第177回国会(常会)
質問第一六号 法務省による東京拘置所の刑場公開に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十三年一月二十四日 福島 みずほ
参議院議長 西岡 武夫 殿 法務省による東京拘置所の刑場公開に関する質問主意書 平成二十二年十月二十五日提出の「法務省による東京拘置所の刑場公開に関する質問主意書」について、同年十一月二日に答弁書(内閣参質一七六第六一号)が閣議決定された。 同答弁書によると、「各刑場の刑具は、開落式踏板上の被執行者の身体の自重によって絞首する機構であり、絞首された被執行者と床面との間に距離をおく運用について絞罪器械図式と変わるところはない。ただし、絞首された被執行者と床面との間の距離については、個々の死刑執行により異なる。」、「絞縄については、個々の死刑執行ごとに、被執行者の身長、体重等を考慮し、死刑執行を確実に行うために必要な長さに固定している。」とある。これにより、明治六年太政官布告第六十五号(以下「布告六十五号」という。)と現在の運用とでは、共通点もあるが、相違点もあると理解される。以下、相違点について質問する。 一 布告六十五号と現在の運用の相違は、いつからどのような経緯で生じたものか。運用が変更された時期ごとに、その内容及び変更の理由を説明されたい。また、その変更は、どのような権限に基づき、どのような行政規則によって実施されるに至ったのか。変更された時期ごとに説明されたい。 二 布告六十五号によれば、死刑を執行される者の落下距離を一意に決定することが可能である。一方で「絞首された被執行者と床面との間の距離については、個々の死刑執行により異なる。」、「絞縄については、個々の死刑執行ごとに、被執行者の身長、体重等を考慮し、死刑執行を確実に行うために必要な長さに固定している。」とする答弁書の記述だけでは、現在、具体的に、誰がどのように落下距離を決定しているのか判然としない。死刑を執行される個々の者の落下距離を具体的に決定する手続及びその算出方法を示されたい。 三 現在、布告六十五号と異なる算出方法で落下距離を決定しているとの答弁であるが、その決定方法の根拠となる法令又は訓令、通達、その他の一切の行政規則を示されたい。 四 絞縄の長さについて、「個々の死刑執行ごとに、被執行者の身長、体重等を考慮し、死刑執行を確実に行うために必要な長さに固定している。」という答弁であった。しかし、そもそも頚部を絞扼し、窒息死させるのであれば、単に床から一定の距離をおく布告六十五号の運用で十分と考えられる。にもかかわらず、前記の答弁のように個々の死刑執行ごとに考慮するのは何故か。例えば、落下時の衝撃によって死刑を執行される者の頚部の骨格、神経、臓器等を損傷すること等に配慮して、落下距離を決定しているのか。 五 新しく就任した江田五月法務大臣の指揮の下、東京拘置所以外の六か所の刑場公開を行う予定はあるのか。現時点での法務大臣の方針及び考えを含めて示されたい。 右質問する。 |