質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二七一号

医療用麻薬製剤に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月二十五日

藤 井 基 之   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   医療用麻薬製剤に関する質問主意書

 昭和六十一年に世界保健機関(WHO)は「Cancer Pain Relief」を取りまとめ、その中でがん疼痛緩和のための医療用麻薬製剤等の鎮痛薬の使用方法を解説している。この報告書の公表以来、国際的にはがん疼痛緩和のための医療用麻薬製剤の使用が一般的となっているが、わが国においてはその使用が抑制される傾向にあった。しかし、近年医療用麻薬製剤の使用量は増加してきており、平成十九年の「がん対策基本法」の施行等により、医療用麻薬製剤の使用は今後も増加していくことが予想されている。また、在宅医療の拡大に伴い、医療用麻薬製剤は医療機関のみならず薬局からも患者へ提供されており、さらにその使用が増加することは確実である。
 一方、医療用麻薬製剤はその乱用を防止する観点から「麻薬及び向精神薬取締法」により、その流通が厳しく規制されており、特に薬局においては在庫となっている医療用麻薬製剤のうち相当程度の数量を廃棄しなければならないとの調査結果も示されている。しかしながら、モルヒネなどの原料となる「あへん」は、すべて国が買い上げ、麻薬製造業者に売り渡すという重要な医薬品原料とされており、医療用麻薬製剤は貴重な医療資源となっている。従って、医療用麻薬製剤については廃棄等の無駄を可能な限り少なくするための施策が必要であると考える。
 そこで医療用麻薬製剤に関して以下質問する。

一 厚生労働省所管の「一般会計歳出予算各目明細書」及び「歳入決算明細書」によれば、平成十七年度から平成二十一年度までの「あへん」の政府購入額は約九億円から約十三億円、「あへん」の売払代は約二十一億円から約二十六億円となっている。一方、「あへん」の売渡価格は、「あへんの売渡価格を定める政令」により、含有するモルヒネ一キログラムにつき二十万二千五百円と定められている。購入額に比し、売払代が相当程度高いことから、売渡価格を引き下げるべきと思われるが、政府はどのように考えるか。

二 薬局における医療用麻薬製剤の不良在庫の発生や廃棄を減少させるため、政府は平成十九年に「麻薬及び向精神薬取締法施行規則」を改正し、麻薬小売業者間での医療用麻薬製剤の譲渡しの許可申請の特例を設けたが、麻薬小売業者間の譲渡し・譲受けを一層容易にするため、譲渡しの許可条件の緩和など法改正も含めた施策の実施が必要と思われるが、政府はどのように考えるか。

  右質問する。