質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一五三号

東日本大震災において滅失・損壊した自動車の買換えに対する支援に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年五月十七日

熊谷 大   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   東日本大震災において滅失・損壊した自動車の買換えに対する支援に関する質問主意書

 平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災において被災した車両は、宮城県で約十四万六千台、岩手県で約四万台、福島県で約五万台と推計されている。
 被災地においては、かねてから人口減少や少子高齢化の進展により、地域の公共交通機関が衰退し交通空白地帯が出現するなど、住民の移動手段の確保が切実な問題となっている。特に、日常生活における自家用乗用車への依存が極めて高く、自動車が交通手段として重要な社会的役割を果たしているのが実情である。このため、所有する自動車が滅失・損壊してしまった被災者に対して、生活の足として日常生活に欠くことのできない代替自動車の取得を支援することは、被災者の生活再建を早急に図る上で極めて重要である。
 政府は、被災自動車に係る自動車重量税の特例還付、被災自動車の買換えに係る自動車重量税の免除措置、当該代替自動車に係る自動車取得税、自動車税等の非課税措置等の特例措置を講じている。
 一方、私有財産制度の下では、個人の財産を自由かつ排他的に処分し得る代わりに、個人の責任の下に財産を維持することが原則であり、自動車の場合の災害への備えとしては、自ら、損失が発生した場合に備えて車両保険等へ加入することにより対処することが基本とされ、被災時に補償その他の公的な措置は講じられていない。
 しかしながら、車両保険の契約者のうち、地震などによる損害を補償する特約への加入者は一パーセント未満にとどまっているのが現状であり、また、震災において生活基盤が根こそぎ失われた被災者の支援については、被災者の自助という原則論とは別に、被災状況及び被災地の実情に即した対策を講じることが必要であると言わざるを得ない。
 右の点を踏まえ、以下質問する。

一 政府は、平成二十三年三月三十一日の参議院内閣委員会において、個人の私有財産の損害の支援について、政府全体での問題として取り組むべき旨の答弁をしている。被災者や被災地の実情に配慮した支援措置を幅広くかつきめ細かく実施し、一日も早く被災者の生活再建が実現されることの重要性に鑑み、自動車関連諸税の減免にとどまらず、例えば、エコカーへの買換えの場合に補助金を支給する等更に踏み込んだ自動車買換えに対する支援措置を講ずるべきであると考えるが、政府の見解を示されたい。

二 住宅の再建支援については、被災者生活再建支援法により行われている。これは、自らの生活を再建しようとする意欲はあるが経済的状況から踏み出せないでいる被災者を支援金によって後押しし、自助努力や各制度の活用による生活再建への呼び水となることを目的としており、被災者支援のための制度がある中で下支え的な役割を果たすことが期待されているとされる。同様の考え方により自動車買換えに対し支援を行うべきと考えるが、住宅再建支援と自動車買換え支援の相違について、政府の見解を示されたい。

三 過去の災害においては、自動車を家財扱いとして災害援護資金貸付金の適用対象とした例もある。今回の災害においても、被災地方公共団体が同制度の活用を含めて低利融資や利子助成等の措置を実施できるよう環境整備が求められると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。