質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第九四号

日本郵政グループの運営に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月二十八日

中西 健治   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   日本郵政グループの運営に関する質問主意書

 先般提出した「日本郵政グループの運営に関する質問主意書」(第百七十六回国会質問第五五号)および「日本郵政グループの運営に関する再質問主意書」(第百七十六回国会質問第一二二号)に対する答弁書において質問に対する明確な答弁がなされていない事項があることから、質問の趣旨を明確にして質問するとともに、関連して追加質問を行うので、政府の見解および政府が承知しているところを示されたい。

一 金融事業を除いた三事業について、各社の業務が法律に規定されていても、各々の会社が受委託契約を締結すれば、郵政事業の役務を郵便局で一体的に利用することが可能であるが、法的な制約のために一体的な利用が困難となっている具体例を明らかにされたい。

二 政府が提出した「郵政改革法案」(以下「政府提出法案」という。)において、日本郵政株式会社が関連銀行および関連保険会社の株式を保有する理由に、子会社である金融会社からの利益によって郵便事業の赤字を埋め、日本郵政グループ全体としての利益を確保しやすくするということが含まれているのか、いないのか、政府の見解を明らかにされたい。

三 「郵貯の預け入れ限度額、かんぽの加入限度額の引き上げ」について質問したところ、「郵政改革担当大臣及び総務大臣の談話「郵政改革に関連する諸事項等について」(平成二十二年三月二十四日付け)は、ゆうちょ銀行の預入限度額及び株式会社かんぽ生命保険の加入限度額を法案の成立に合わせてその施行前に引き上げるなどの方針を表明した」と答弁書(内閣参質一七六第一二二号)にて答弁があった。しかし、当該談話には「郵政改革法案成立に合わせて新しい限度額に移行する」「新しい限度額に移行した後の動向を見極めつつ、施行に合わせて所要の見直しを行う」と記載されており、「施行前に」とはどこにも書かれていないが、「施行前に引き上げる」との答弁の根拠を明らかにされたい。

四 政府提出法案第五十七条においては、「旧法第百七条第一号イ中「他の金融機関等との間の競争関係に影響を及ぼす事情、郵便貯金銀行の経営状況その他の事情」とあるのは「郵政改革法(略)第三条の基本理念にのっとり、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性及び郵便貯金銀行の経営状況」と、旧法第百十条第五項及び第百十一条第四項中「次に掲げる事情を考慮し、郵便貯金銀行と他の金融機関等との間の適正な競争関係」とあるのは「郵政改革法第三条の基本理念に照らして、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性」とする」とされている。

1 現在、「郵便貯金銀行」と「他の金融機関等」は「適正な競争関係」にあるのかないのか、政府の見解を明らかにされたい。
2 現在、「郵便貯金銀行」と「同種の業務を行う事業者」との「競争条件の公平性」が保たれているのか、いないのか、政府の見解を明らかにされたい。
3 政府提出法案第五十七条において、現行法である「郵政民営化法」の条文を変更する理由は何か。
4 現行法の条文のままでは「郵便貯金銀行」の預入限度額を引き上げることが適切ではないことから、政府提出法案第五十七条で現行法の条文の表現を変えたのではないか。
5 政府提出法案が成立・施行する前の段階において、政令を変更して預入限度額の引き上げを行うことは、現行法第百七条の規定に反することとなることから不可能と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

五 本年二月十五日、郵便事業株式会社が総務省に二〇一一年三月期の営業赤字の拡大を報告した。

1 政府は「郵政事業の実施主体が日本郵政、郵便事業株式会社、郵便局株式会社等に分割され各社の業務が法律に規定されたこと等の結果、郵政事業の経営基盤が脆弱となっているのは、郵政事業の物的・人的資源が分割され、それらの複合的・効率的な活用が困難となり、収益性が損なわれているから」と答弁している(内閣参質一七六第一二二号)。二〇一〇年度営業損益見通しにおける営業赤字のうち、同答弁書に記された理由が与える影響はいくらか。
2 昨年十二月に実施した非正規社員の正社員化による人件費の増額分について、日本郵政グループ全体では三十七億円だが、郵便事業株式会社単体ではいくらか。また、二〇一一年度予算における正社員化による人件費の増額分について、日本郵政グループ全体および郵便事業株式会社単体各々いくらかについても明らかにされたい。
3 郵便事業株式会社の非正規社員を二千名程度減らすとの報道がなされているが、日本郵政グループ全体も含めて事実関係につき政府が把握しているところを明らかにされたい。また、事実である場合、二〇一一年度における人件費減額効果がいくらかについても明らかにされたい。
4 昨年十二月に非正規社員を正社員化する一方、本年二月に非正規社員を減らす方針が報道されているが、相反する施策が短期間で実施される理由について明らかにされたい。

  右質問する。