質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第七二号

介護保険料の特別徴収及び社会保険料控除の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月十七日

横山 信一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   介護保険料の特別徴収及び社会保険料控除の在り方に関する質問主意書

 介護保険制度は、社会全体で介護を必要とされる方々を支える仕組みとして、この十年間で国民に広く定着してきた。しかし、本格的な高齢社会の到来によりサービス利用が大幅に拡大する中で、介護保険料は三年ごとの改定のたびに引き上げられ、高齢者にとって大きな負担となりつつある。加えて、後期高齢者医療制度の保険料の徴収方法が、平成二十一年度から口座振替と年金からの天引きの選択制になったことから、これとの整合性についても関心が高まっている。こうした観点から、介護保険の第一号被保険者保険料の特別徴収(年金からの天引き)や社会保険料控除の在り方について、以下質問する。

一 介護保険の第一号被保険者保険料の徴収については、制度発足当初より年額十八万円以上の年金受給者を対象に特別徴収が実施されてきたが、特別徴収を導入した理由は何か。また、十八万円の根拠について示されたい。

二 後期高齢者医療制度においては、当初は介護保険と同様、年額十八万円以上の年金受給者の保険料の徴収は特別徴収とされていたが、制度見直しにより平成二十一年度から口座振替との選択制となり、世帯主の口座からの引き落としを選択した者については、世帯主の社会保険料控除の対象となることとなった。この見直しの理由は何か。また、その際、同様の制度である介護保険において見直しを行わなかった理由は何か。

三 二の後期高齢者医療制度の制度見直しにより、特別徴収から口座振替に移行した人は何人か。また、これに伴う減税の総額を示されたい。

四 介護保険料の特別徴収により、世帯主の社会保険料控除の対象からはずれ、世帯としての所得税・個人住民税の負担が増加するケースについて、世帯構成別に、世帯構成員ごとの所得の目安、増税額及び対象世帯数を示されたい。

五 介護保険料が世帯主の社会保険料控除の対象になっていた人のうち、第一号被保険者となり特別徴収となったことによって、昨年度、控除対象からはずれた人は何人か。また、自治体ごとの当該人数を示されたい。

六 六十五歳未満であれば世帯主が社会保険料控除を受けることができるのに、六十五歳以上では特別徴収となり、世帯主の社会保険料控除の対象外になるのは、年齢による差別であり、税負担の公平性の観点から問題があると思うが、政府の見解を示されたい。

七 後期高齢者医療制度においては、特別徴収と口座振替の選択ができ、世帯主の社会保険料控除の対象とすることが可能であるのに、介護保険制度で同様の選択が認められないのは、施策の整合性がとれておらず、不合理ではないか。介護保険制度についても、後期高齢者医療制度と同様、特別徴収と口座振替の選択制とし、世帯主の社会保険料控除を可能とすべきではないか。少なくとも、後期高齢者医療制度で口座振替を選択した者については、これと一体の取扱いを認めるべきではないか。

八 介護保険法第百三十五条第一項では、「災害その他の特別の事情があることにより、特別徴収の方法によって保険料を徴収することが著しく困難であると認めるものその他政令で定めるもの」は、特別徴収の対象外とされている。当該政令の名称を示されたい。未制定である場合にはその理由を示されたい。高齢者の医療の確保に関する法律施行令第二十三条第三号と同様の規定を置くべきではないか。

  右質問する。