質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二五八号

医薬品の配置販売業における講習及び業務の実態と指導強化の必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年八月十五日

又 市 征 治   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   医薬品の配置販売業における講習及び業務の実態と指導強化の必要性に関する質問主意書

 医薬品の既存配置販売業者については、薬事法の一部を改正する法律(平成十八年法律第六十九号。以下「改正薬事法」という。)附則第十二条の規定に基づき資質向上の講習等が行われることになり、その実施が始まってから久しい。
 しかしながら、現場において実施されている講習等の内容については、医薬品の安心安全な情報提供、相談応需、配置販売の観点から、見逃せない欠陥、脱法行為が多々見られると言われてきた。
 このため私が二〇一〇年五月十七日、参議院決算委員会での質問の中で政府に実情調査と対策を求めたのに対し、足立厚生労働大臣政務官は各既存配置販売業者において一定水準の講習等が厚生労働省の方針に即してきちんと行われているかどうか等の実態調査を同年六月から七月に実施し、その調査結果を公表すると答弁した。
 この調査結果(「既存配置販売業者の配置員の資質の向上に係る講習等の実施状況に関する調査の結果について」。以下単に「調査結果」という。)は前記答弁からおよそ十三か月の後、ようやく本年六月三十日に公表された。
 また、前記委員会において足立厚生労働大臣政務官は、さらに具体的で厳格なガイドラインについては、近く「Q&A」の形で示したいと答弁した。
 そこで、国民・消費者の安全な医薬品利用を守る観点から、以下質問する。

一 無資格・未経験の配置員に対する講習等の状況について

 平成二十一年三月三十一日付け薬食総発第〇三三一〇〇一号厚生労働省医薬食品局総務課長通知「薬事法の一部を改正する法律附則第十二条に規定する既存配置販売業者の配置員の資質の向上について」には、「業務経験期間が短い配置員を対象とした講習、研修等、配置員の実情を踏まえた講習、研修等が実施されることが望ましい」と記載され、厚生労働省は本件に関し既存配置販売業者において何らかの対応をすべきものと考えてきたようである。
 ところが今回の調査結果では、無資格・未経験者が何ら教育をされないまま、単独で第二類医薬品、第三類医薬品について、情報提供、相談応需、配置販売を行っているという重大かつ深刻な実態が明らかになった。
 調査結果の図三十三によると、業務経験が短い配置員対象の講習等を実施している業者の六十一・九パーセントが、配置販売従事開始前に講習等を修了していない。すなわち、教育が全くなされていない又は教育が不十分なまま、業務経験が短い配置員が医薬品の配置販売、情報提供、相談応需を行っている。国民・消費者にとって恐ろしい事実である。
 よって、「新たに既存配置販売に従事しようとする者には、配置販売従事開始前に『業務経験が短い配置員対象の講習等』を受講修了させること。既存配置従事者身分証明書交付申請時に受講修了証を添付しなければならない。」等の具体的で厳格な指導が早急に必要である。
 また、調査結果の図三十四によると、業務経験が短い配置員対象の講習等を実施している業者の十一・二パーセントが、当該講習等の内容から「医薬品に共通する特性と基本的な知識」を削除している。同様に、業者の十・四パーセントが「主な医薬品とその作用」を、十二・一パーセントが「医薬品の適正使用と安全対策」を削除している。これらは、医薬品の配置販売、情報提供、相談応需を行う配置員に対する講習の内容とは到底考えられないものであり、販売テクニック等の講習を重視し、医薬品の適正使用と安全対策を軽視している故と思われる。
 よって、改めて各々の講習内容について検証し、「医薬品に共通する特性と基本的な知識」、「主な医薬品とその作用」、「医薬品の適正使用と安全対策」等が不足している場合は、これらを必須とするよう厳格に指導すべきである。
 言うまでもなく改正薬事法附則第十一条で、既存配置販売業者の配置員は、一般用医薬品の販売に従事する者として登録販売者と同等の業務(能動的・双方向的な対話を通じて所要の事項を聴取し、併せて購入者の声質や口調などを聞くこと等を通じて、購入者側の属性・状態等を的確に把握し、それに応じて情報提供の要否・内容及び使用の適否を判断すること)を行うことが求められている。業務経験期間が全くない既存配置販売業者の配置員であっても配置販売に従事するからには、同様の業務を行うことが求められる。にもかかわらず前記のような講習等の状況を放置すれば、改正薬事法の趣旨である消費者への一般用医薬品に係る安心安全で丁寧な情報提供・相談応需体制は形骸化し、危険な販売形態が横行することになりかねない。
 ひいてはこのような状況がインターネットによる安易な医薬品販売という規制緩和の口実となりかねず、改正薬事法自体の意義が危うくなる。この懸念は前記の足立厚生労働大臣政務官の答弁でも指摘されており、政府は調査結果を踏まえ、各々に行われている講習等について、その内容の実効性を具体的に検証し、厳格に指導することが必要であると考えるが、見解を示されたい。

二 「受講対象者である配置員は実施者・講師となれない」とする政府答弁書の記載事項に違反している事実について

 「薬事法施行の問題点に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一七三第七八号。平成二十一年十二月八日付け)では、「講習等の受講対象者である配置員が実施者になることはできない。また、講習等の受講対象者である配置員が当該講習等の講師となることは適当でないものと考える。」と明記されている。しかし、調査結果の図十一及び図四十六によると、個人配置販売業者を除く配置販売業者(以下「法人配置販売業者」という。)の三十九・九パーセント、個人配置販売業者の四十四・一パーセントが「実施側のメンバーが受講生になることがある」と回答している。すなわち、前記答弁書の記載事項が守られていないものが約四割に上っている。
 行政府の長である内閣総理大臣名の答弁書は閣議決定されたものであることから、厚生労働大臣はその記載事項の執行に責任があり、また自治体行政にとっても指針のはずである。前記答弁書に従い、各々に行われている講習等の実施体制について、受講対象者である配置員の関与禁止を検証し、不備の場合は厳格に指導すべきであると考えるが、これをどのように徹底させるのか政府の方針を示されたい。

三 消費者等の参画及び都道府県に対する届出が少ない事実について

 一で示した厚生労働省医薬食品局総務課長通知には、講習、研修等について、消費者等の参画及び都道府県に対する届出が明記されているが、調査結果はそれらを遵守した講習等が少ないことを示している。
1 調査結果の図十及び図四十五によると、法人配置販売業者の七十一・三パーセント、個人配置販売業者の七十一・一パーセントが、消費者等が参画しているとは回答していない。これでは、講習等の内容の客観性が乏しい。既存配置販売業者に対して、消費者等の参画の意味を理解させ、講習等の内容の客観性を高めるよう指導すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。
2 調査結果の図三十八及び図六十五によると、法人配置販売業者の三十二・九パーセント、個人配置販売業者の三十九・八パーセントが、都道府県に対する届出を提出しているとは回答していない。届出すら提出しない既存配置販売業者には、定期的な追跡調査が必要であると考えるが、政府の見解を示されたい。

四 登録販売者試験の受験資格のための実務経験の認定基準について

 登録販売者試験の受験資格のための実務経験は薬剤師等の指導監督の下で毎月八十時間以上、連続して一年以上の実務経験が求められており、店舗販売業の場合は常時、店舗内において薬剤師等の直接の指導監督の下で業務が行われている。
 一方、配置販売業界においては、「新配置販売業の新規従事者については専門家(薬剤師又は登録販売者)の同行による一~二週間の実地研修を受講する。新配置販売業における専門家と一般従事者の割合は、一:二~一:一を目指す」や「新配置販売業に新たに従事する者については、専門家(薬剤師又は登録販売者)の同行により一~二週間の実地研修を受講する」との「自主基準」、「要望書に関する考え方」が厚生労働省に提出されている。
 しかし、新配置販売業の新規の一般従事者について、一~二週間の薬剤師等への同行と残りの十一か月以上の単独での配置販売行為(医薬品の再配置(補充)と代金の清算を組み合わせた行為)を「一年以上の実務経験」として認めることが適切かどうか疑問である。
 厚生労働省はこのような認定基準で登録販売者試験の受験資格のための実務経験が取得できることについて、適切と考えているのか。

五 確実な研修実施のための指導強化について

 本年五月十六日、配置販売三団体の長(全国配置家庭薬協会配置部会長、社団法人日本置き薬協会代表理事、社団法人日本配置販売業協会会長)から要望書(以下「要望書A」という。)が厚生労働大臣に提出された。
 この要望書Aは、登録販売者試験の受験資格のための実務経験に関する経過措置が切れる平成二十四年六月一日以降も当該経過措置の延長を要望しつつ、自らに対し「既存配置員の資質向上に向けた、厳格かつ確実な研修実施のための指導強化」、「新配置販売業における専門家の情報提供及び相談応需並びに体制について明確化」等を求める内容で、薬業他団体、厚生労働省の評価も高いと聞いている。
 一方で、この要望書Aが提出されてまもなく、全国配置家庭薬協会会長から別の要望書(以下「要望書B」という。)が提出された。要望書Bは前記の「経過措置」については要望書Aと同様に当分の間の延長を要望する一方、要望書Aの中の「既存配置販売業者における確実な研修実施のための指導強化」や「新配置販売業における専門家の情報提供及び相談応需並びに体制について明確化」等の項目については、配置部会長が誤謬により連署したものであるとして、撤回を願う内容となっている。
 私は事業者団体の方針に介入する意思は毛頭ない。しかし、消費者が医薬品の安心安全な情報提供、相談応需、配置販売(購入)を願う一方で、今回の調査結果では講習等の不備が明らかになったことにかんがみ、「経過措置の延長」の実現如何にかかわらず、「確実な研修実施のための指導強化」は早急に対処しなければならない重要な課題だと考えるが、政府の見解を示されたい。
 また、既存配置販売業者自らも「確実な研修実施のための指導強化」を求めている点を厚生労働省として積極的に受け止め、指導を強化すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 新配置販売業における専門家による情報提供体制の整備について

 配置販売業も店舗販売業と同じく、医薬品の安全な提供・使用のために、専門家による情報提供体制の確保が求められている。ところが配置販売業界においては、「論理的には、一人の登録販売者がいれば、全国各都道府県の責任者にして、全国数千人の従事者を監督することも可能でしょう」という説明や発言等があり、「新制度の∧配置∨に転換しても、一人の登録販売者がいれば全国津津浦々まで営業ができる」と信じている配置販売業者も未だ多いと聞いている。専門家の業務の補助として一般従事者の使用を認めている新配置販売業では、その専門家の業務及び情報提供体制が不明確なことから、一般従事者の従事形態や業務範囲が業者によって大きく異なっている現状がある。
 よって、改正薬事法を実効性のあるものとするためには、「既存配置員の資質向上に向けた、厳格かつ確実な研修実施のための指導強化」を行うとともに、「新配置販売業における専門家の情報提供・相談応需体制の明確化」を求めるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

七 一般従事者単独の「医薬品の再配置(補充)と代金の清算を組み合わせた」情報提供以外の配置販売は合法と解釈されていることについて

 平成二十一年五月八日付け薬食発第〇五〇八〇〇三号厚生労働省医薬食品局長通知「薬事法の一部を改正する法律等の施行等について」の「3 配置販売業に関する事項」においては、「医薬品の再配置(補充)、配置箱の清掃、代金の清算等の情報提供以外の業務については薬剤師又は登録販売者に自ら行わせるほか、薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下で一般従事者に行わせることができること。」とされている。これについては、医薬品を初回配置する際に一度だけ薬剤師又は登録販売者による情報提供、直接の対面販売を行えば、リスクが特に高い第一類医薬品、リスクが比較的高い第二類医薬品を含め、二回目以降の配置販売行為(医薬品の再配置(補充)と代金の清算を組み合わせた行為)において、情報提供、相談応需が求められなかったことにすれば、新製品を配置しない限り期限の定めなしに、一般従事者(無資格者)が単独で、それらの医薬品の代金の清算と納品を続け、結果として、医薬品の配置販売の現場において、有資格者が毎回、直接消費者に対面しないことを常態とした一般従事者(無資格者)単独による配置販売が合法的にできると解釈されていると聞いている。
1 このような解釈を放置すれば一般従事者(無資格者)単独による一般用医薬品の販売を容認することになるが、それでよいと考えるか。
2 医薬品の配置販売の現場において、有資格者が毎回、直接消費者に対面しないことを常態とした状況が合法であるとして容認された場合に、そのような状況と、インターネットでの医薬品販売においてディスプレイ上とはいえ医薬品を購入する毎に情報が示される状況とを比較した場合、情報提供という点で、どちらがより積極的な情報提供と言えるか。
3 足立厚生労働大臣政務官は、さらに具体的で厳格なガイドラインについて、近く「Q&A」の形で示したいと答弁しており、何らかの「Q&A」、通知等を出すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

八 能動的情報提供の規定との矛盾について

 七で示した厚生労働省医薬食品局長通知においては、「顧客から情報提供の求めがあった場合又は相談があった場合に、速やかに、医薬品を配置する場所において薬剤師又は登録販売者に対面で情報提供を行わせることができるよう、一般従事者を管理及び指導する薬剤師又は登録販売者が当該一般従事者と直ちに連絡を取ること(中略)等の適切な体制を確保すること。」とされている。
1 この文言は、医薬品の適正使用のための情報提供に対し極めて消極的であり、店舗販売業も配置販売業も、医薬品の適正使用のための薬剤師又は登録販売者による能動的情報提供を行うとする改正薬事法の趣旨と相違すると考えるが、政府の見解を示されたい。
2 この文言は、医薬品の配置販売の現場において、有資格者が毎回、直接消費者に対面しないことをあたかも常態とみなし、一般従事者(無資格者)単独による配置販売を助長、容認することに繋がることが危惧されるが、政府の見解を示されたい。
3 2のような状況にならないよう、何らかの「Q&A」、通知等を出すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

九 一般従事者単独の業務が登録販売者試験の受験資格のための実務経験時間に加算される運用について

 一般従事者が単独で医薬品の再配置(補充)と代金の清算を組み合わせた行為を行い、顧客から相談があった場合に、携帯電話等で薬剤師又は登録販売者と直ちに連絡するだけで、同人の登録販売者試験の受験資格のための実務経験時間として水増しカウントされているが、この運用は一般従事者(無資格者)の行為を正当化し、受験資格のための実務経験時間の厳格さを骨抜きにするものであると考えるが、政府の見解を示されたい。

十 特定商取引法の適用について

 配置販売業は経済産業省及び厚生労働省医政局経済課の所管する特定商取引法の適用業種であり、毎回の配置販売が契約の更新に当たることから、その際には情報提供しなければならない。
 したがって、薬事法によって情報提供を禁止されている一般従事者は必ず薬剤師又は登録販売者に同行しなければならないと考えるが、政府の見解を示されたい。

十一 専門家同行規定を「Q&A」、通知等において補足し厳守させる必要性について

 配置販売業を店舗販売業と比較したときに、七で示した厚生労働省医薬食品局長通知において、「配置した医薬品の使用状況の確認及び点検、情報提供の要否の確認、情報提供が不要な場合の医薬品の再配置(補充)、配置箱の清掃、代金の清算等の情報提供以外の業務」というように配置販売業の業務内容を「情報提供」とそれ以外に分けて表現した上で、情報提供以外の業務については「薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下で一般従事者に行わせることができる」と記載されていることが問題である。
 すなわちこの文言では、改正薬事法の趣旨と関係なく、いかにも専門家でない一般従事者が薬剤師又は登録販売者に同行せず、単独で配置販売を行うことができるかのような解釈が成り立ちうる。
 よって、配置販売業の一般従事者による違法行為の誘発を予防するためには、明確に「薬剤師又は登録販売者に一般従事者が同行し、薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下で一般従事者に行わせることができる」と「Q&A」、通知等において補足すべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

十二 有資格者率の低さについて

 富山県厚生部くすり政策課公表の「平成二十二年十二月三十一日現在の平成二十二年度医薬品配置販売業及び従事者総数全国集計」によれば、新法に基づく配置販売業者における有資格者率は全国平均三十九・七パーセントで、一人の有資格者に対し二・五人の一般従事者が配置販売業に従事している。
 このうち兵庫県は専門家三十九人:一般従事者三百六十人(有資格者率十・八パーセント)、大阪府は三十七人:二百七十六人(同十三・四パーセント)、京都府は二十一人:百二十人(同十七・五パーセント)、和歌山県は十一人:四十四人(同二十五パーセント)、滋賀県は十九人:四十一人(同四十六・三パーセント)となっている。
 このような比率において、専門家による指導監督が十分にできるのか、一般従事者は十分な実務経験が得られるのか、また、消費者に対し十分な情報提供や相談応需ができるのか甚だ疑問である。
 そこで、一人の専門家に対して多数の一般従事者が配置員として配置販売業に従事している配置販売業者があることについて、厚生労働省は各都道府県薬務主管課に対し何らかの対策を指示しているか。

十三 登録販売者試験における実務経験不正証明事件について

 平成二十二年度登録販売者試験において、四十二都道府県で、六人の有資格者によって延べ七百三十七人以上もの登録販売者試験実務経験不正証明を出した株式会社N社の事件で、奈良県薬務課は、N社社長と実務担当室長から事情聴取を行い、N社に報告書の提出を指示し、警告書を発出した後、奈良県における配置販売業廃止届を提出させた。この間、受験者の願書取下げや受験辞退があったことが同課のホームページで公表されている。
 奈良県薬務課は今後、全受験者を無作為抽出し実務経験実態調査をするほか、実務経験不備をチェックするリストを配布するなどして受験書類チェックのハードルを上げ、引締めを図るとしている。
 このように生命関連商品に係る登録販売者試験において、不正をする受験者と実務経験証明書発行者には、もとより医薬品販売の資格はないと考える。
1 N社の事件を含め、登録販売者試験が始まってから平成二十二年度末までに実務経験証明の不正、合格取消し、受験願書取下げ、販売従事登録の消除等が全国でどのくらいあったのか示されたい。
2 平成二十三年度登録販売者試験においては、受験のための実務経験証明書をより厳しくチェックしなければならない。また、過去にまで遡って実務経験の実態調査をするとともに、今まで以上に実務経験証明書等の受験書類の審査を厳格にするべきと考えるが、政府の見解を示されたい。
3 従来から厚生労働省は、登録販売者試験が自治事務であり、各都道府県において薬事法に基づき適切に実施されるべきものと答弁している。しかし、この自治事務性が裏目に出て、登録販売者試験の前提となるべき実務経験に関して不正証明を出したN社の事件は四十二都道府県に跨っている。これは改正薬事法附則第十三条により「一都道府県で既存配置販売業の許可があれば、許可がない都道府県の許可を取得できる」からであって、多数県に跨る業者には痛手はない。各都道府県の行う処分の間に差異があることが問題である。
 厚生労働省は各都道府県に対して、悪質な業者には、改正薬事法を定着させるべく一罰百戒の意味を含めた厳格な指導、断固とした処分を行うよう、具体的な通知、「Q&A」等を発出すべきであると考えるが、これまでの経過も含めて今後の方針を示されたい。

  右質問する。