第177回国会(常会)
質問第一〇〇号 電磁波に関する再質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十三年三月二日 山谷 えり子
参議院議長 西岡 武夫 殿 電磁波に関する再質問主意書 平成二十三年一月二十七日提出の「電磁波に関する質問主意書」(第百七十七回国会質問第二九号)に対し、同年二月四日に閣議決定された「答弁書」(内閣参質一七七第二九号)を受領した。「答弁書」を踏まえ、以下のとおり再質問する。 一 「電磁波に関する質問主意書」の「四」でも記したように、スウェーデンのストックホルム市では、自治体が、電磁波過敏症の発症者に対し、より電磁波漏えいの少ない電化製品への交換や、遮蔽フィルムを貼ったり塗料を塗ったりといったリフォーム費用を負担または補助しており、さらには、電磁波過敏症の発症者が働き続けられるように雇用主にも対策を求めているという。これらのストックホルム市の支援や対策に対する政府の見解を示されたい。また、「答弁書」の「四について」の中で「政府としては、従前から、電磁波の人体に対する影響等について、国内外の情報の収集、各種研究調査、これらの成果に係る情報の提供等に取り組んできているところであり、引き続きその着実な実施に努めてまいりたい。」との答弁があった。日本においても前記ストックホルム市のような支援や対策を考えていくうえで、政府として、どのような情報の収集、各種研究調査、情報の提供に取り組んでいるのか具体的に示されたい。 二 「答弁書」の「五について」の中で「我が国においては、電力設備から発生する超低周波磁界に関しては、これまで規制を行っていなかったが、総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会電力安全小委員会電力設備電磁界対策ワーキンググループが、同ファクトシート(WHO(世界保健機関)が超低周波電磁界の健康影響についての正式見解を示したファクトシートのナンバー三百二十二)の見解を踏まえ、平成二十年六月に報告書を取りまとめたことを受け、現在、経済産業省原子力安全・保安院において、電気工作物の保安及び公共の安全の確保の観点から、平成二十二年十一月にICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)により発表された「時間変化する電界および磁界へのばく露制限に関するガイドライン(一ヘルツから百キロヘルツまで)」に基づき、新たに規制を策定することを検討しているところである。」との答弁があったが、具体的に検討はどの程度進んでいて、この規制はいつ頃策定予定であるのか示されたい。 三 「答弁書」の「六について」の中で「「高周波の規制値」については、ICNIRPにより平成十年四月に発表され、WHOが遵守することを推奨している「時間変化する電界、磁界及び電磁界へのばく露制限のためのガイドライン(三百ギガヘルツまで)」に定められている規制基準値と同等であることから、現時点において、これを見直す必要はないと考えている。」との答弁があったが、ベルギー、スイス、イタリア、ギリシャ、クロアチアは、学校、病院、老人介護施設の周辺ではさらに厳しい規制値を追加して設定している。子供や病人への影響を考慮し、より厳しい規制に改める必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。 四 「電磁波に関する質問主意書」の「九」でも記したように、フランスでは、電磁波による子供の健康への影響を考慮して「保健省は、六歳以下の子ども向けの電波放射機器の販売または無料配布を禁止する法律を制定することができる。」と法律で定められている。ロシアの国立非電離放射線防護委員会は「十六歳以下の子供は携帯電話を使うべきではない」、イギリスの国立放射線防護委員会は「八歳未満の子供には携帯電話を使わせないように」、カナダのトロント市公衆衛生局は「八歳以下の子供達には固定電話を」、アイルランドのアイルランド医師環境協会は「十六歳以下の子供には携帯電話を使用させないように」と、携帯電話の子供達の体への影響を考慮した規制・勧告・要請を行っている。日本の在外公館は各国のこれらの規制・勧告・要請について把握しているのか、明らかにされたい。また、各国が何故、こうした規制・勧告・要請を行っていると考えるのか、政府の見解を示されたい。 五 「答弁書」の「十について」の中で、携帯電話基地局の設置に関する住民と携帯電話会社との紛争について、平成二十二年末現在において政府が把握している件数は、たったの三件であり、「それぞれの訴訟の内容については承知していない。」との答弁があった。訴訟の内容について情報の収集を行い、調査・分析すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |