質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二八一号

診療報酬改定における復興特例加算新設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月二十九日

川 田 龍 平   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   診療報酬改定における復興特例加算新設に関する質問主意書

 平成二十三年八月二十五日の参議院厚生労働委員会(以下「委員会」という。)において、診療報酬における復興特例加算という考え方について大塚厚生労働副大臣の考え方を質したところであるが、その公費負担の考え方につき更なる議論が必要と考えるので、以下政府の考え方について質問する。

一 大塚厚生労働副大臣は委員会において、患者の自己負担が増えるという理由で特例加算の議論を排除するべきでないという趣旨で、自己負担分は公費で賄うという考え方もあるので、被災者たる国民の負担は増えないという答弁をした。政府の考える公費負担とは、あくまで診療報酬における自己負担分を公費で賄うということであるのか、見解を示されたい。

二 一般に、特定地域の医療機関の診療報酬につき加算を行えば、該当地域の医療費全体が増加することになる。この場合、当該地域に居住する住民の多くが加入する市町村国保の財政状態は悪化するものと考えられ、当然に、次年度以降の保険料が増額となり、結果的には当該地域に居住する住民の負担が増えることになると予想される。このように考えるならば、公費負担が自己負担分のみという大塚厚生労働副大臣の示す考え方では、被災者の負担増は避けられないのではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 政府は復興特例加算新設に際して、診療報酬における自己負担分の公費負担のほかに、保険料に付加されるであろう特例加算によって生じる医療費の増加分を別途計算し、これを別途公費助成するなどの予算措置を講じることによって市町村国保の財政を援助し、実質的に当該地域の保険料が増額しないような施策を考えているのか。政府の見解如何。

四 仮に、三のような公費助成を考えているのであれば、何も相互扶助が原則であり、社会で公平に負担していく医療保険財源などを用いる必要はなく、別途、復興予算や地域医療体制整備予算などの枠組みで予算措置を講じる方がわかりやすいのではないか。政府の見解如何。

五 そもそも診療報酬改定は隔年で実施されるものである。今回の東日本大震災は、診療報酬改定を次年度に控えた年に発生したものである。したがって、復興特例加算という復興支援策を次年度たる平成二十四年度の診療報酬改定に関する議論の俎上に挙げることができるものと考える。しかしながら、たとえば、今後、発生するであろう大災害が通例の診療報酬改定直後に発生した場合には、発生後二年を経過しなければ、こうした復興特例加算という措置を設けることができないことになる。これは国家の設計する災害復興手段としては遅きに失するものであり、また、時間的な視点から考えれば、憲法第十四条に定める「法の下の平等」に抵触しかねない問題である。すべての被災者に迅速に対応するという意味では、隔年で改定作業が実施される診療報酬制度で復興支援を考えるよりも、迅速に対応できる復興予算の中に、被災地の病院に対する支援や医師などの医療職確保などのための予算措置を講じるのが正論と考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。