質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一四八号

薬物乱用防止についての普及啓発活動に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年五月十日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   薬物乱用防止についての普及啓発活動に関する質問主意書

 世界の不正薬物の乱用状況については、「二〇〇八年における十五~六十四歳までの世界人口四十三億九千六百万人のうち、薬物乱用者の割合は三・五~五・七パーセント(一億五千五百万~二億五千万人)と推測され、依然、憂慮すべき状況にある。」(「麻薬・覚せい剤行政の概況」より)とされている。
 一方我が国においては、薬物事犯の検挙人員が、一九八〇年代半ばには二万五千人を超えていたが、もちろん安心できる水準ではないものの、二〇〇八年時点で約一万五千人にまで激減させた。我が国は、学校や地域で薬物乱用防止キャラバンカーを活用することにより薬物乱用防止のための知識の啓発に努め、学校や公共機関を通じた啓発読本の配布等によって青少年を含む国民的な運動を展開している。世界的に深刻な薬物汚染、薬物乱用が広がる風潮の中で、我が国においては、相対的には薬物事犯の急増を押さえ込んでいること、特に青少年にまでは乱用が広がっていないとみられることは評価されるべきである。薬物乱用防止教室などでの小中学校、高校への教育が一定程度奏功していると考える。
 しかしながら、昨年十二月に発表された「麻薬・覚せい剤行政の概況」によると、我が国の平成二十一年の薬物事犯のうち覚せい剤事犯が八割を占める深刻な状況にあり、近年増加傾向にある大麻事犯についても初めて三千人を超えており、乱用の広がりが懸念されているところである。
 こういった状況の中で、どのような認識のもとに、薬物乱用防止のための広報経費予算を削減したのか、以下のとおり質問する。

一 我が国の最新の薬物事犯の実績と乱用の実態の認識について

 我が国の最新の薬物事犯の実績と乱用の実態についてのデータをもとに、政府の現状認識を示されたい。特に、近年の薬物別、年齢層別の検挙者からみられる薬物乱用の広がりについて、現状をどのように認識しているか。

二 薬物乱用防止に関する普及啓発活動の見直しと国民の評価について

1 「麻薬等対策推進費(広報経費)」については昨年六月、事業仕分けの一環である厚生労働省の行政事業レビューにおいて、有識者等から「施策の達成すべき目標が明確でない」「効果的な広報ができていない。キャラバンカーやパンフレットを作ることが目的化している」などと一方的かつ抽象的に指摘され、民主党政権は「事業は継続するが、更なる見直しが必要」との結論を示した。この結論に基づき、事業内容をどのように見直したか。また、平成二十三年度予算において、予算額をどのように増減させたか。さらに、政権交代前の平成二十一年度予算の予算額に比べ、増減率はいくらになるか。
2 「麻薬等対策推進費(広報経費)」を活用した普及啓発活動に対して、国民は利用者アンケート等でどのように評価しているか。

三 普及啓発活動のうち薬物乱用防止キャラバンカーの活用体制について

1 同キャラバンカーによる普及啓発活動について、直近の出動回数、利用人数等の実績を明らかにされたい。
2 同キャラバンカーの耐久年数について、どのような基準を考えているのか。導入年数や走行キロ数から三台程度は更新が必要になっていると考えるが、政府としてどのように考えるか。
3 同キャラバンカーによる普及啓発活動について、本年四月からの巡回申込みはすでに本年一月からホームページ上で受付済みだが、本年四月開始分の一部について運行できないとの指摘がある。事実であれば、利用者との約束を裏切るものと糾弾せざるを得ず、利用者に釈明を行うべきと考えるが政府の見解如何。また、一部運行できない理由を明らかにされたい。

  右質問する。