、地上デジタル放送を受信するために何をする必要があるかなどについての講習を無料で実施するなど、これらの団体に対する支援を積極的に行っているところである。