質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一四七号

東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年五月十日

礒崎 陽輔   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   東京電力福島第一原子力発電所の原子力災害に関する質問主意書

 東京電力福島第一原子力発電所一号機に係る原子力災害の初動態勢について、以下のとおり質問する。

一 三月十一日における初動対応について

1 午後三時四十一分発電所において全交流電源が喪失してから午後十時頃圧力容器内の圧力上昇が確認されるまでの間の政府の対応について、時系列的に明らかにしてほしい。
2 1と同時間における東京電力の対応について、時系列的に明らかにしてほしい。

二 三月十二日におけるベントの実施について

1 枝野幸男内閣官房長官は、午前三時の記者会見で「国民への発表が終わるまではベントをさせない旨指示している。」という趣旨のことを述べているが、この「指示」に対応する「発表」は、いつどのような形で行われ、枝野官房長官の指示が実行されたと考えたらいいのか。
2 菅直人内閣総理大臣は、ヘリコプターで被災地の視察に出発する時に、まだベントが行われていないことを知っていたのか。また、ヘリコプターに搭乗中、ベントの実施状況について、報告を受けていたのか。それとも、発電所到着時に、ベントが行われていないことを知ったのか。
3 菅総理が、自らベントを指示していながら、放射線防護服を着用しないで、発電所へ向かったのは、なぜか。
4 菅総理が、ヘリコプターに同乗した内閣官房職員に自身をビデオ撮影させたのは、なぜか。また、そのビデオを公開したのは、なぜか。
5 菅総理は午前一時三十分にベントの実施を決定しているが、実際にベントの作業を開始したのは、何時何分頃か。ベントの完了は、午後二時三十分頃と聞いているが、なぜこんなに時間が掛かったのか。時系列的にその理由を説明してほしい。
6 政府及び東京電力がベント弁のうち電磁弁が停電のため開かないと確知したのは、何時何分頃か。また、手動弁が圧縮空気が現場にないため開かないと確知したのは、何時何分頃か。また、圧縮空気が確保できたのは、何時何分頃か。
7 細野豪志内閣総理大臣補佐官がベントの遅れについて東京電力を批判する記者会見を行っているが、どういう理由で批判しているのか、具体的に明らかにしてほしい。

三 三月十二日における海水注入の実施について

1 東京電力清水正孝代表取締役社長は、午後二時五十分の淡水注入停止以前に海水注入を指示したと五月二日の参議院予算委員会で答弁しているが、実際に海水注入が行われたのは午後八時二十分であり、なぜこんなに時間が掛かったのか。時系列的に説明してほしい。
2 清水社長の海水注入の指示は、政府に伝わっていたのか。伝わっていたのならば、なぜ、午後六時に、菅総理が、改めて海水注入の指示をしたのか。また、菅総理は、午後二時五十分に淡水注入が停止することをあらかじめ知らなかったのか。菅総理が、淡水注入の停止を知ったのは、何時何分頃か。
3 菅総理が、午後六時に海水注入を指示しておきながら、海江田万里経済産業大臣が改めて午後八時五分に原子炉等規制法に基づく指示を出したのは、どのような理由からか。東京電力も、菅総理も、指示を出しているのであれば、改めての指示は不要ではないか。

  右質問する。