質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第五一号

内閣参質一七七第五一号
  平成二十三年二月十八日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員亀井亜紀子君提出竹島問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員亀井亜紀子君提出竹島問題に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、お尋ねの「海洋科学基地」、「防波堤」及び「宿舎」に関する報道は承知しており、大韓民国に対し、累次にわたり竹島問題に関する我が国の立場を明確に申し入れてきている。

二及び三について

 平成二十三年一月十五日の日韓外相会談においては、前原誠司外務大臣から竹島問題に関する我が国の立場を申し入れた。政府としては、大韓民国に対し、累次にわたり竹島問題に関する我が国の立場を申し入れてきており、同問題の平和的解決を図るため、粘り強い外交努力を行っていく考えである。

四について

 お尋ねの「日韓図書協定を「承認」しない状況を外交上のカードにして、「公告」を中止させるべき」の意味が必ずしも明らかではないが、政府としては、大韓民国に対し、累次にわたり竹島問題に関する我が国の立場を申し入れてきており、同問題の平和的解決を図るため、粘り強い外交努力を行っている。

五について

 政府としては、日韓両国及び両国民間の友好関係の発展に資するための特別の措置として、図書に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定を締結した上で同協定の附属書に掲げる図書を引き渡すこととし、これにより日韓両国間の文化交流及び文化協力の一層の発展に努めてまいりたいと考えている。

六について

 お尋ねについては、個々のケースにより様々であり、一概にお答えすることは困難であるが、一般に、国際法上、御指摘のような外国の行為に対し、黙認がある場合には、当該外国の領有権が容認される場合がある。

七について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、尖閣諸島が我が国固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も疑いのないところであり、現に我が国はこれを有効に支配している。したがって、尖閣諸島をめぐり中国との間で解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。また、北方領土問題及び竹島問題については、それぞれの問題をめぐる経緯及び状況等を踏まえ、それぞれの問題について適切に対応してきており、今後とも領土問題の解決を図るため、粘り強い外交努力を行っていく考えである。

八について

 現在、お尋ねの部署、大臣及び職員は置かれていないが、政府としては、引き続き、竹島問題に関する我が国の立場を主張し、同問題の平和的解決を図る上で、有効な方策を不断に検討していく考えである。

九について

 中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)の社会科の解説では、「我が国と韓国の間に竹島をめぐって主張に相違があることなどにも触れ、北方領土と同様に我が国の領土・領域について理解を深めさせることも必要である。」と記述しており、高等学校学習指導要領(平成二十一年文部科学省告示第三十四号)の地理歴史科地理A及び地理Bの解説では、高校生に対して、竹島を含めた我が国の領土問題について理解を深めさせるための指導が適切になされるよう、「北方領土など我が国が当面する領土問題については、中学校における学習を踏まえ、我が国が正当に主張している立場に基づいて的確に扱い、領土問題について理解を深めさせることが必要である。」と記述しているところである。
 また、教科用図書は、民間が創意工夫を生かして著作編集を行うものであり、学習指導要領に基づき、どのような事項をどのように記述するかは、当該図書の著作者等の判断に委ねられているが、その著作編集に当たっては、学習指導要領の記述の意味や解釈等の詳細について説明した学習指導要領の解説を十分に参照して行われるものと考えている。
 御指摘の「韓国がこのような対抗措置を取るのは、二〇〇八年七月、文部科学省が中学校社会科の学習指導要領解説書に竹島問題を記載したことが発端となっている。」の意味が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、政府としては、今後とも竹島問題の平和的解決を図るため、粘り強い外交努力を行っていく考えである。