第177回国会(常会)
質問第一二二号 公教育における「原子力ポスターコンクール」への参加に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十三年三月二十四日 福島 みずほ
参議院議長 西岡 武夫 殿 公教育における「原子力ポスターコンクール」への参加に関する質問主意書 「原子力ポスターコンクール」は、これまで十七年間にわたり毎年十月に、「原子力の日」に合わせて実施されており、文部科学省、経済産業省資源エネルギー庁の二省庁から委託を受けた日本原子力文化振興財団がその運営を担っている。 しかし、この「原子力ポスターコンクール」に対して、「企業のPRとも受け取られる事業が、公教育の中で税金を投入されて実施されている」「原子力利用については科学的にも賛否の意見が存在している中で、一方的な教育ではないか」との批判の声があがっている。そこで、「原子力ポスターコンクール」のあり方について、以下、質問をする。 一 二〇一〇年に開催された「第十七回原子力ポスターコンクール」において、「未来を届ける原子力」や「地球を守る原子力」、「みんなを支える原子力」等、原子力発電ないしは原子力に対して賛美の言葉を使った作品が児童・生徒により制作され、入選している。「原子力ポスターコンクール」への参加についての判断は、各学校の主体性に任せているとのことだが、過去五年間における「原子力ポスターコンクール」の実施費用、参加学校数、参加児童・生徒数、応募作品数を示されたい。 二 「原子力ポスターコンクール」に教育の一環として参加することの意義、目的を、各省庁や日本原子力文化振興財団はどのように学校側に説明しているのか。 三 「原子力ポスターコンクール」に参加する学校においては、児童・生徒各個人がコンクールに応募するかしないかは、児童・生徒各個人の自由に任せているのか。この件についての各学校の現状について、省庁担当部署は把握しているか。 四 これまでの「原子力ポスターコンクール」において、原子力の利用について反対の意見のポスターの応募はあったのか。 五 原子力に対しては、軍事利用としての核兵器の恐怖や、原子力発電所の事故による放射能汚染、放射性廃棄物問題、被ばく労働の問題等の多くの問題点が指摘されているところである。これらの諸問題を義務教育の中で適切に取り上げ、児童・生徒に対して教育指導をしているのか。原子力の利用にあたり問題とされている点についての具体的な学習指導要領の記述、副読本などの実情を示されたい。 六 社団法人日本広告審査機構(JARO)は、電気事業連合会が制作した広告の中で使われていた「原子力発電は、(中略)発電の際にCO2を出さないクリーンな電気のつくり方です」との文言について、「原子力発電の地球環境に及ぼす影響や安全性について十分な説明なしに、発電の際にCO2を出さない事だけを限定的に捉えて「クリーン」と表現すべきでないと考える」との裁定をしている(平成二十年十一月二十五日)。この裁定について、政府はどのように受けとめているのか。また、この裁定を受けて、今後の「原子力ポスターコンクール」の開催ないしは内容を変更するなどの予定はないか。 七 「原子力ポスターコンクール」に対して、一般市民から「大人の都合のよいように、子供を教育して利用してはいけません」「この子達は被爆の恐ろしさもちゃんと知らされた上で、それでも尚この作品を描いているのか」「税金使って学校でこういうことをやらせるのは問題あり」といった反対意見が私の事務所に届いている。同様の意見が各省庁に届いていると思われるが、その主な反対意見にはどんなものがあるか示されたい。また、それらの意見に対して、どのような回答、対応を行っているのか、明らかにされたい。 八 今年の「原子力ポスターコンクール」は開催のための準備が実施されているのか。また、今年以降「原子力ポスターコンクール」を中止する予定はないか。 九 「原子力ポスターコンクール」と同様に、「原子力小論文コンクール」が行われているとのことだが、その実施主体および総費用、参加学校数、参加生徒数について、過去五年間の実績を示されたい。 右質問する。 |