質問主意書

第176回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一五六号

内閣参質一七六第一五六号
  平成二十二年十二月十日
内閣総理大臣 菅 直人   


       参議院議長 西岡 武夫 殿

参議院議員紙智子君提出水源林取引の規制強化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員紙智子君提出水源林取引の規制強化に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねについては、把握していない。

一の2について

 国土利用計画法(昭和四十九年法律第九十二号。以下「国土法」という。)第二十三条違反により、警察が検挙した件数は、平成十年が五件、平成十一年が二件、平成十二年が二件、平成十三年が零件、平成十四年が一件、平成十五年が零件、平成十六年が一件、平成十七年が一件、平成十八年が零件、平成十九年が零件、平成二十年が一件、平成二十一年が零件である。
 また、お尋ねの「処罰件数」については、把握していない。

一の3について

 国土利用計画法の一部を改正する法律(平成十年法律第八十六号)による改正前の国土法においては、都市計画区域外の一ヘクタール以上の土地の売買について、当事者は、都道府県知事等に対し売買契約締結前に届け出なければならないとされていた。
 なお、現行の国土法においても、都市計画区域外の一ヘクタール以上の土地の売買について、権利取得者は、都道府県知事等に対し売買契約締結後に届け出なければならないとされている。

一の4について

 お尋ねの「調査結果」については、農林水産省のホームページにおいて「外国資本による森林買収に関する調査の結果について」として公表しているところである。また、同省においては、森林の多面的機能の発揮という観点から、外国資本による森林買収について、国土交通省等とも連携し、都道府県等を通じた情報収集に努めていく考えである。

二について

 国土法に基づく土地取引規制制度は、土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し、かつ、適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため、一定面積以上の土地取引の規制に関する措置を講ずるものであり、御指摘のような森林等の特定の土地取引のみを対象とした規制強化等のための制度改正を行う特段の必要性があるとは考えていない。

三の1について

 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第三百八十二条の規定に基づく登記所からの通知により市町村長が得た情報の取扱いについては、当該市町村の個人情報保護条例等に基づき当該市町村長が判断すべきものと考える。

三の2について

 不動産の所有権の移転の登記は対抗要件とされており、実体上の所有者と登記記録上の所有者とが一致しない場合が生ずることもあるものと認識している。

三の3について

 国土調査法(昭和二十六年法律第百八十号)に基づく地籍調査(以下単に「地籍調査」という。)の平成二十一年度末時点における進捗率は、全体で四十九パーセントであり、主として山林又は原野が占める地域及びその周辺の地域である「林地」については四十二パーセントである。
 政府としては、同法に基づく国土調査を促進するため、平成二十二年五月二十五日に「国土調査事業十箇年計画」を閣議決定したところであり、林地における地籍調査についても同計画に基づき促進に努めてまいりたい。

四について

 政府としては、水源の涵養を始めとする森林の有する公益的機能の維持増進を図るため、森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)に基づく保安林制度や民有林における開発行為に対する許可制度等の適切な運用及び間伐等を推進する森林整備事業等の実施により、水源地域における森林の整備及び保全に努めているところである。
 これらの施策に加えて市町村による水源地域の森林の取得費用を国が助成することについては、その効果等について慎重な検討が必要と考えている。

五について

 御指摘の「重要な水源林」の意味するところが必ずしも明らかではないが、森林の土地の利用に関しては、国土法に基づく土地取引規制制度、森林法に基づく保安林制度や民有林における開発行為に対する許可制度等が設けられており、森林所有者が外国資本であるか否かにかかわらず、これらの制度等により、適正かつ合理的な土地利用の確保、水源の涵養を始めとする森林の有する公益的機能の維持が図られているところである。
 なお、外国資本による不動産の取得に制限を設けることについては、関係府省庁の連携を図りつつ制限の必要性や個人の財産権の観点等の諸事情を総合考慮した上での検討が必要であると考えている。