質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第三〇号

盲ろう児の教育に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年一月二十八日

上野 通子   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   盲ろう児の教育に関する質問主意書

 文部科学省の「二十一世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」によって平成十三年に発表された「二十一世紀の特殊教育の在り方について~一人一人のニーズに応じた特別な支援の在り方について~(最終報告)」では、視覚と聴覚の重複障害を有する「盲ろう」について固有の障害と位置づけ、「盲、聾の重複障害のように特別なコミュニケーション手段が必要な場合や、健康面についての配慮を要する極めて障害が重度な重複障害の場合には、特に障害の状態に配慮しながら指導する必要がある。このため、国立特殊教育総合研究所や国立久里浜養護学校等におけるこれまでの研究の成果を踏まえ、国や教育委員会等においては、教員の専門性の向上や成果の普及、教育相談の充実を図る必要がある」と記述されている。また、日本政府が平成十九年に署名した「障害者の権利に関する条約」(障害者権利条約)でも、「盲ろう」を固有の障害と位置づけ、第二十四条第三項(c)で、「視覚障害若しくは聴覚障害又はこれらの重複障害のある者(特に児童)の教育が、その個人にとって最も適当な言語並びに意思疎通の形態及び手段で、かつ、学問的及び社会的な発達を最大にする環境において行われることを確保すること」と記述されている。こうした考え方を踏まえ、「盲ろう者」(児童・生徒)指導の在り方について以下のとおり質問する。

一 盲ろう者の教育を含む特別支援教育の在り方について、中央教育審議会初等中等教育分科会の「特別支援教育の在り方に関する特別委員会」で議論が行われている。同特別委員会が平成二十二年十二月二十四日に行った論点整理では、「四.教職員の確保及び専門性向上のための方策について」の「(一)教職員の専門性の確保」の②として、「特別支援教育の専門性について、例えば、米国や英国で行われているように、高発生頻度障害(発達障害等発生頻度が非常に高い障害)については基本の情報として、すべての教員が有することとし、低発生頻度障害(視覚障害、聴覚障害、重度・重複等)については担当教員が専門性を高めるという形で、高発生頻度と低発生頻度を分けて専門性を向上させる取組を日本でも参考にする必要がある」と記述されている。政府は、低発生頻度障害の中に「盲ろう」を含めているのか、見解を明らかにされたい。また、「盲ろう児」に特化した教育の現状及び今後の在り方について、「盲ろう児」の指導及び教員養成の観点から、政府の基本的な見解を明らかにされたい。

二 政府は、特別支援学校教諭一種免許状の授与に必要となる必須科目の中に、「視覚障害児の指導」、「聴覚障害児の指導」などと並立する形で、「盲ろう児の指導」を設ける考えはないか、見解を明らかにされたい。

  右質問する。