質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一九七号

災害医療のあり方を検討する会議に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年六月十四日

川田 龍平   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   災害医療のあり方を検討する会議に関する質問主意書

 現在、厚生労働省では、災害医療のあり方を検討する会議(以下単に「検討会」という。)を設ける準備をしていると聞く。東日本大震災という未曾有の大災害を経験し、これまでの災害医療への取組を総括し、より実効性が高く柔軟性のある災害医療への備えを検討することは非常に意義のあることだと考える。
 検討会における議論が、個別事例の諸問題の解決策のみに終始するようであれば、今後発生しうるすべての災害に対応できる結論を導き出せるとは考えられない。
 今回の大災害を経た日本は、災害に強いシステムを構築する必要があり、そのためには豊富な経験を有する有識者や実務者をバランス良く検討会に配置する必要があると考える。
 そこで、検討会で議論されるべき、災害に強い地域の医療提供体制、災害時の医療連携及び緊急医療チームのあり方等について、以下質問する。

一 検討会において、以下の項目については具体的どのような戦略をもって議論をしていくのかについて、政府の見解を示されたい。

1 災害時アセスメントシート
2 カルテ
3 緊急医薬品等の検討
4 DMATから救護班までの連携

二 想定される災害の規模は、今回の東日本大震災等のような未曾有の大災害から、地域を限定された災害まで様々である。本質的には、発生した災害に応じて、必要となる災害医療のあり方は変わってくると考えるが、政府は、災害の規模に応じて柔軟な運用が可能である災害医療チームを編成しようという考えなのか。あるいは、どのような災害であっても、地域の医療提供体制が早期に回復できるような医療提供体制を構築することに重点を置いて、検討会における議論を進めるつもりであるのか。政府の見解を示されたい。

三 災害の種類は多種多様である。そのような意味では、国際救援活動などで豊富な経験を有する有識者や実務者を検討会に加えるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

四 医薬品・医療資機材の供給体制についても十分に検討を進める必要があると考えるが、検討会において、災害に強い供給体制を構築するために、医薬品流通・製造の専門家などから意見を聴取し、何らかの措置を検討していく予定はあるのか。政府の見解を示されたい。

五 現在のDMATは、あくまで災害発生から四十八時間以内の活動を想定して計画された緊急医療チームである。したがって、DMATの装備品は災害初動の医療提供を想定したものとなっていると理解している。また、DMATの任務は、災害拠点病院や救護班の側面支援であり、被災した現地の医療機関が復旧するまでに応急的な初期医療の提供やトリアージを実施することを目的としたチーム設計となっているはずである。こうしたDMATの設立理念は、非常に高く評価されているものと考える。検討会では、このDMATのもつ機能そのものも当然に検討するものと考える。そこで、政府は、災害に強い地域の医療提供体制の確立よりも、災害初動の支援業務を目的とするDMATの機能を拡充する方向に施策を変更するつもりであるのか、見解を示されたい。

  右質問する。