質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第七一号

「黒糖」表示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月十六日

横山 信一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   「黒糖」表示に関する質問主意書

 消費者庁は、平成二十二年三月に発出し、同年十一月に一部改正した「食品表示に関するQ&A」において、「黒糖とは、さとうきびの搾り汁に中和、沈殿等による不純物の除去を行い、煮沸による濃縮を行った後、糖みつ分の分離等の加工を行わずに、冷却して製造した砂糖で、固形又は粉末状のものをいいます。」と定義し、それ以外のものは「黒糖」の文言を加工食品の義務表示事項の名称として記載することを禁じたところである。これにより、これまで、てん菜を原材料とした「ビート黒糖」の名称で商品を製造・販売していた地場産業は商品の名称変更を余儀なくされ、困惑と混乱の渦中に置かれている。また、こうした地場産業の地域資源を活用した商品開発の取組について、地域作物の高付加価値化や雇用の拡大など地域経済の活性化につながるとして、積極的に支援してきた自治体にも大きな打撃を与えている。
 消費者が表示制度に求めているものは、原材料の種類、その原産地が明確かつ正しく表示されていることであると考える。こうした観点から、以下質問する。

一 平成二十二年十一月の「食品表示に関するQ&A」の改正は、安価な輸入黒糖や粗糖に糖みつを加えた再製糖が、消費者に国産の純粋な黒糖と誤認されていた現状を是正することを目的としたものと理解している。しかしながら、「ビート黒糖」として販売されていた商品は、てん菜を原材料としていることを明示しており、消費者がさとうきび由来の黒糖と明確に区別し得ると思われる。「ビート黒糖」の「黒糖」表示を禁止した理由は何か。

二 さとうきび以外の原材料を用いた「黒糖」商品の種類数及び関連企業数、さらに「黒糖」表示の規制が当該地域経済に及ぼす影響をどのように見積もっているか。

三 前記「ビート黒糖」を活用した野菜菓子の製造については中小企業地域資源活用促進法に基づく地域資源の活用と認められ、国や自治体の支援を受けてきた。また、てん菜を原材料とした「黒糖」製造は新たに技術の開発を行い、商品化したものである。こうした取組が認められ、当該商品は、二〇〇七年度第十五回北海道加工食品フェアにおいて北海道優秀賞を受賞した。このような商品について、唐突にその表示を規制することは、今後、技術を新たに開発し、地域資源を有効活用しようとする地域の意欲をそぐことにならないか。

四 ビートを原材料とする新商品開発は、地方都市の食品産業が地元農家と連携して成功したもので、国の農商工連携施策・六次産業化施策の方向性に合致しており、こうした取組は、政府が強力に推進しようとしている農山漁村活性化施策の基盤としても重要と考えるが、見解を示されたい。

五 官と民が協力し、「ビート黒糖」商品として販売が推進されてきたにもかかわらず、その表示を規制することの妥当性をどのように考えているか。また、てん菜を原材料としたものについて、「ビート黒糖」又は「てん菜黒糖」と表示できるよう、「食品表示に関するQ&A」を改正すべきではないか。

  右質問する。