質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第一二四号

二酸化炭素回収・貯留(CCS)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年四月十二日

横山 信一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   二酸化炭素回収・貯留(CCS)に関する質問主意書

 二酸化炭素回収・貯留(以下「CCS」という。)については、北海道洞爺湖サミットにおいて「二〇一〇年までに世界的に二十の大規模なCCSの実証プロジェクトが開始されることを強く支持する」ことが宣言され、我が国においても二〇一〇年六月に「二〇二〇年頃のCCSの商用化を目指した技術開発の加速化を図る」としたエネルギー基本計画が閣議決定された。同計画では「二〇三〇年までに石炭火力にCCSを導入することを検討する」ことが明言されているが、残り二十年足らずでCCSの実用化を目指すためには、大規模実証試験の実施が急務である。そこで、現在準備が進められているCCSの大規模実証試験について、以下質問する。

一 二〇〇六年にロンドン条約九六年議定書が改定され、二酸化炭素の海底下地層貯留が国際法上可能となり、我が国ではこれに対応するため二〇〇七年に海洋汚染防止法が改正された。日本の貯留可能量は、(財)地球環境産業技術研究機構によれば、陸域・海域合わせて千五百億トンと見積もられている。地権者関係や環境規制等の観点からみれば、日本では海底下地層貯留が現実的であるが、海底下地層貯留を進めるにあたり、政府は今後のさらなる法令整備の必要性をどのように考えているか。

二 二〇一五年までに二酸化炭素の地中貯留実施に必要な基盤技術を確立し、二〇二〇年から民間部門での本格導入の実現を目指すことになっているが、いまだ、大規模実証試験が開始されていない。実証試験の候補地でのCCSプロジェクトの状況はどうなっているか。また、実証試験の進まない理由にはどのようなものがあるか。

三 二酸化炭素の分離回収から貯留までのコストは、現状では一万円前後であり、新設する石炭火力でも、約七千三百円/トンCO2ときわめてコスト高にある。実用化のためのコスト削減は必須であり、二〇一五年頃には二千円台、二〇二〇年代には千円台に低減することを目指していると承知している。そこで、コスト削減に向けた技術開発の現状を明らかにされたい。

四 CCS技術の早期の確立によって、世界的な二酸化炭素削減に我が国はどのように貢献するつもりか。例えば、CCSによるCO2削減量の目標を定める考えはあるか。また、CCS技術の輸出はCO2削減に貢献するのみならず、我が国経済にも資すると考えるが、この点についての政府の取組はどうか。

  右質問する。