質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二二四号

放射性物質で汚染されたがれき・下水汚泥等の処理処分等に係る新法の必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年七月六日

川 口 順 子   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   放射性物質で汚染されたがれき・下水汚泥等の処理処分等に係る新法の必要性に関する質問主意書

 平成二十三年六月十七日の参議院東日本大震災復興特別委員会質疑において、私が、放射性物質で汚染されたがれき、下水汚泥等について、処理処分等に関する法律がないことを指摘し、新法の必要性を質したところ、菅直人総理及び枝野幸男官房長官の答弁が同委員会での西田実仁議員への答弁と異なっていた。
 すなわち、菅総理は私に対しては「今すぐ、法律を作ってからというのでは間に合いませんので、まずは内閣として方向性を定めたい」と立法は当面行わないとのニュアンスで答弁したが、他方で西田議員に対しては「必要な立法措置についても検討中であります」と立法を前提とした答弁を行った。また、枝野官房長官は同問題について、私に対しては「もちろん法律があった方が望ましいことは否定をいたしませんが、法律がなくても行政上の運用でできます」と答弁したが、他方で西田議員に対しては「抜本的には法律を制定をする必要があるというふうに考えてはおります」と立法の必要性を明確に肯定している。
 法律の具体的内容についてはもちろん検討が必要であるが、現在、対応する法律が存在しないのであるから、立法は必要であると考える。そこで、放射性物質で汚染されたがれき、下水汚泥等の処理処分等に関する法律(この法律については、新規制定法の場合と既存の法律の改正法の場合が想定される。以下「新法」という。)の必要性について、以下のとおり質問する。

一 新法の必要性について政府の統一見解を示されたい。

二 「新法が必要かどうか検討の必要がある」との見解であるなら、いかなる場合に新法なしで対応できると考えるのか、理由とともに明らかにされたい。
 枝野官房長官は、「法律がなくても行政上の運用でできます」と答弁しているが、放射性物質で汚染されたがれき、下水汚泥等の処理処分に際しては、行政処分を行わなければならない場面が想定される。にもかかわらず、政府は行政上の運用で行うつもりなのか。それとも、政府は権利義務の形成に関わる事項に全く触れることなく、当該がれき等の処理処分を行うことができると考えているのか。

三 新法の必要性について依然として検討中であるならば、いつまでに必要性の検討を終えるのか。

四 新法が必要とされる場合、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)との関係をいかに整理するのか。廃掃法を改正することにより整理を行なうのか、それ以外の方法によるのか。

五 新法が必要とされる場合、今回の東日本大震災に起因するもののみに対象を限定するのか。

六 がれき、下水汚泥等の処理処分については、放射性物質によって汚染されていること及び長期にわたって処分場の管理が必要であることから、県や市町村ではなく、国が処理処分の主体となるべきと考えるが、政府の見解を理由とともに明らかにされたい。

七 放射性物質に汚染されたものは、がれきにとどまらず、下水汚泥、上水道の汚泥、農業集落排水施設の汚泥、除染活動に伴い発生する土壌、地下水等、多くある。これらについても、処理処分に係る法令が存在しない。それぞれに新しい法律を制定するのか、あるいは、一括して新しい法律を制定するのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。