質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第四一号

高等学校における特別支援教育の制度的拡充に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年二月三日

浜田 昌良   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   高等学校における特別支援教育の制度的拡充に関する質問主意書

 平成十九年度より、学校教育法等改正による新たな特別支援教育制度がスタートし、高等学校においても障がいのある生徒への教育が行われることとなった。
 しかしながら、高等学校における特別支援教育については、義務教育諸学校に比較し、体制の整備が大きく遅れており、多くの課題が残されている。
 新学習指導要領の総則等或いは生徒指導提要でも、発達障がいを抱えている生徒への柔軟な対応を求めていることについては十分評価できるところだが、発達障がいを抱えている生徒が入学者選抜を経て高校生活を無事始められたとしても、各教科の試験や履修と修得、そして卒業後の進路決定など、解決すべき課題は山積している。また、発達障がいを抱えていることを背景に登校ができなくなった生徒についての出席や学習保証をどのような形で行っていくかも大きな課題である。
 神奈川県の高等学校を視察し、発達障がいを抱えている生徒を対象にした研究についての話を伺った際にも、同じ課題で苦労されていた。
 平成二十一年八月二十七日の「特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議・高等学校ワーキング・グループ」の報告「高等学校における特別支援教育の推進について」(以下「本報告」という。)において、「学校教育法では、高等学校において障害のある生徒に対し、障害による学習上又は生活上の困難を克服するための教育を行うことが明記されて」いるのに、「学校教育法施行規則では、高等学校における特別支援学級や通級による指導に係る「特別の教育課程」を編成することが規定されていない」と指摘されている。
 このため、発達障がいを抱えている生徒に対応した指導について、各校における自主的な取組に任されているのが現状である。
 そこで、以下質問する。

一 学校教育法第八十一条に規定する「特別支援学級」を設置している高等学校の数及び高等学校の「特別支援学級」に通う生徒の数を示されたい。

二 高等学校における発達障がいを抱えている生徒については、試験や履修、卒業後の進路指導等、様々な問題があると考えるが、このような現状・課題に対する政府の認識、具体的対策等を示されたい。

三 本報告を受けて、学校教育法施行規則を見直すことなどにより、高等学校においても「特別の教育課程」の編成が可能となれば、通級指導等による生徒一人ひとりのニーズに即した、生徒の可能性を最大限に伸ばす教育活動が可能となり、また、学校に対する人的支援が可能となるなど幅広い効果が考えられるが、政府としての検討状況如何。具体的な内容、時期も併せて示されたい。

四 これまでの「高等学校における発達障害支援モデル事業」等で調査・研究された実績も踏まえ、将来の制度化に向けた検討、例えば、モデル校等を活用した実践的な研究を始める必要があると考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。