質問主意書

第177回国会(常会)

質問主意書


質問第二七号

朝鮮学校無償化手続き再開の条件に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十三年一月二十七日

義家 弘介   


       参議院議長 西岡 武夫 殿



   朝鮮学校無償化手続き再開の条件に関する質問主意書

 高木文部科学大臣は、平成二十二年十一月二十五日の参議院予算委員会において、「朝鮮学校の指定については、外交上の配慮より判断すべきではなくて教育上の観点から判断すべきものであるという、こういう基本的な考え方は変わっておりません。ただ、今般の朝鮮半島の緊張状況、その中で、総理の指示によってストップをしたということでございます。」と答弁している。
 また、高木文部科学大臣は、本年一月五日の文部科学省内における定例記者会見において、「あの時の北朝鮮の砲撃が、いわゆる我が国の平和と安全のみならず、アジア、あるいは国際社会においての大きな緊張の要因になる。したがって、これについては重大な関心を持っておるし、そういう事に対して、自制を促す意味において、総理の判断だったと、私はそのように思っております。」と述べ、朝鮮半島の緊張の緩和が手続き再開の条件になるかという主旨の質問に対しては、「それは、そういう状況になることを総理も望んでおると、私は思っております。」と述べている。
 さらに、高木文部科学大臣は、本年一月十四日の留任記者会見において、朝鮮学校の問題と外交を絡めないという従来の政府見解については維持しているのかという主旨の質問に対して、「それは変わらないです、はい。変わらないです。十一月二十三日の事態は、それを超えた政府全体としての認識であったと思っております。」と述べている。
 そして、高木文部科学大臣は、現在、文書で確認できる最新の会見である、本年一月十八日の定例記者会見において、「最終的には私が文部科学大臣の責任で判断することになろうかと思いますが、これは内閣の重要課題の一つでありますから、総理官邸、総理はじめですね、関係閣僚とも相談の上、判断することが重要であろうと思っております。」、「これは、その私の判断というのは、これを朝鮮学校に支援することに決定することについては、私の判断、責任ですることでありますが、それを超えたところの、最終的な手続きの問題についての停止、これは総理の指示でそういう状況になりましたので、まず総理の指示が、まずその糸口だろうと、そういう認識でございます。総理の指示がないままに私が判断するということではありません。」と述べ、朝鮮学校に対する手続き再開の見通しについては、「今のところまだ見通しは立っておりません。」と述べている。
 そこで、次の事項について質問する。

一 前記一月五日の記者会見における高木文部科学大臣の、北朝鮮に対して自制を促す意味においての総理の判断であったという主旨の発言は、平成二十二年十一月二十五日の参議院予算委員会における同大臣の、朝鮮学校の指定については、外交上の配慮より判断すべきではなくて教育上の観点から判断すべきものであるという基本的な考え方は変わっていないという主旨の答弁と矛盾するが、その整合性について、政府の見解を示されたい。

二 前記一月十四日の記者会見で高木文部科学大臣は、「十一月二十三日の事態は、それ(従来の政府見解)を超えた政府全体としての認識であった」と述べているが、政府見解を超える「政府全体の認識」なるものがあり得るのか。その法的根拠はいかなるものであり、どのような法的効果を生むものなのか。その「政府全体の認識」はいかにして形成されたのか。例えば閣議において決定されたのか。それぞれ、政府の見解を示されたい。

三 前記一月五日の記者会見で高木文部科学大臣は、朝鮮半島の緊張の緩和が手続き再開の条件になるかという主旨の質問に対して、そういう状況になることを総理も望んでいると思っているという主旨の発言を行っている。結局、手続き再開の条件は、「朝鮮半島の事態の好転」なのか。「朝鮮半島の事態の好転」が条件の場合は、「朝鮮半島の事態の好転」の具体的な内容を示されたい。

四 前記一月十八日の記者会見で高木文部科学大臣は、手続き再開の最終的な決定権者は文部科学大臣であるが、総理大臣の指示がないままに文部科学大臣が判断することはないという主旨の発言を行っている。例えば、総理大臣の判断・指示により、関係閣僚の協議を経て、文部科学大臣が判断するなどといった、手続き再開のための具体的な手続(プロセス)を示されたい。また、手続き再開は、あくまで総理大臣の判断によるのか。文部科学大臣は手続き再開の条件などの決定に関与できないのかについても、併せて示されたい。

  右質問する。