質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一五一号

福島第一原発事故に係る警戒区域内に取り残されたペットの問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年五月十七日

熊谷 大   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   福島第一原発事故に係る警戒区域内に取り残されたペットの問題に関する質問主意書

 東京電力株式会社・福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の事故に伴い、本年三月十二日の避難指示の発出以降、多くの地域住民が飼育していたペットを自宅に残したまま緊急避難を余儀なくされた。福島第一原発から半径二十キロメートル圏内は、本年四月二十二日午前零時をもって、緊急事態応急対策に従事する者以外の人の立入りを禁止する警戒区域に設定されたが、それまでは、避難しなかった住民や避難所から自宅に通う住民、動物愛護団体等によって給餌給水が行われ、生き延びたペットも数多いとされる。しかしながら、そうしたペットについても、警戒区域の設定によって、放浪や衰弱、餓死が起きているとされる。これに対し、福島県では、警戒区域内に放置されたペットの実態調査を行った際に、放浪犬を中心に保護活動を行ったとのことだが、なお多くのペットが同区域内にいるものと見られる。一方、動物愛護法第四十四条では、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つける行為、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行う行為及び愛護動物の遺棄を行う行為に対し罰則を設けているところである。そこで以下、警戒区域内に取り残されたペットの問題への対応について動物愛護法との関係を中心に質問する。

一 政府が、福島第一原発から半径二十キロメートル圏内を、人の立入りを禁止する警戒区域に設定し、結果として動物に給餌給水をせず、また生きている動物を保護せず見放す事態に至っていることは動物愛護法第四十四条で規定する動物虐待等に該当しないか。政府の見解を示されたい。

二 警戒区域内に残されたペットの問題については、動物愛護法を所管する環境省、警戒区域内への一時立入りを取り扱う原子力災害対策本部の原子力被災者生活支援チーム、現場で対応する福島県など、様々な機関が関わっていることから、対応が後手に回っていると指摘する声もある。ペットの問題への対応については、所管省庁を一元化するなど責任を明確にすべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 政府では、警戒区域内に取り残されたペットの連れ出しについて検討しているとのことであるが、これらのペットについては、給餌給水が途絶え、生存が危ぶまれる状況になっているほか、一部は野生化しつつあるとも言われている。早急にこれらペットを保護すべきと考えるが、政府としての対応方針を示されたい。

  右質問する。