質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二二九号

空き家対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年七月十三日

横 山 信 一   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   空き家対策に関する質問主意書

 総務省の平成二十年住宅・土地統計調査結果によれば、平成二十年十月一日現在における全国の総住宅数は五千七百五十九万戸となっている。このうち、空き家は七百五十七万戸で、平成十五年からの五年間で九十七万戸増加している。また、総住宅数に占める空き家の割合、すなわち、空き家率も、平成十五年の十二・二パーセントから十三・一パーセントに上昇し、過去最高となっている。
 地方都市の市街地においては、老朽化した空き家から出火したり、空き家に不審者が出入りしたりするなど、空き家が防犯、防災、衛生上の深刻な問題になっている。また、観光地やリゾート地においても、適正な管理がなされない空き家が景観を損ねる等の問題が生じている。さらに、夏期には、空き家が蛇、ねずみ、ハチなどの近隣生活者に有害な生物の生息場所となるほか、冬期には、積雪地域において空き家の屋根の雪下ろしや除排雪が行われないため、近隣生活者やその家屋に損害を及ぼす危険性がある。
 所有者が死亡している空き家は、最終的に国庫に帰属することになるが、それ以外の場合は、所有者が生死不明の場合を含め所有者に帰属する。そのため、自治体は、空き家の所有者に対し管理を求めているが、所有者を探しても見つからない場合や、所有者が遠くに住んでいて管理する意思がない場合、あるいは所有者が経済的理由等で管理に応じない場合が多い。これは、一面的には所有者の問題ではあるが、同居家族の減少や高齢者の都心への移住など、社会状況の変化に伴って増加してきた問題である。
 自治体の中には、こういった問題に対処するために、空き家の解体費用の助成を行ったり、自治体が空き家の所有者から土地・家屋を譲り受けて解体を行ったりしているところがある。しかし、これらには多大な費用が必要となり、個人住宅の解体に公金を使うことには批判もある。また、空き家対策のための条例を制定し、自治体が空き家の所有者に適正管理を命令できるようにした自治体もあるが、私有財産に対する自治体の関与には限界があるため、命令に従わない場合でも住所・氏名の公表にとどまっているのが現状である。
 このような現状に対し、国も地域住宅交付金等の形で空き家の解体費用に対する補助を行ってきたが、その対象は過疎地域や旧産炭地域等に限られている。そこで、このような措置の拡充を含め、国は更なる対策を早急に講ずる必要があると考えるがどうか。

  右質問する。