質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二七七号

入院施設を有する矯正施設の病室におけるクーラーの設置状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月二十六日

田 村 智 子   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   入院施設を有する矯正施設の病室におけるクーラーの設置状況に関する質問主意書

 入院施設を有する矯正施設(刑事施設、少年院、少年鑑別所及び婦人補導院のこと。以下同じ。)の病室におけるクーラーの設置割合は非常に低い。夏の気温が年々上昇していることを考えると、クーラーが設置されていない病室での療養は受刑者等の体力を消耗させ、ひいては治療の長期化や傷病の悪化をまねきかねず、受刑者等本人の健康にとっても、また矯正施設の医療費の増大をまねくおそれもあり、財政面からも望ましいことではない。このような観点から、以下質問する。

一 矯正施設のうち医療法上の病院である施設の名称、病床数及び病室数、医療法上の有床診療所である施設の名称、病床数及び病室数並びに医療法上の無床診療所である施設の名称をそれぞれ明らかにされたい。また、矯正施設のうち医療法上の病院、有床診療所及び助産所について、クーラー(エアコン及び冷暖房機能付き全館空調を含む。以下同じ。)が設置されている病室数及び全病室に占めるクーラー設置病室の割合をそれぞれ明らかにされたい。

二 東京拘置所をのぞいて医療法上の病院である矯正施設の病室におけるクーラー設置率はきわめて低い。有床診療所である矯正施設についても全病室にクーラーを設置している施設もあるが、全く設置されていない施設も多数存在する。
 現在、入院施設を有する保険医療機関の病室にクーラーやエアコンが設置されていないということは通常考えられない。医療法上の医療機関ということでは同じなのに、入院施設を有する矯正施設では、何故クーラーが設置されていない病室がこれほどまでに大量に存在するのか。

三 矯正施設の病室は受刑者等の傷病治療のために設置されているが、近年の猛暑を考えるとクーラーが設置されていない病室への入院は体力を消耗させ傷病を悪化させかねない。高齢化が進んでいる受刑者等の現状を考えると事態はいっそう深刻である。また、比較的寒冷な東北・北海道についても温暖化による夏の気温上昇は進んでおり、傷病治療のためクーラー設置の必要性は高い。
 このようにクーラーが設置されていない病室への入院は、傷病治療にとって好ましい状況とは思えないが、政府の見解を明らかにされたい。

四 仮に受刑者等であっても最適な医療が提供されるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。また、この最適な医療にはクーラー等によって最適な気温に維持された療養環境の提供も含まれるべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 傷病を負っていない方でも熱中症で相当な方が死亡する近年の夏の状況を考えたとき、最適な療養環境を確保するために矯正施設の病室に計画的にクーラーの設置を進めるべきではないか。特に病室におけるクーラー設置率がきわめて低い医療法上の病院である矯正施設についてはただちに相当数のクーラーを設置すべきではないか。

  右質問する。