質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第三七号

勲章受章者の官民格差是正に向けた取組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年一月三十一日

加藤 修一   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   勲章受章者の官民格差是正に向けた取組に関する質問主意書

 平成十二年、当時の与党の「栄典制度に関するPT」は、①栄典法の制定をめざす、②勲章については、数字による表示を廃止するとともに、大幅に簡素化する、③対象者について、官民格差、男女格差の是正を図るとともに、自己を犠牲にして社会貢献をなした者等に配慮する、④政治家(公選職)を受章対象とすることについて両論があり、見解の一致がみられなかった、⑤選考基準は栄典法令で定める、の五項目を申し合わせ、これを受けた政府は平成十四年に「栄典制度の改革について」の閣議決定を行い、平成十五年秋の叙勲から同閣議決定に基づく新叙勲制度を開始した。
 新叙勲制度では、勲一等などの数字による表示は改められ、等級の簡素化が図られ、男女共通の勲章となった。とりわけ官民格差の是正に関しては、当時の与党PTの提言を踏まえ、平成十四年から十五年にかけて、それまで政治家や官僚などの「官」を七割、「民」を三割台に固定していた勲章受賞者比率について、民間人割合を四割台に増やした経緯がある。しかし、ここ数年、勲章受賞者の官民割合は六対四で固着し改善に向けた展望が見えない。
 政権交代後の民主党政権は平成二十二年秋の叙勲において勲章受章者数全体を前年に比べ百四十九人増やしたが、民間人割合は前政権並みの四十二%にとどまっている。「人目につきにくい分野」で功績のある民間の人、医療や福祉の最前線で社会に貢献する人や地域の活性化に寄与する中小企業経営者などの勲章受章者を抜本的に増やすべきであると考える。そこで菅内閣における勲章受賞者の官民格差の是正策について、以下のとおり質問する。

一 勲章受章者の官民格差の是正方針について

 公務員は国民に平等に仕えるのが職務であり、勲章受章者の「官偏重」は解消されるべきである。民間人割合は早急に少なくとも五十%以上、すなわち官民割合は一対一の水準にまで是正されるべきと考えるが、菅内閣の見解を問う。

二 現行の推薦のあり方について

 民間の勲章受章対象者が増えない理由として、所管省庁による推薦において、推薦基準の硬直性、推薦決定の密室性、推薦枠(人数)の固定性等が指摘されている。現状の推薦のあり方を問題なしと考えるか否か、政府の見解を問う。

三 一般推薦制度の改善について

 平成十五年の栄典制度改革で、民間の「真に功労のある者の把握のため、一般国民からの推薦を受け付ける仕組み」として、一般推薦による官民格差是正策が講じられたが、同対策は有効に機能していると考えるか。一般推薦制度導入以来の実績を明らかにされたい。また、一般推薦制度に改善すべき点があるとすれば、その点を示されたい。

四 褒章の官民格差是正について

 褒章の選考手続きについては各都道府県・各関係団体から具申を受けた各省大臣が内閣府賞勲局へ褒章候補者を推薦し、慎重な審査の上、閣議請議されて決定されているところであるが、依然として官民格差があると言わざるを得ない。褒章の官民割合は四対六程度に逆転させてしかるべきである。現状はバランスを欠いている。従って、具申の段階から官民格差の是正を十分考慮すべきである。政府の見解を問う。

五 新しい「公」への叙勲について

 公的業務の「官から民」への移行や、福祉や教育の分野などにおける民間活力の活用、NPOなど営利を目的としない民間団体の活躍の場の増大の指向を受けて、いわゆる「新しい公」の役割の増大が期待されている。こうした「新しい公」への叙勲など、栄典制度の改革が必要と考えるが、政府の見解を問う。

  右質問する。