第177回国会(常会)
質問第二一六号 平成二十三年度国際協力重点方針に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十三年六月三十日 川 田 龍 平
参議院議長 西 岡 武 夫 殿 平成二十三年度国際協力重点方針に関する質問主意書 一 平成二十三年六月二十七日に発表された「平成二十三年度国際協力重点方針」には、政府開発援助(以下「ODA」という。)による東日本大震災にかかる被災地の復興支援の方策として、「被災地産品を積極的に調達する」と明記されている。東日本大震災が、我が国始まって以来の未曽有の大災害であることは間違いなく、被災地の復興の一助として、ODAによっても何らかの形で実質的な貢献をしていきたいという政府の意気込みには理解を示すところではあるが、発展途上国への開発援助であるODAと被災地の復興支援とを同じ次元で捉えることに違和感を覚えている。 ODAは、あくまで開発課題を抱える被援助国の要請を前提とするものであり、援助国の意図や意向から援助が企画立案・実施されるべきものではない。したがって、援助国側の内政課題を前面に出した形のODAは厳に慎むべきと考えている。内政課題を加味して実施されたODAでは、所期の開発効果も、内政上の目的も達せられないと言える。 限られた資源・予算を最大限活用するため、ODAは被援助国のニーズを最大限満たすよう企画立案・実施されるべきであり、東日本大震災にかかる被災地産業の支援をODAと無理やり絡めることは、むしろ被援助国の便益を害し、長期的には被災地の復興支援にもならないと危惧している。 「平成二十三年度国際協力重点方針」に示されたODAによる被災地産業の支援に関し、新聞報道等では「サバ缶」や「サンマ缶」を購入し途上国に供与することが具体的な事例として挙げられている。食糧援助は本来、現地の食料・農業事情や食習慣・し好、栄養価、移送コスト等の観点から合理的に決せられるべきであり、「サバ缶」や「サンマ缶」の供与は食糧援助の趣旨から言って特に好ましくないものと考えている。 そこで、以下について政府の方針及び見解を示されたい。 1 「平成二十三年度国際協力重点方針」に示された「被災地産業の支援」とODAの在り方及びその具体像 2 「積極的に調達」される被災地産品の具体的な内容、スケジュール、予算規模 3 「積極的に調達」される被災地産品として「サバ缶」や「サンマ缶」を想定し、また「サバ缶」や「サンマ缶」を食糧援助に利用することを想定しているか否か 4 食糧援助としてこれまでに「サバ缶」や「サンマ缶」に類する支援を行ったことがあるならば、その時期、供与先、予算規模及び現地の評価 二 本来被災地産業の支援は、ODAではなく、別の予算措置を講じて積極的に行っていくべきものと考えている。例えば外務省予算であれば、在外公館などでの広報文化交流予算を大幅に増額し、その枠組みの中で「被災地産業のアピール・販売促進」などに注力すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |