質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇三号

改正水質汚濁防止法施行に伴う事業者の取組に対する支援措置と定期点検の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年六月二十日

加 藤 修 一   


       参議院議長 西 岡 武 夫 殿



   改正水質汚濁防止法施行に伴う事業者の取組に対する支援措置と定期点検の在り方に関する質問主意書

 本年六月十四日に成立した「水質汚濁防止法の一部を改正する法律」(以下「改正水質汚濁防止法」という。)の基になった中央環境審議会の答申では、「有害物質による地下水汚染が発生した場合には、一般に事業者が負担すべき浄化対策等の事後対策に要する費用は、未然防止の措置に要する費用に比べて膨大である。予め未然防止のための措置を講じることは、事業者が負担すべき費用の軽減や安定した事業の継続につながるものである。」と指摘されている。
 そこで、以下質問する。

一 事業者の取組に対する支援措置について

 改正水質汚濁防止法で義務付けられる地下水汚染の未然防止対策を行うことは、事業者のためにもなることであるが、こうした取組が積極的に行われるためには、事業者に何らかのインセンティブを与える仕組みを検討することも必要である。
 こうした仕組みとして、積極的な取組を行う事業者に対する低利融資制度や税制優遇措置の適用なども考えられる。
 また、改正水質汚濁防止法に係る周知に際しては、政府系金融機関による低利融資制度などの助成措置を併せて記載したマニュアルを配布し、周知徹底を図るべきである。このようなインセンティブを与える仕組みについて、政府としての見解を示されたい。

二 電気めっき業界等の中小零細企業に対する支援措置の創設について

 特に、電気めっき業界やクリーニング業界等は、その大部分が中小零細企業であり、改正水質汚濁防止法で義務付けられる地下水汚染の未然防止対策による経営上の負担が懸念されている。
 改正水質汚濁防止法の施行に際しては、既存施設に対する弾力的措置を講じるとともに、こうした中小零細企業の取組を支援するため、国、都道府県、産業界が出えんする基金をつくり、中小零細企業の対策費用の助成を行う仕組みを設けるなどの対応が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

三 有害物質の地下浸透検知技術等の研究開発の促進について

 地下水汚染の未然防止対策を低コストで行うことができれば、事業者の更なる負担軽減が図られる。特に、目視が難しい地下貯蔵設備等からの有害物質の地下浸透を低コストで検知できる技術等について、研究、技術開発の促進が望まれるが、今後の方針を示されたい。

四 定期点検の在り方について

1 改正水質汚濁防止法では、有害物質使用特定施設及び有害物質貯蔵指定施設について、定期点検を義務付けているが、どのような項目について、どのくらいの頻度で点検すればよいのか、政府の見解を示されたい。
2 定期点検の結果、漏洩や地下浸透が見つかった場合、基準遵守義務により、更なる漏洩や地下浸透を防止するための措置がとられることになるが、地下水を測定する義務まではない。ガイドラインや指導の徹底により、地下水の測定が図られるべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。
3 定期点検の結果に問題がない場合でも、結果やその保存記録をいかした施設管理や作業手順の改善を行うなど、結果やその保存記録の効果的な活用を促進すべきだと考えるが、政府の見解を示されたい。
4 大規模地震の際には、床面や配管に亀裂が生じるなど、施設が損傷を受けることが想定される。こうした損傷をいち早く発見して有害物質の漏洩・地下浸透を防止するという観点から、災害時の緊急点検の在り方について検討する必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。