質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一八八号

尖閣諸島周辺の領海警備に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年六月八日

藤井 孝男   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   尖閣諸島周辺の領海警備に関する質問主意書

 平成二十二年九月三十日の衆議院予算委員会で、鈴木久泰海上保安庁長官は「尖閣諸島周辺海域においては、かねてより中国漁船あるいは台湾漁船が多数操業しておりまして、本年につきましては、特に八月中旬以降、多数の中国漁船が領海付近の海域で操業しておりました。そのうちの一部が領海内に侵入している状況が確認されておりました。このため、私どもとしては、巡視船を配備して、退去警告、あるいは場合によっては立入検査等の措置を適切に実施してきたところであります。通常、やはり多数の操業がありますので、退去警告あるいは立入検査で外へ追い出すというのをまず原則としておりました。」と答弁している。
 この答弁に関連して、尖閣諸島周辺の領海警備について、以下のとおり質問する。

一 尖閣諸島周辺海域では、外国漁船の違法操業に対して、「やはり多数の操業がありますので、退去警告あるいは立入検査で外へ追い出す」ことを「原則」としていると、鈴木海上保安庁長官は答弁しているが、この「原則」は、政府が認めた「原則」なのか。

二 違法操業が行われていたとしても、「退去警告あるいは立入検査で外へ追い出す」ことを「原則」とする法的根拠は何か。

三 この「原則」は、尖閣諸島周辺海域以外の、排他的経済水域や領海でも適用されているのか。また、適用されていないとしたら、尖閣諸島周辺海域だけ特別扱いをするのはなぜか。

四 この「原則」の変更は検討しないのか。

五 四で変更しないとすれば、多数の外国漁船が尖閣諸島周辺海域で違法操業をしていることを確認したとしても、逮捕しないという方針をとるということか。

六 鈴木海上保安庁長官の答弁によれば、尖閣諸島周辺海域に多数の外国漁船がやってくるので、やむなく退去させているという。であるならば、多数の外国漁船がやってきても同時に捕まえることができるように、巡視船の数を増加させるべきではないかと考えるが、政府の見解を示されたい。

七 今年一月七日付朝日新聞によると、今年六月までに、中国政府は新たに四十七隻の海洋監視船を完成させ、尖閣諸島や南シナ海での常時巡航を強化するという。この報道は事実か、政府の把握しているところを示されたい。

八 尖閣諸島周辺海域における、違法操業の取り締まりについて、中国政府とはどのような協議を行っているか。

九 もし新たに完成する中国政府の四十七隻の海洋監視船が、尖閣諸島周辺海域に常時巡航するようになった場合、現在の海上保安庁の警備態勢で対応できると考えているのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。