質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一九四号

東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害に関する第三回質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年六月九日

礒崎 陽輔   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害に関する第三回質問主意書

 「東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害に関する再質問主意書」(平成二十三年五月三十日提出、質問第一六九号。以下単に「再質問主意書」という。)に対し、政府から答弁書(平成二十三年六月七日内閣参質一七七第一六九号。以下単に「答弁書」という。)の提出があったところであるが、答弁漏れその他追加してただすことが必要な点があるので、以下のとおり質問する。

一 三月十一日における初動対応等について

1 東京電力福島第一原子力発電所においては、三月十一日十九時十分に東北電力の電源車が到着している。ところが、接続部分のソケットの形状が合わなかったため、非常用発電機に電力を供給することができなかったと聞いている。ソケットの形状が合わなかったとしても、所要の工事を行って電源車から電力を供給することがどうしてできなかったのか、事実を確認してほしい。
2 原子力安全・保安院は、一号機の原子炉が地震の発生から約五時間後の三月十一日二十時頃、メルトダウンに至ったとする解析結果を公表している。それが事実だとすれば、三月十二日六時頃からの淡水注入は余りに遅きに失していたことになるが、どうして同時刻まで淡水注入を行うことができなかったのか、事実を確認してほしい。
3 報道によると、政府は国際原子力機関に提出した報告書において、一号機、二号機及び三号機の圧力容器の底部から溶融した核燃料が漏れ出し、格納容器内に堆積している可能性を指摘しているとのことであるが、事実か。また、事実であるとすれば、既にメルトスルーが発生していると考えていいのか。

二 三月十二日における海水注入の実施について

1 答弁書「三の1について」に関し、再質問主意書では、三月十二日十五時三十六分の「水素爆発」以前の段階で、どうして十四時五十三分の淡水注入の停止に引き続いて海水注入を行うことはできなかったのかを質問したものであり、明らかな答弁漏れであるので、きちんと回答してほしい。
2 答弁書「三の2の(1)について」に関し、「東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害に関する質問主意書」(平成二十三年五月十日提出、質問第一四七号)及び再質問主意書では、「菅総理が、淡水注入の停止を知ったのは、何時何分頃か。」と質問しており、明らかな答弁漏れであるので、きちんと回答してほしい。菅内閣総理大臣は三月十二日十八時頃に関係者と海水注入の議論を行っており、それ以前において淡水注入の停止は知っていたはずである。
3 答弁書「三の2の(2)について」に関し、再質問主意書の「原子力災害対策本部長である菅総理にそのことの連絡がなかったとすれば、官邸の危機管理態勢が完全にまひしていたと考えるがどうか。」の部分については、明らかな答弁漏れであるので、きちんと回答してほしい。
4 答弁書「三の2の(7)について」に関し、海江田経済産業大臣は、五月二日の参議院予算委員会で、三月十二日二十時五分に海水注入の命令を行ったと答弁していたが、答弁書においてどうして十七時五十五分に東京電力に対して原子炉等規制法に基づく海水注入の実施命令を行ったと説明振りを変えたのか。海江田大臣は、自分で行った命令まで覚えていなかったのか。
5 答弁書「三の2の(8)及び(9)について」において、「東京電力が官邸に派遣した者が、福島第一原子力発電所第一号機の原子炉圧力容器への海水注入について菅内閣総理大臣の了解が得られていないとの状況判断」を同社本店等に連絡したとあるが、どうしてそのような「状況判断」を得るに至ったのか、事実を確認してほしい。
6 答弁書「三の2の(11)について」において、菅総理は三月十二日十九時四分からの海水注水の開始について報告を受けておらず、それを知ったのは、五月二十日に報道がなされた後であるとしているが、菅総理は、少なくとも三月十二日十九時四分から二十時二十分までの間の海水注入については、五月二十日まで全く知らなかったと考えていいのか。
 また、海江田大臣は、五月二日の参議院予算委員会でこの海水注入を「試験注入」とする答弁をしているが、三月十二日十九時四分から十九時二十五分までの海水注入について、いつ知ったのか。さらに、菅総理も、同委員会に出席していたはずだが、海江田大臣の答弁を聞いていなかったということか。

  右質問する。