質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第七三号

環太平洋戦略的経済連携協定と為替に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月十七日

浜田 和幸   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   環太平洋戦略的経済連携協定と為替に関する質問主意書

 菅直人総理大臣は、昨年十月、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への参加を検討する旨表明した。そして、菅総理大臣は、本年一月二十九日、スイスで開催された世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)において、「開国と絆」と題する講演を行い、本年を「第三の開国」の年とし、諸外国との経済連携を進める考えを表明し、「第三の開国」をいわば国際公約とした。
 そこで以下のとおり質問する。

一 菅総理大臣は、我が国がTPPに参加するか否かを本年六月までに決定するとしているが、本年を「第三の開国」の年と位置づけていることと、我が国のTPPへの不参加は矛盾するのではないか。政府の見解を示されたい。

二 TPPに参加するメリットとしては、輸出相手国の関税が撤廃されることであると目される。例えば、日本製のカラーテレビのアメリカにおける関税は五パーセントであるが、TPPへの参加により関税が零パーセントとなる。ただ、例えば円高が進み一ドル=八十五円から八十円になった場合、我が国の製造業にとって、TPPへの参加による関税撤廃の恩恵は相殺されてしまうのではないか。政府の見解を示されたい。

三 平成十八年一月の平均と現在の為替レートを比較した場合、韓国ウォンは日本円との関係でどの程度安くなっているのかについて明らかにされたい。

四 電子機器産業、自動車製造業を含む我が国の製造業は、近年海外市場において韓国製品との競争に直面し、苦戦を強いられている。苦戦の原因としては、関税の差よりも近年の円高ウォン安の方が大きいのではないか。政府の見解を示されたい。

五 我が国の製造業の国際競争力を維持するためには、TPPへの参加による関税撤廃よりも、過度の円高を防止しつつ世界各国による通貨安競争を阻止する方が重要なのではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。