質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一号

内閣参質一七七第二一号
  平成二十三年二月四日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員岩城光英君提出建設現場の足場からの墜落事故に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員岩城光英君提出建設現場の足場からの墜落事故に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 厚生労働省としては、本年一月に同省の「足場からの墜落防止措置の効果検証・評価検討会」が取りまとめた報告書において、労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号。以下「規則」という。)に定める足場からの墜落防止措置については、災害防止効果が高く、引き続き、規則の遵守徹底を図ることが適当であるとされていることを踏まえると、まずは、規則の遵守徹底を図ることが重要であると考えており、現時点において、御指摘の手すり先行工法の義務化や罰則の強化を行う必要はないと考えている。
 また、厚生労働省としては、引き続き、労働基準監督機関による建設現場に対する監督指導等に取り組むとともに、重大又は悪質な法令違反が認められた事案については、刑事事件として取り扱うなど厳正に対処してまいりたい。
 なお、御指摘の「百三十九」という数値は、足場からの墜落・転落災害による死亡者数ではなく、建設業における墜落・転落災害による死亡者数である。

二について

 公共工事においては、発注時の仕様書により、足場の設置が必要な工事について、手すり先行工法の使用が指定されることが多いのに対し、民間工事においては、一般に、工法の指定がなされず、施工業者が現場の実態に応じ、工法を選択していることから、公共工事と比較して民間工事における手すり先行工法の採用率が低くなっているものと考えられる。

四について

 政府としては、いわゆるダンピング受注は、工事の手抜き、下請へのしわ寄せ、労働条件の悪化、安全対策の不徹底等につながりやすいことから、「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」(平成十八年五月二十三日閣議決定)に基づき、公共工事の適正な施工体制を確保するため、低入札価格調査制度及び最低制限価格制度を適切に活用し、公共工事におけるいわゆるダンピング受注の排除に努めているところである。また、建設業者団体等を通じて、工事現場における安全管理等の施工管理が適切に行われるよう、必要な経費に十分留意して、適正な請負代金を設定するよう指導を行ってきているところである。
 今後とも、これらの取組により、いわゆるダンピング受注の排除の徹底に努めてまいりたい。