質問主意書

第177回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一七七第一七号
  平成二十三年二月一日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員田村智子君提出禁煙促進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員田村智子君提出禁煙促進に関する質問に対する答弁書

一について

 平成二十二年度における未成年者の喫煙の状況については、現在、「未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究」(平成二十二年度厚生労働科学研究費補助金循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業)において調査中である。なお、「未成年者の喫煙・飲酒状況に関する実態調査研究」(平成二十年度厚生労働科学研究費補助金循環器等生活習慣病対策総合研究事業)における調査によると、同年度において、毎日喫煙する者が高校三年生男子で七・二パーセント、高校三年生女子で二・四パーセントとなっている。
 未成年者の喫煙を防止するためには、喫煙が健康に与える悪影響について、正しい知識を学ばせることが重要であると考えており、小学校、中学校、高等学校等においては、学習指導要領等に基づき、喫煙と健康との関連について指導しているところである。文部科学省においては、こうした喫煙防止教育の充実を図るため、喫煙が健康に与える悪影響等について解説する教材を作成し、小学校五年生、中学校一年生及び高等学校一年生の全ての児童生徒に行き渡るよう各学校に配布するなどしているところである。また、警察庁及び財務省においては、未成年者がたばこを購入することを防止するため、全国たばこ販売協同組合連合会会長等に対し、「未成年者喫煙防止のための対面販売時における年齢確認等について(再要請)」(平成二十二年四月十九日付け警察庁丙少発第一一号・財理第一七二四号警察庁生活安全局長及び財務省理財局長連名通知)を発出し、たばこの対面販売時における未成年者と思われる者に対する年齢確認の徹底等の取組を要請したところである。

二について

 一般に死亡の原因を喫煙と特定することは困難であるが、厚生労働科学研究費補助金循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業「たばこに関する科学的知見の収集に係る研究」(平成十七年度から十九年度)によると、喫煙に起因する疾患により死亡した者の推計数は、平成十八年度において、男性十一万千人から十六万二千人、女性一万八千人から三万三千人となっている。また、主な疾患別では、全がんで男性六万六千人から七万六千人、女性六千人から七千人、全循環器疾患で男性二万四千人から三万六千人、女性一万人から一万四千人、全呼吸器疾患で男性一万二千人から二万二千人、女性二千人から四千人、全消化器疾患で男性千人から九千人、女性百人未満から二千人となっている。なお、これらの今後の数値については推計されていない。

三について

 平成二十二年十月一日のたばこ税の税率引上げによる需要減については、平成二十二年度の税制改正による増減収見込額(平年度)の計算において、たばこの課税見込数量が二十二・三パーセント減少するものと見込んでいる。
 お尋ねの禁煙指導の充実のための取組としては、厚生労働省において、地域の保健事業担当者等を対象とし、喫煙に係る健康教育を行うために必要な基礎知識、その実施方法等について解説した禁煙支援マニュアルを作成し、地方公共団体に配布するとともに、学校保健担当者等を対象とした未成年者の喫煙防止に効果的な教育方法等を指導する講習会等を実施する地方公共団体に対する補助を行っているところである。
 厚生労働省としては、引き続き、これらの取組を推進し、禁煙指導の充実に努めてまいりたい。

四の1について

 未成年者に対しては、まずは、学校等における指導等により喫煙防止を徹底することが重要であると考えるが、ニコチン依存症となった場合には、適切な治療が必要になると考える。

四の2について

 御指摘のニコチン依存症指導管理料の算定基準については、当該医療行為の有効性、安全性、費用対効果等を勘案し、中央社会保険医療協議会の議論等を踏まえ、適切に設定されているものであると考えている。

五について

 厚生労働省においては、御指摘のガイドラインが採択されたことを受けて開催した「受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」の検討結果を踏まえ、今後の受動喫煙防止対策の基本的な方向性として、公共の場は原則として全面禁煙であるべきことなどを記した「受動喫煙防止対策について」(平成二十二年二月二十五日付け健発〇二二五第二号厚生労働省健康局長通知)を発出したものである。
 また、職場における受動喫煙防止対策については、事業者の取組が十分とは言えない状況であるため、御指摘のガイドラインの採択も踏まえ、今後の職場における受動喫煙防止対策の在り方について、労働政策審議会において審議がなされ、平成二十二年十二月に厚生労働大臣に対し建議が行われたところである。建議においては、職場の全面禁煙又は空間分煙等による受動喫煙防止対策を行うことを事業者に義務付けることなどの提言がなされたところであり、今後、当該建議を踏まえ、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)の改正を含め、職場の受動喫煙防止対策の強化について検討することとしている。

六について

 平成二十二年十月一日のたばこ税の税率引上げによる増収分については、御指摘のような使途に充てることは考えていない。

七について

 政府としては、世界禁煙デーに合わせたシンポジウムなどを開催し、国民に広く禁煙を呼びかけるとともに、国民の健康の観点から、健康増進法(平成十四年法律第百三号)等に基づく受動喫煙防止対策の促進に取り組んでまいりたい。
 また、お尋ねのたばこ事業法(昭和五十九年法律第六十八号)については、「平成二十三年度税制改正大綱」(平成二十二年十二月十六日閣議決定)において、「平成二十四年度税制改正以降の税率引上げにあたっては、たばこの消費や税収、葉たばこ農家、小売店、製造者等に及ぼす影響等を十分に見極めた上で判断していきます。その過程で、たばこ法制について、現行のたばこ事業法を改廃し、たばこ事業のあり方について、上記のたばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて、新たな枠組みの構築を目指すこととします。」としており、現在、平成二十二年十月一日に実施した一本当たり三・五円の税率引上げに伴う影響等を見極めているところである。
 同法の改廃については、当該引上げに伴う影響等を十分に見極めた上で、たばこ関係者の生活や事業の将来像を見据えて判断してまいりたい。